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サブリース契約で失敗しないためには? 仕組みやメリットデメリットを弁護士が解説


サブリース契約とは、所有している物件をサブリース会社に一括管理してもらう契約のことです。所有者としては、毎月一定の家賃保証を受け取ることができるというメリットがあります。

一見すると、面倒な管理をすべて任せることができ、家賃も保障されるので、オーナーの負担が少なく安心のできる契約だと感じる方もいるでしょう。

しかしサブリースの仕組みを理解せずに安易にサブリース契約を利用してしまうと、収益が想定より大きく下がってしまったりするなど、大きな損失を被ってしまうケースもあります。

当記事では現役の弁護士が

  • サブリースの仕組み
  • サブリースのメリットデメリット
  • サブリース契約時の注意点
  • サブリースの成功・失敗事例

などについて詳しく解説いたします。

サブリースとは? 仕組みをわかりやすく解説

サブリースとは、そもそもの意味は「又貸し、転貸」であり、不動産業界では、不動産賃貸業の管理形態の1つを示す言葉として使用されています。

他の管理形態としては、自主管理や管理委託などがあります。自主管理、管理委託では、オーナーが直接借主へ物件を貸し出しますが、サブリースでは、オーナーはサブリース会社に物件を貸し出し、サブリース会社が借主(オーナーの立場からは転借人と言います)に転貸します。

以下でサブリース契約のメリットとデメリットについて解説していきます。

サブリースのメリット

サブリース契約のメリットについて解説します。

賃貸経営の業務をすべて任せられる

賃貸経営の業務には、入退去時に発生する入居者の募集や部屋の修繕対応だけでなく、入居中でも物件内に損傷が生じた場合に修理等をオーナーと入居者のいずれが行うかなど、入居者とのトラブル対応など煩雑なものも多数起こりえます。

これらの業務をすべてサブリース会社に一任できるのは、オーナーの負担を大きく減らすメリットがあると言えます。

賃料保障で安定した収入を毎月得ることができる

自主管理や管理委託の場合は、空室が発生した期間は賃料を得ることができません。

しかしサブリースの場合は、空室の有無に関わらずサブリース会社から賃料を得ることができます。

サブリースのデメリット

サブリースのデメリットについて解説していきます。

サブリースは他の管理形態と比べて収益性が低い

サブリースは自主管理や管理委託と比べて、収益性が低くなります。

これはサブリースの家賃保証率が80~90%とされているからです。他の管理形態と比べて利回りが低くなるのです。

これは、サブリース契約の性質からすると当然です。つまり、サブリース会社としては、自社の利益を確保するためにはオーナーへ支払う賃料よりも高い賃料で借主に貸す必要がありますが、一般相場よりも高額な賃料を設定してしまうと借主が見つからないという事態も生じかねません。そこで、サブリース会社としては、オーナーへ支払う賃料は、一般相場の賃料よりも低い金額とせざるを得ないのです。

他方でサブリース契約では、オーナーには、空室期間でも家賃保証があることや、物件の管理を全てサブリース会社に任せられるというメリットもありますので、これらメリット・デメリットを踏まえて、自身がオーナーとしてサブリースを業者に依頼するかどうかを判断する必要があります。

サブリース契約はサブリース会社側が有利【借地借家法】

不動産の契約は、借地借家法によって借主側が守られて契約上有利になっています。

つまりサブリース契約の場合だと、サブリース会社側が法律で守られることになります。

借地借家法によってどのようなデメリットが起こりえるのか解説します。

サブリース会社は家賃保障の減額を請求できる

30年の家賃保証で契約したとしても、本当に30年もの間、一定の賃料を受け取れるというわけではありません。

借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求によって、サブリース会社はいつでも家賃の値下げ交渉を行うことができるからです。

特に空室の目立つ状況が続く場合は、サブリース会社が家賃の値下げ交渉に踏み切る可能性が高くなります。

ただし、同条では、貸主からの賃料増額も請求できると定められていますので、状況によってはオーナーから増額請求が認められるケースもあります。

貸主側からの解約は難しい

オーナー側からサブリース契約を解約することはとても難しいです。

仮にサブリースの契約期間が満了したとしても、それだけで契約を終了することはできず、正当事由(貸主が賃貸借契約の解約を申し入れるために必要な条件のこと)が必要になります。(借地借家法28条)

以下のコラム記事では、サブリースと正当事由の関係について詳しく解説されていますので、気になる方は是非ご参考ください。

サブリース契約の更新を拒絶できるのか?正当事由がないとできません

サブリース会社側からはいつでも解約できる

一方でサブリース会社側からは、いつでも解約することができます。

また、解約された場合、サブリース会社から物件を借りている転借人に出ていってもらえないこともあります。

こちらのコラム記事で裁判例も交えて解説されています。

サブリース契約の終了を転借人に対抗できるか?

ただし、この場合には解約後はオーナーは転借人から賃料を直接支払ってもらうことができます。

サブリース契約は、借家人を保護するための借地借家法が適用されますので、一般論としてはオーナーよりもサブリース会社のほうが有利にできているとえいえます。

したがって、物件の経営状況が悪化して賃料減額や契約解除に繋がらないよう、サブリース契約を結ぶかどうかを慎重に判断することがとても重要になります。

サブリース契約時の注意点

サブリース契約時には、自らに不利となる条項がないか、思い違いをしているところはないか確認すべきです。特に家賃保証期間や賃料見直しの期間はよく確認しておきましょう。特に新たにローンを組んで物件を購入し、サブリース会社にサブリースする場合には、サブリース事業が破綻した場合にローンの支払義務を負うというデメリットがありますので、注意しましょう。

実際には家賃5万円しか取れないのに家賃8万円のサブリース契約を提案してくる業者もいるので注意が必要です。

家賃が逆ザヤになっているのでサブリース会社は損をするのですが、収益性を高く見せることで物件を高く売り抜ける大きな利益を得るという悪徳業者がいます。サブリースをする会社も潰す前提の会社で契約するなど、いろいろなケースがあります。

サブリースの金額が高いからと言って安心せず、本当にその金額で入居者が決まるのか購入者自身が確認することが大切です。

また、令和2年12月15日に施行された賃貸住宅管理業法により、サブリース会社はオーナーに対して、契約の際に重要事項説明を行わなければならないことが定められました。

具体的に説明項目については、以下のコラムで詳しく解説されていますのでご参考ください。

サブリース契約に重要事項説明が必要に!ポイントを弁護士が解説

サブリース契約を上手く活用した投資家の体験談

ここまで主にサブリース契約のデメリットや注意点について解説してきましたが、悪いことばかりではありません。

サブリース契約を上手く活用されている事例も数多くありますので、今回はそのうちの1つをご紹介します。

サブリース契約の活用事例

当サイトでコラムニストとして活動いただいている不動産投資家兼Youtuberの「もふ社長」は、初めて購入した物件でサブリースを活用しました。

なぜサブリースを活用しようと思ったのか。

その判断基準は何だったのか。

想定外だった出来事や困ったことは何か。

空室を埋めるためにどのような努力をしたのか。

コラムではサブリースを活用する前に知っておきたいことが沢山書かれていますので、是非参考にしてみてください。

大手ハウスメーカーのアパート1棟を買ったらいろいろヤバかった

サブリース契約で自己破産に至った事例【かぼちゃの馬車事件】

有名な事例ですが、サブリース契約によってオーナーが自己破産するにまで至ってしまった「かぼちゃの馬車事件」という事例も存在します。

この事例はサブリース会社が倒産してしまった結果、オーナーは家賃保証で銀行返済をすることができなくなり、自己破産した人も出てしまったというものです。

事件の背景には「放っておいても100万円入る」というキャッチコピーに飛びついてしまった投資初心者の方が多くいたこと、融資が銀行主導で行われて多くの専門家が疑わなかったこともあります。

オーナー側からできる対策としては、業者や銀行を過信せず、自分自身で利益の出る物件であるかどうか、信頼できるサブリース会社かを判断できるようにするということが挙げられます。

また、サブリース会社を見極める判断基準として、「賃貸住宅管理業者登録制度」があります。

この制度は、サブリースなどの賃貸住宅管理業務についてルールを定めるものであり、登録している業者が重要事項の説明や書面の交付、財産の管理などをきちんと行っているかどうかの1つの判断材料になります。

詳しくはこちらの記事で解説されています。

賃貸住宅管理業者登録制度とは何か。登録するメリットはあるのか

まとめ

ここまでサブリースの仕組みやメリットデメリットについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

サブリース契約は家賃保証や管理業務を一任できるメリットがあるものの、他の管理形態と比べて収益性が低くなってしまいます。

また、いくら賃料が保証されているといっても、空室ばかりの状況が続いてしまうと賃料を減額されてしまう可能性もあります。

もしサブリース契約を検討される際は、仕組みやメリットデメリットを理解した上で、それでも利益を上げられると判断できる場合に活用するのが良いでしょう。

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