コラム Column

住宅ローンの返済が苦しいときの「3つの対処法」を弁護士が解説


【相談】住宅ローンの返済が苦しい場合の対処法について教えて下さい。

コロナウイルスの影響で給料が減ってしまい、住宅ローンの返済が苦しくなってしまいました。

すぐに給料が戻る見込みも立たず、日々の返済に追われている状況です。

このような場合にどのようにしたらよいでしょうか?

できるだけ自己破産はしたくないですが、自己破産した場合のデメリットについても教えてほしいです。

【回答】一般論としては任意整理・民事再生・破産手続きの3種が挙げられます

住宅ローンの返済が苦しくなった場合の法律的な対処法として、一般論としては任意整理・民事再生・破産手続きの3種が挙げられます。

ただ、今回のご相談では新型コロナウイルスによる減収が原因とのことで、コロナ禍での経済的困窮に対しては国(政府)が特別の対応策を設けています。

以下では、現時点(2022/2)での政府の対応策をご紹介しますが、国の施策は状況に応じて変化しますので、行政に相談するなどして最新の対応策についての情報収集を行うようにしてください。

住宅ローンの返済が苦しくなった場合の対処法

まず、コロナ禍による減収を考慮せずに一般論として、住宅ローンの支払いが苦しくなった場合の対処法をご紹介します。コロナ禍での特別な対応策については後述します。

家計状況の見直し

最初に行うべきことは、現状の把握です。収入が減少した場合、住宅ローンの支払いを滞らせないためには、他の支出を減らす必要があります。まずは毎月の支出を項目(住宅ローン、水道光熱費、保険料、電話代、食費、日用品購入費、交通費、教育費、遊興費など)ごとに整理し、減らせる支出を減らし、減少した収入で生活を継続していけるかどうかを検討しましょう。

リスケの申入れ

上記の家計の見直しを行ってみて、それでも毎月の住宅ローンの支払いを続けていくのが難しいということでしたら、住宅ローンを組んだ金融機関に対して、リスケジュール(返済計画の見直し)を申し入れてみましょう。金融機関側としても、お客様が住宅ローンの支払いが滞ってしまって法的手続きに入ってしまうよりは、毎月の支払額を減額してでも支払いを継続してもらう方が良いと考えています。リスケジュール(リスケ)の申入れは一般的のもよく行われていることですので、気兼ねなく、金融機関に相談してみましょう。

住宅ローン以外にも、消費者金融から借り入れがあるなど、複数の債務がある場合には、「おまとめローン」を利用して支払い利息を減らし、結果として毎月の支払額を減らすことができる場合もあります。

法的手続きの検討

家計の見直し、リスケの申入れをしてみてもローン支払いの目途が立たない場合には、何らかの法的手続きを検討せざるを得なくなります。法的手続きの内容としては、大きく分けると、裁判所の関与しない任意整理、裁判所を通して行う民事再生・破産手続があります。これらの手続きは、弁護士に相談・依頼して行った方が良いです。

任意整理というのは、債権者との間で任意で交渉・和解して返済を継続していくというものです。借入が住宅ローンのみであれば、上記のリスケとあまり変わりませんが、複数の金融機関から借入れがある場合には、任意整理を利用するというのが一つの方法です。住宅ローン以外の借入について任意整理を選択できるかどうかのおおよその目安としては、負債の元金総額を5年程度以内に完済できるだけの支払計画が立てられるかという点が挙げられます。これが難しいようであれば、民事再生・破産を検討したほうが良いということになります。

詳しくは「住宅ローンを組んでいる人が任意整理手続きを取る場合」でも解説されています。

民事再生は、裁判所から、負債総額を100万円ないしは最大で10分の1にまで減額する決定をしてもらい、裁判所で認可された再生計画のもとで減額後の負債を支払っていくというものです。一定の安定した収入が継続することが見込まれる人に向いている手続です。また、住宅ローンがある場合には、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を付けて民事再生を行うことも可能です。この制度は、生活の基盤である住居を保護するために特別に住宅ローンだけはそのまま残して他の債務は減額して再生を進めていくというものです。

詳しくは「住宅ローンを組んでいるが個人民事再生を取る場合」でも解説されています。

最後に、任意整理や民事再生が難しい場合には破産手続(いわゆる自己破産)をすることになります。破産手続きは、法律上の非免責債権を除く、すべての負債・債務の支払義務を免れることを裁判所が決定するというものです。住宅ローンの負債も自己破産による免責の対象となります。ただし、自己破産では、基本的には資産のすべてを換価して債権者に配当することになります。破産手続をすることになると、住宅ローンの付いている不動産は、基本的には、任意売却あるいは競売にかけられ最終的には手放さざるを得なくなります。

詳しくは「住宅ローンを組んでいるが自己破産手続きを取る場合」でも解説されています。

自己破産した場合のデメリット

自己破産した場合のデメリットとして最も大きなものは、クレジットカードの利用を含め、金融機関からの借入が数年間できなくなるということになります。

クレジットカードの使用は、一時的にカード会社が立て替えて支払い、その立替分を毎月の決済日にカード会社に支払う(返済する)というもので、法律上の分類としては借金(負債)と同じになります。自己破産すると金融機関が共通して保有している信用情報に載ることになり、信用情報が回復するまでクレジットカードの契約を含め、金融機関からの借入ができなくなります。もちろん、新たな住宅ローンを組むこともできません。一般的に、破産手続の最後に行われる免責決定が出たときから7年程度は信用情報に傷がついた状態のままとなり、その間、借り入れができません。

また、自己破産すると政府が発行する官報に名前が記載されます。官報をチェックしている人はあまりいませんし、他の人もたくさん列挙して載りますので、実際上のデメリットは少ないと言えますが、あまり気持ちの良いものはありません。

加えて、警備員などの職種によっては自己破産した方は一定期間就業できない(就職できない)可能性があります。

コロナ禍においては特例適用を受けられる可能性があります

上記が一般的な流れ、破産のデメリットですが、コロナ禍の現在においては、特例措置の適用を受けて、自己破産を回避し、また、信用情報にも傷をつけずに済む可能性があります

2020年に入り、予期しなかったコロナ禍に見舞われ、経済が回らなくなり、全世界で経済的困窮が問題化しています。

日本では、コロナ禍を原因として減収し、住宅ローンの支払いが難しくなった方へ向けて、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を整備し、住宅を手放すことなく、住宅ローンを含めた債務の免除・減額を行えるよう努めています。

同制度の適用要件を満たす方については、弁護士等の専門家に依頼する際の手続費用も国が支援し、弁護士等が代理人となって金融機関等と協議し、新たな返済計画を調停条項案として作成し、裁判所の特定調停という手続きを利用して債務の免除・減額を行うことができます。

この制度を利用する場合、信用情報にも傷がつきません。

参照:DGL.pdf (fsa.go.jp)

お悩みの方は弁護士へ相談を

弁護士は、法律の専門家として、上記の一般的な債務整理の流れを理解しており、また、コロナ禍での特例適用の可否についてもご相談いただけます。

住宅ローンの返済にお困りの方はぜひ一度弁護士にご相談ください。

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