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サブリース契約に重要事項説明が必要に!ポイントを弁護士が解説


サブリースでも重要事項説明が必要になりました

賃貸住宅管理業法(以下「法」といいます。)のうちサブリース関連規制が令和21215日に施行されるところ、同年1016日には「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」(以下「施行規則」といいます。)、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(以下「解釈・運用の考え方」といいます。)及び「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます。)が公表されました。

先日執筆した「賃貸住宅管理業法のガイドラインと概要を弁護士が解説」では施行規則等が公表されたことを受けて、サブリース関連規制の概要と、誇大広告等の禁止(28条)及び不当な勧誘等の禁止(29条)について解説しました。今回は、サブリースにおける重要事項説明について解説します。

サブリースには、オーナーとサブリース業者との間の転貸を目的とする賃貸借契約(マスターリース契約)と、サブリース業者とエンドユーザーとの間の転貸借契約があります。

不動産の売買や賃貸の場合には、宅建業者が重要事項説明をしなければならないこと(宅建業法35条)はご存じの方も多いと思いますが、賃貸住宅管理業法では、マスターリース契約についても、その締結前に、サブリース業者がオーナーに対して、重要事項をあらかじめ重要事項説明書を交付して説明しなければならないことが定められました。

サブリースについて詳しく知りたい方は、「サブリース契約で失敗しないためには? 仕組みやメリットデメリットを解説」をご参考ください。

サブリースの重要事項説明では何が説明されるのか?

重要事項説明として説明しなければいけない事項は、施行規則6条に定められています。解釈・運用の考え方及びガイドラインにおける具体例と合わせて以下簡単に列挙します。

①サブリース業者の商号、名称又は氏名及び住所(施行規則61号)

②サブリースの対象となる賃貸住宅(施行規則62号)

・例えば、所在地や物件の名称、構造、面積、住戸部分、その他の部分(廊下、階段、エントランス等)、建物設備、付属設備等の説明をすることとされています。

③サブリース業者に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸条件と、賃貸条件の変更に関する事項

・サブリース業者がオーナーに支払う家賃の金額やその設定根拠、支払方法や支払期限等を説明します。

・解釈・運用の考え方及びガイドラインでは、家賃の設定根拠については、近傍同種の家賃相場を示すなどして説明することとされています。また、オーナーが当初の家賃が契約期間中変更されることのないと誤認しないよう、家賃改定のタイミングや、借地借家法上の減額請求が可能であることについても説明することとされています。

④サブリース業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法(施行規則64号)

・ガイドラインでは、「賃貸住宅の維持保全」とは、居室及び居室と密接な関係にある住宅のその他の部分(玄関・通路・階段等の共用部分、居室内外の電気設備・水道設備、エレベーター等)について、点検・清掃等を行い、これらの点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一貫して行うことをいうとされています。

・解釈・運用の考え方では、サブリース業者が行う維持保全の内容について、回数や頻度を明示して可能な限り具体的に記載し、説明することが求められています。

⑤サブリース業者が行う賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担に関する事項(施行規則65号)

⑥サブリース業者のオーナーに対する維持保全の実施状況の報告に関する事項(施行規則66号)

⑦損害賠償額の予定や違約金に関する事項(施行規則67号)

・解釈・運用の考え方及びガイドラインでは、引渡日に物件を引き渡さない場合や家賃が支払われない場合等の債務不履行や契約の解約の場合の損害賠償額の予定について、記載し説明することとされています。

⑧責任及び免責に関する事項(施行規則68号)

・天災等による損害等、サブリース業者が責任を負わないこととする場合は、その旨を記載し説明することとされています。

⑨契約期間に関する事項(施行規則69号)

・契約の始期、終期、期間及び契約の類型(普通借家契約か定期借家契約か)を記載して説明することとされており、特に、契約期間は家賃が固定される期間ではないことを記載し、説明することが求められています。

⑩転借人の資格その他転貸の条件に関する事項(施行規則610号)

・反社会的勢力への転貸の禁止や、学生限定等の転貸の条件を定める場合は、その内容について記載し、説明することが求められます。

⑪転借人に対する維持保全の実施方法の内容の周知に関する事項(施行規則611号)

⑫マスターリース契約の更新及び解除に関する事項(施行規則612号)

⑬マスターリース契約が終了した場合におけるサブリース業者の権利義務の承継に関する事項(施行規則613号)

・解釈・運用の考え方及びガイドラインでは、入居者の居住の安全を図るため、マスターリース契約が終了した場合、オーナーがサブリース業者の転貸人の地位を承継することとする定めを設け、その旨記載し説明することが求められています。

・特に、転貸人の地位を承継した場合に、正当な事由なく入居者の更新を拒むことはできないこと、サブリース業者の敷金返還債務を承継することについて、オーナーが認識できるように説明することとされています。

⑭借地借家法その他マスターリース契約に係る法令に関する事項の概要(施行規則614号)

・契約において家賃が減額されることはない旨定めていたとしても、サブリース業者は借地借家法に基づいて家賃の減額請求をすることができること、サブリース業者からの減額請求をオーナーは必ず受け入れなければならないわけではなく、オーナーとサブリース業者との間で協議し、合意に至らない場合は最終的には訴訟によることとなることも説明することとされています。

・また、オーナーからマスターリース契約の解約申入れや更新拒絶をする場合は、借地借家法により正当事由があると認められる場合でなければすることができない旨を記載し説明することとされています。

誰が重要事項説明をするのか?

宅地建物取引の場合、宅建業者が重要事項説明義務を負いますが、実際に説明を担当する者は宅地建物取引士(宅建士)でなければなりません(宅建業法351項)。

他方、マスターリース契約の場合、賃貸住宅管理業法上サブリース業者が説明義務を負いますが、実際に説明を担当する者の資格は定められていません。ですので、業者の従業員であれば誰が重要事項説明をしても法律上は問題ありません。

もっとも、解釈・運用の考え方及びガイドラインでは、オーナーが十分に契約内容を理解したうえで契約締結の意思表示ができるよう、一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士など専門的な知識及び経験を有する者が説明することが望ましいとされています。

重要事項説明について詳しく知りたい方はコラム「重要事項説明」をご参考ください。

マスターリース契約の更新時にも重要事項説明は必要?

解釈・運用の考え方及びガイドラインでは、サブリース業者がマスターリース契約を従前と異なる内容で更新する場合には、改めて重要事項説明書の交付及び重要事項説明をするものとされています。

また、賃貸住宅管理業法が施行される前にマスターリース契約を締結した場合であっても、施行後に更新して従前と異なる内容の契約になる場合は、重要事項説明書の交付と重要事項説明が必要とされています。反対に、契約内容が変わらず契約期間を延長するだけであれば更新時の重要事項説明は不要と考えられます。

おわりに

投資家としては、サブリース業者の重要事項説明書によく目を通し、自らに不利となる条項がないか、契約条件等で思い違いしていることはないかをしっかり確認したうえでマスターリース契約を締結するようにしましょう。

もしサブリース契約に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします。

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