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境界確定ができない!隣地所有者が行方不明のときどうする?


【相談】隣地所有者が行方不明の場合、境界確定測量を行うためにはどうすればよいでしょうか。

所有する土地を売却するために隣地との境界確定測量をする必要があります。しかし、隣地は数年前から空家状態であり、土地の所有者は行方がまったくわかりません。不動産登記等で調査しましたが、所有者の行方は分かりませんでした。

このような場合、どうすれば境界確定することができるでしょうか。

【回答】不在者財産管理人を選任することで、境界確定測量を行うことが可能です。

行方不明の隣地所有者について不在者財産管理人を選任することが考えられます。不在者財産管理人は利害関係人が家庭裁判所に申立てを行うことで選任され、不在者財産管理人に不在者の代理人として確定測量の立ち合いと境界確認書への署名捺印をしてもらうことで境界確定を行うことができます。

境界確定には隣接地所有者全員の承諾が必要

土地を売却するとき、隣地との境界が定まっていない場合は、境界確定測量が必要になることが多いです。

境界確定測量は土地家屋調査士が境界隣接地の所有者の立会いのもとで行い、測量後には境界隣接地所有者全員の承諾を得て境界確定承諾書を作成します。

隣地所有者が行方不明で境界確定できない場合は?

隣地所有者の協力がないと、境界確定測量を行うことができません。

隣地所有者の行方が分からない場合、まずは登記や戸籍の附票、住民票などから隣地所有者の行方を調査します。調査によって隣地所有者の行方が分かればいいですが、必ずしも判明するとは限りません。

調査をしても隣地所有者の行方が分からなかった場合は、隣地所有者について「不在者財産管理制度」を利用することで、境界確定測量が可能になります

従来の住所又は居所を去って容易に帰来する見込みのない者を「不在者」というのですが(民法25条1号)、不在者財産管理制度は、家庭裁判所が利害関係人等の申立てにより不在者財産管理人を選任し、不在者の財産を保存することで不在者の財産散逸によって受ける不在者の損失を防止し、利害関係人の利益も保護するという制度です。

不在者財産管理人は、不在者の法定代理人として、不在者の財産の管理・保存をする権限があります。不動産の売却等の不在者財産管理人の権限を越える処分行為であっても、家庭裁判所の許可を得れば行うことができます。

隣地所有者について不在者財産管理人が選任されれば、その不在者財産管理人に隣地所有者の代理人として境界確定測量に立ち会ってもらい、境界確認書へも署名捺印してもらうことができます。

境界確定するにあたって不在者財産管理人選任の申立て手続き方法

不在者財産管理人を選任するためには、そもそも対象者が「不在者」である必要があります。不在者であることは、戸籍の附票や住民票によって住所地を確認したり、親族等の関係者がいればその方に問い合わせたりなどして行います。警察署に家出人届出がされているか、不在者宛ての郵便物があて所に尋ね当たらずとして返送されるかどうかの調査も行います。なお、不在者財産管理人選任の申立ての際には、不在を証する資料として、警察署長が発行する家出人届出受理証明書や返送された不在者宛て郵便物等を添付する必要があります。

また、不在者財産管理人の選任には、別途不在者の財産の管理人がいないことを要しますので、この点も確認する必要があります。

対象者が不在者であることと別途財産の管理人がいないことの確認が取れたら、利害関係人が不在者の従来の住所地又は居所地を管轄する家庭裁判所に対して不在者財産管理人選任の申立てを行います(家事事件手続法145条)

利害関係人とは、不在者の財産管理について法律上の利害関係のある者をいい、例えば不在者の共同相続人、不在者の債権者や債務者、不在者の担保権者等が利害関係人になります。本件のように、境界確定を求める隣地所有者も、境界確定のために不在者財産管理人を必要としますので、利害関係人にあたると考えられています。

不在者財産管理人選任申立書には、不在者財産管理人候補者を記載する欄もあり、申立人本人や親族等の関係者、弁護士等の専門家を候補者として申立てを行うことができます。申立てを受けた家庭裁判所は、申立人の推薦する候補者をそのまま選任することもありますが、利益相反関係にあるなど適切な管理を期待できない場合は、申立人が推薦する候補者を適任と認めない場合もあります。推薦した候補者が家庭裁判所から適任でないと判断された場合や、そもそも候補者を記載せずに申し立てた場合は、裁判所ごとに備えられている候補者名簿から弁護士等の専門家を不在者財産管理人として選任します。

申立人としては、不在者財産管理人選任の申立てをする場合に通常数十万円の費用を負担しなければならいことに注意が必要です。

不在者財産管理人選任の申立手数料は800円ですが、裁判所が決定書等の書類を郵送する際に使用するため、1000円から2000円程度の郵便切手を予納する必要があります(裁判所によって予納額が異なります。)。

これに加えて、不在者の財産から管理費用や不在者財産管理人の報酬を捻出する見込みがない場合は、予納金として30万円から50万円ほどを納付するのが通常です。不在者財産管理人に選任されるのが親族等の関係者であって、報酬を請求しないことで話がついている場合は、管理費用等の予納が不要になることもあります。

隣地所有者が行方不明の場合、まずは専門家に相談しましょう

不在者であることの調査や不在者財産管理人選任の申立てはご自身で行うことは難しいですので、隣地所有者が行方不明の場合はまず弁護士などの専門家に相談し、調査や申立てを依頼することお勧めいたします。

当サイトでは無料で弁護士などの専門家に相談することができますので、もしお困りの際は是非ともご利用ください。

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