コラム Column

ホームインスペクションとは何か?仲介業者の義務を解説


【相談】インスペクションとはどのようなものですか。

所有している建物の売却を検討しています。何年か前に中古物件についてインスペクションの義務化という話を聞きましたが、インスペクションとはどのようなものでしょうか。

また、必ずやらなければならないのでしょうか。

【回答】中古住宅の基礎や外壁等に劣化や不具合がないかを調査することです。インスペクションに関して仲介業者の義務が定められましたが、売主や買主に調査の義務があるわけではありません。

インスペクションとは中古住宅の建物状況調査のことで、宅建業法上の建物状況調査は、既存住宅(中古住宅)の基礎、外壁等の部位ごとに生じているひび割れ、雨漏り等の劣化・不具合を専門家が目視や計測によって調査するものです。

平成28年の宅建業法改正により仲介業者が依頼主にインスペクションの活用を促すこと、重要事項説明でインスペクション結果を説明すること、売買契約締結時にインスペクション結果について売主・買主双方が確認し、その内容を書面で交付することが義務付けられました。もっとも、これは仲介業者の義務であり、売主や買主がインスペクションを実施する義務を負うわけではありません。

インスペクションとは何か

インスペクションとは、中古住宅の基礎や外壁に建物の基礎、外壁等に生じているひび割れ、雨漏り等の劣化現象・不具合事象の状況を調査することです

欧米では、中古住宅の流通が多く、インスペクションが普及しています。他方、日本では、新築住宅の人気が高く、中古住宅の流通シェアは極めて低い状況です。中古住宅の取引が少ない原因として、買主が中古住宅の質に不安を抱えていることがあげられます。

そこで、不動産取引のプロである宅建業者が、専門家によるインスペクション(建物状況調査)を促し、中古住宅を安心して取引できるようにすることを目的として、宅建業法にインスペクションに関する規定が置かれました。

以前から様々な業者がホームインスペクションや住宅診断等のサービスを提供していますが、ここでは宅建業法上のインスペクションについて説明します。

宅建業法が定めるインスペクションとは

宅建業法が定めるインスペクションは、建物のすべてではなく、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」を対象とした調査です。

「構造耐力上主要な部分」とは基礎、土台及び床組、柱及び梁、外壁及び軒裏、バルコニー、内壁、天井、小屋組等のことであり、「雨水の侵入を防止する部分」とは外壁、内壁、天井、屋根等です。インターホン、浴室乾燥機等の設備や水道管等は対象に含まれません。

また、このインスペクションは国の登録を受けた一定の講習(既存住宅状況調査技術者講習)を修了した建築士が実施します。この講習を修了した建築士を既存住宅状況調査技術者といい、この資格がない者が行う調査は、宅建業法上のインスペクションとしては認められません。

インスペクションの時間と費用

インスペクションは3時間程度の時間が必要となり、費用としては5万円前後かかると考えられます。

もっとも、インスペクションは目視が主な調査であり、数時間程度で実施される調査ですので、壁の一部を破壊してその内部を確かめたり、建物の強度を調べるといった調査や、特殊な機材を使う調査までは行いません。インスペクションに合格したとしても、建物に瑕疵がないことが保証されるわけではありませんので、注意が必要です。

インスペクションの何が義務化されたのか?

宅建業法では、以下の3つの場面でインスペクションに関する義務が定められました。これらの義務はいずれも仲介業者が行う義務であり、中古住宅の売主や買主には、インスペクションを実施する義務はありません。

媒介契約締結時

不動産業者(宅建業者)が、中古住宅売買の仲介契約締結時に、仲介依頼者に対してインスペクション制度を説明するとともに、仲介依頼者の希望に応じて、インスペクション業者のあっせんを行わなくてはなりません。インスペクション業者の情報を単に伝えるだけではあっせんとはいえず、仲介依頼者とインスペクション業者との間で具体的なやりとりが行われるように手配することが求められます。

重要事項説明時

仲介業者が買主に重要事項説明を行う際、売買対象建物にインスペクションが実施されているかどうか、実施されている場合はその結果を買主に説明しなければなりません。

重要事項説明については「重要事項説明」で詳しく解説されていますので是非ご参考ください。

売買契約締結時

インスペクションが実施された場合、その結果を売主と買主双方が確認し、双方が確認した内容を記載した書面を仲介会社から売主と買主に交付しなければなりません。

インスペクションのメリット

インスペクションを実施することで、調査時点における住宅の状況を把握したうえで取引を行うことができますので、取引後のトラブルの発生を抑制することができます

売主側としては、インスペクションに合格している建物であれば、インスペクションを実施していない建物と比べ、買主はより安心して購入することができますので、交渉がスムーズになると考えられます。インスペクションに合格している分、希望価格で売れる可能性も高まるでしょう。

ただし、インスペクションを行った結果建物に不具合が見つかった場合は、その部分を修繕するか、修繕せず価格を見直すといった対応が必要になります。売主からすると、インスペクションを実施した結果余計な出費となる可能性もありますので、建物の状況に照らして不動産業者と相談しながら実施するかどうか検討しましょう。

インスペクションは買主側の希望で実施することもあり、この場合が買主側の負担で調査を行いますが、実施には売主の同意が必要です。もっとも、買主からインスペクションの希望があった場合、売主は拒否しないほうがよいでしょう。数万円、数時間ですむ調査を拒むことは、建物になんらかの不具合があることを隠していると思われ、取引がスムーズに進まなくなることが考えられるからです。

買主としては、購入判断のため適正な情報を得ることが重要ですので、購入を検討している物件にインスペクションが実施されているのかも判断材料の一つとし、実施されていない場合には自ら売主にインスペクションの実施を申し出るなどすることで、適切な判断材料のもとで購入を検討することができます。

もしインスペクションに関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします

当サイトでは無料で弁護士などの専門家に相談することができますので、もしお困りの際は是非ともご利用ください。

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