コラム Column

【弁護士解説】事故物件の告知義務はあるか?国土交通省ガイドラインのポイント


【相談】「事故物件」の取扱いに関するガイドラインが制定されたと聞きました。どのような概要なのでしょうか。

 

【回答】心理的瑕疵に関して、宅地建物取引業者が買主又は借主に告知すべき内容、範囲、調査の方法などが明らかとなりました。

 

国土交通省:ガイドライン制定のお知らせ

PDF:宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

 

ガイドラインの記載内容のポイントについて、以下ご説明いたします。

国土交通省がガイドラインを作成した経緯

心理的瑕疵とは

土地・建物において、その契約の内容に適合しない場合には、当該土地・建物には瑕疵・契約不適合があることになります。

瑕疵・契約不適合については、物理的な欠陥にとどまりません。

自殺があった物件や殺人事件の現場となった物件には住みたくないというのが、社会通念上、人が抱く感情であり、自殺や殺人事件があった物件については、心理的瑕疵があるとしてしばしば争いになることがあります。

もし賃借人が自殺してしまったケースなどについて知りたい場合は「賃借人が自殺した場合に損害賠償を請求できるか?裁判例を弁護士が解説」をご参考ください。

従前の問題点

宅地建物取引業者は、相手方の判断に重要な影響を及ぼすことになるものについて、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げることが禁じられています。

心理的瑕疵も、相手方の判断に重要な影響を及ぼすことになり得るため、いわゆる事故物件についてはその事実を告げる必要があります。

しかし、それが告知すべき程度なのか否かがこれまで明確ではなく、告知の要否、告知の内容についての判断が困難なケースもありました。

そして、入居者が亡くなった場合には亡くなった理由を問わず、宅地建物取引業者は購入希望者に対し説明しなければならないと思い、そのため、単身の高齢者の入居を敬遠してしまう傾向にありました。

ガイドライン作成の意図

上記の従前の問題点を踏まえ、宅地建物取引業者が採るべき対応について、その基準を規定するガイドラインが作成されることとなりました。

国土交通省により、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」として、公開されています(以下、単に「ガイドライン」といいます。)。

国土交通省が作成したガイドラインのポイント

ガイドラインの記載内容のポイントを挙げると以下の通りとなります。

対象とする不動産の範囲

居住用不動産のみを対象とする。

※オフィス等の居住用以外の目的の不動産は対象としていません。もちろん、ガイドラインの対象ではないというだけで、告知義務がないというわけではありません。

ガイドラインで定められた告知事項

人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならない

告知しなくてもよい場合

①賃貸借・売買取引において、対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)。

②賃貸借取引において、対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合

住宅の共用部分(※)で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死が発生し、事案発生から概ね3年間が経過した後。

※建物のエントランスやエレベーター等が考えられます。

③賃貸借・売買取引において、対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用し

ない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死。

※告知しなくてもよい場合の②、③についても、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案については、告知する必要があります。

※告知しなくてもよい場合の①~③についても、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、告知する必要があります。

※告知しなくてもよい場合の①~③についても、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、その社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等には、告知する必要があります。

調査について(調査の対象・方法)

・売主・貸主に対して、告知書その他の書面に過去に生じた事案についての記載を求めることが必要です。

・告知書その他の書面により、売主・貸主からの告知がない場合であっても、人の死に関する事案の存在を疑う事情があるときは、売主・貸主に確認する必要があります。

国土交通省のガイドラインに沿って告知を行いましょう

上述の通り、ガイドラインは、あくまでも宅地建物取引業者が採るべき対応について規定したものです。

仲介業者である場合と売主や貸主等の売買や賃貸借の当事者である場合とでは、負う責任の内容や程度が異なる点に注意が必要です。

たとえば、売主は、引渡し後に心理的瑕疵が発覚した場合、仮に、ガイドラインに記載されているような一定の調査を行っていたとしても、契約不適合責任等を免れることが出来ない事態も考えられます。

ただし、売主や貸主等の売買や賃貸借の当事者にとっても、トラブル防止の観点から、ガイドラインの記載内容は大いに参考となります。

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