コラム Column
2021年3月に現在の一歩法律事務所を設立。契約書のチェックや文書作成、起業時の法的アドバイス等、予防法務を主として、インターネットを介した業務提供を行っている。
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【相談】自治会を退会したいと思っていますが可能ですか?また、脱退後の暮らしにデメリットなどはありますか?
自治会の活動に負担を感じ、退会を考えています。しかし脱退後の暮らしが不便にならないか不安です。脱退にあたってどのようなデメリットがあるか教えてください。
【回答】自治会は任意団体であり、強制加入すべき義務はありませんので自由に退会できます。
法律的な観点からは、自治会は任意団体であり、強制加入すべき義務はありませんので、退会することも自由にできます。
ただ、地域との関係が悪くなってしまうという懸念はあります。その他のデメリットとしては、自治会内で回されていた回覧板が回ってこなくなることや、自治会が契約しているゴミ集積所を利用できなくなってしまうことなどが挙げられます。
ただし、法的には自由に退会できますので、もし退会にあたって嫌がらせなどを受けた場合は弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
以下で、現役の弁護士が詳しく解説します。
なお町内会の加入についてお困りの方は、「町内会費、自治会費は払わないといけない?未加入のリスクとは」で詳しく解説していますので是非ご参考ください。
自治会・町内会(以下、「自治会」で統一します。)は、各地域の住民で構成される任意の団体を呼称するものです。
株式会社や一般社団法人などの法人は、会社法などの法律上定められた要件を満たすことで法人格というものが与えられます。法人格が与えられた法人は、その法人の名前で土地などの不動産を購入して登記するなど、個人と同じような活動を行うことができます。
これに対して、自治会は、特に法律上での成立要件などが定められておらず、単なる任意団体に過ぎません。法律上は「権利能力なき社団」などと表現されることがあります。
こうした任意の団体について、加入を強制されることはありません。自治会は、その存在そのものが法律上の根拠があるわけではなく任意団体に過ぎず、自治会への加入を義務付ける法律もありませんので、自治会に入るべき法律上の義務はないものと言えます。
自治会に入る義務がないのと同様に、退会する自由も認められています。自治会の会員からの一方的な意思表示で自治会を退会できることについては、最高裁判決で明確に示されています(最高裁平成17年4月26日判決・判例時報1879号10頁)。
仮に自治会の規約で退会を認めていなかったとしても、そのような規約に法的な拘束力はなく、会員は自由に退会することができます。
もし、どうしても自治会を辞めさせてもらえない場合には、退会する旨を記載した書面を自治会長宛に内容証明郵便で送るなどして、退会の意思を示したことを証拠として残すようにしましょう。
法律上は、自治会に入る義務はありませんし、自由に退会できます。ただ、自治会から退会することによって発生するデメリットがあります。個別の事情は地域ごとによって異なりますので、加入されている自治会について、留まることのメリット・デメリットを比較し、入るか入らないかを決めましょう。
自治会に留まることで得られるメリットは以下の通りです。
自治会・町内会を退会することによって、これらのメリットを享受できなくなります。
以下で詳しく解説します。
自治会では、年に何回かの集まりやお祭り、子供会などの催し物があったりしますし、回覧板で地域の情報がもらえたりなどもします。こうしたイベント・回覧板などを通じて近隣住民間の交流を持つことができます。
地域住民間の交流があると、災害時の助け合いなどもスムーズに行いやすくなるというメリットもあります。
自治会を退会することで、こうした地域住民との交流が減ってしまいますので、この点はデメリットと言えます。
自治会では、会員の意見を取りまとめて、行政への意見の申入れを行うことができます。例えば、近所で窃盗などの犯罪被害が多発している場合に警戒・パトロールを強化してもらうよう警察に申し入れたり、事故の危険がある道路にガードレールを付けてほしいなどの要望を役所に申し入れたりするなど、地域の実情に応じた行政への申入れができます。もちろん自治会を退会しても、個人として行政に意見の申入れはできますが、行政側としては、個人からの要望よりも地域住民の団体による申入れに対してはより慎重に配慮しなければならなくなります。
退会することで、自治会を通じて行政への意見の申入れができなくなるというのはデメリットと言えるでしょう。
自治会によっては、地域内の特定の箇所をゴミ捨て場として共同で管理しており、自治会に入っていない人は共同のゴミ捨て場にゴミを出してはいけないというルールを設けているところがあります。このゴミ捨て場において、ゴミ捨てできる人を自治会員に限定するかどうかというのは、自治会により異なります。もし会員のみがゴミ捨て場を利用できるというルールになっていたら、退会した後はそのゴミ捨て場を利用できなくなります。自治会から退会して、ごみ捨て場の利用を拒否された場合には、個別のごみ収集を行政に申し入れる必要があります。ただ、自治会によってはそうしたルールはなく、誰が利用しても良いとしているところもあります。自治会毎でルールが異なりますので、ご自身のところがどうなのかを確認しましょう。
自治会に加入していると、会費を支払う必要があります。自治会によっては会費不要としているところもあるかもしれませんが、多くの自治会では、会費の支払いを求められます。年間数千円程度以内としているところが多いようですが、金銭的な負担が生じることは自治会に加入しているデメリットと言えます。ただ、会費は、ゴミ捨て場の管理や回覧板の作成等の経費として使用されるものですので、やむを得ないものとも言えます。また、マンションでは、マンションの共用部にゴミ捨て場が設けられていることが多く、自治会に入らなくてもゴミ捨てに困ることはないケースが多いです。
自治会を退会すれば、当然、会費を支払う必要はありません。退会することのメリットの一つとして、自治会費を支払わなくてよいということが挙げられます。
自治会では、会長、副会長、書記、経理などの役員を設けられていることが多いです。各役員は、構成員の住民の誰かが務めますが、なり手が少ない場合には半ば強制的に役員にならざるを得ないケースもあります。役員になると地域の催し毎の準備や開催に時間を取られたりしますので、近年では、こうした役員の負担が重いために役員のなり手が少なく、そもそも自治会に入る人も少なくなっているため、特定の人が長期にわたって役員を務めざるを得ないというケースもあるようです。
自治会を退会すれば、役員を押し付けられることはありませんので、この点も退会するメリットと言えます。
自治会は、退会したければいつでも退会できます。
退会することのデメリットは、上で挙げたように、回覧板が回ってこず地域住民との交流が少なくなる、行政への意見が伝えにくくなる、共同のゴミ捨て場が利用できなくなるというものが挙げられます。これらの点をデメリットと感じるかどうかはご自身の周囲の環境によるでしょう。特に都市圏ではマンションも多く、そもそもマンションは人の交流が少なくなり、また、共用部にゴミ捨て場がありますので、自治会に入るメリットを感じることは少ないでしょう。また、戸建てにお住まいの方でも自治会によっては共同のゴミ捨て場が使えたりしますので、自治会を退会することのデメリットを感じる場面というのは多くはないと言える社会になってきています。
退会時のデメリットが気になる方は、自治会に加入していたことによってどのようなサービスを受けていたのか確認し、本当に退会しても問題がないか検討しましょう。
自治会を退会しようと申し出ると、引き止めに遭う場合もあります。しかし自治会・町内会は任意団体なので、加入を義務付ける法的な拘束力はありませんし、退会するのも自由です。もし、退会の引き止めがエスカレートして嫌がらせを受けたりしたら、そうした行為は民法上の不法行為に当たる可能性がありますし、悪質な場合には脅迫罪や強要罪などの刑事罰の対象ともなりえますので、そうした場合には、弁護士などの専門家に相談しましょう。
以上のように、自治会・町内会は自由に退会することができますので、退会するメリット・デメリットを検討して、退会するかどうかを検討しましょう。退会したいと言っているのに、引き止められた場合や受け入れてもらえない場合には、書面等で退会の意思を明示するようにしましょう。
もし不当な物言いや嫌がらせを受けてしまった場合は、弁護士などの専門家に相談しましょう。
もし町内会に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします。
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