コラム Column

町内会費、自治会費は払わないといけない?未加入のリスクとは


【相談】町内会に入ることは義務ですか? 入らない場合はどのようなデメリットがあるか教えてください。

引越しした先に町内会がありました。町内会に加入が必須と勧誘されていますが、

必ず入らないといけないものなのでしょうか?

町内会に入らないといけない義務や、町内会費を支払わないといけないのかなど相談させてください。

入らないことによって村八分にされたり、ゴミ捨て場を使わせてもらえない、回覧板をもらえないなどのトラブルも聞いたことがあります。

【回答】町内会・自治会に加入義務はありません。未加入の場合は町内会のゴミ捨て場にゴミを出せないなどのデメリットがあります。

まず端的に回答しますと、町内会・自治会に入らないといけないという法律上の義務はありません。町内会に入ることを強制されることはありませんし、入った後で退会する自由もあります。町内会に入らない限りは会費の支払義務を負うこともありません。

かつては町内会に入らないと、いわゆる村八分のようないじめに遭うということもあったようですが、核家族化が進み、近隣住民との交流も少なくなった現在では村八分に遭うということは少ないと言えます。

ただ、未加入でいると町内会のゴミ捨て場にゴミを出せないなどの事実上のデメリットもありますので、これらも考慮して、ご自身で入るか入らないかを判断するようにしましょう。

なお町内会の退会についてお困りの方は、「自治会・町内会を退会したい! 暮らしへのデメリットはある?【弁護士解説】」で詳しく解説していますので是非ご参考ください。

町内会・自治会に入るべき法律上の義務ありません

町内会・自治会(以下、「町内会」で統一します。)は、各地域の住民で構成される任意の団体を呼称するものとして使用されます。

株式会社や一般社団法人などの法人は、会社法などの法律上定められた要件を満たすことで法人格というものが与えられます。法人格が与えられた法人は、その法人の名前で土地などの不動産を購入して登記するなど、個人と同じような活動を行うことができます。

これに対して、町内会は、特に法律上での成立要件などが定められておらず、単なる任意団体に過ぎません。法律上は「権利能力なき社団」などと表現されることがあります。

こうした任意の団体について、加入を強制されることはありません。そもそも団体に加入することが法律で義務付けられている団体というのはほとんどありません。

例えば、弁護士は、弁護士会という団体に加入しなければ弁護士業務が行えませんが、これは弁護士法という法律に基づいて日弁連という団体に加入することが義務付けられていることによるものです。法律上の根拠がなければ、団体への加入を義務付けられることはありません。

町内会は、その存在そのものが法律上の根拠があるわけではなく任意団体に過ぎませんので、当然、町内会への加入を義務付ける法律もありません。したがって、町内内会に入るべき法律上の義務はないものと言えます。

また、入る義務がないのと同様に、退会する自由も認められています。会員の一方的な意思表示で退会できることについては、最高裁判決で明確に示されています(最高裁平成17年4月26日判決・判例時報1879号10頁)。

町内会に入るメリット、デメリット

法律上は、町内会に入る義務はありませんが、町内会に入ることによるメリットとデメリットがあります。地域ごとによって事情も異なりますので、メリット・デメリットを比較し、入るか入らないかを決めましょう。

町内会に入るメリット

地域住民間の交流が増える

町内会では、年に何回かの集まりやお祭り、子供会などの催し物があったりしますし、回覧板で地域の情報がもらえたりなどもします。

地域住民間の交流があると、災害時の助け合いなどもスムーズに行いやすくなるというメリットもあります。

他方、こうしたイベントごとや隣人らとの交流が煩わしいと感じる人もおられるでしょうから、そうした人にとってはデメリットともなります。

行政への意見が言いやすくなる

町内会で意見を取りまとめて、行政への意見の申入れを行うことができます。

例えば、近所で窃盗などの犯罪被害が多発している場合に警戒・パトロールを強化してもらうよう警察に申し入れたり、事故の危険がある道路にガードレールを付けてほしいなどの要望を役所に申し入れたりするなど、地域の実情に応じた行政への申入れをしやすくなります。

行政側としても、個人からの要望よりも地域住民の団体による申入れに対してはより慎重に配慮しなければならなくなります。

ゴミ捨て場の共同利用

町内会によっては、地域内のある箇所をゴミ捨て場として共同で管理しており、町内会に入っていない人は共同のゴミ捨て場にゴミを出してはいけないというルールを設けているところがあります。

町内会が管理しているゴミ捨て場について、ゴミ捨てできるひとを町内会員に限定するかどうかは町内会により自由に判断できますので、そういうルールになっていたら、未加入者はそのゴミ捨て場を利用できないとしてもやむを得ないと言えます。

町内会からごみ捨て場の利用を拒否された場合には、個別のごみ収集を行政に申し入れる必要があります。

ただ、町内会によってはそうしたルールはなく、誰が利用しても良いとしているところもあります。

町内会毎でルールが異なりますので、ご自身のところがどうなのかを確認しましょう。

町内会に入るデメリット

会費の負担がある

町内会に入ると、会費を支払う必要があります。町内会によっては会費不要としているところもあるかもしれませんが、多くの町内会では、会費の支払いを求められます。年間数千円程度以内としているところが多いようですが、金銭的な負担が生じることはデメリットと言えます。ただ、会費は、ゴミ捨て場の管理や回覧板の作成等の経費として使用されるものですので、やむを得ないものとも言えます。

また、マンションでは、マンションの共用部にゴミ捨て場が設けられていることが多く、町内会に入らなくてもゴミ捨てに困ることはないケースが多いです

役員を務めさせられるかもしれない

町内会では、会長、副会長、書記、経理などの役員を設けられていることが多いです。各役員は、構成員の住民の誰かが務めますが、なり手が少ない場合には半ば強制的に役員にならざるを得ないケースもあります。役員になると地域の催し毎の縦鼻や開催に時間を取られたりしますので、近年では、こうした役員の負担が重いために役員のなり手が少なく、そもそも町内会に入る人も少なくなっているため、特定の人が長期にわたって役員を務めざるを得ないというケースもあるようです。

町内会に入らないことによるデメリットは少ない

冒頭で述べましたように、町内会に入る義務はありませんので、近隣住民から勧誘されても拒否することができます。また、いったん入っても、退会したければいつでも退会できます

ただ、町内会に入らないデメリットは意識しておいたほうが良いでしょう。町内会に入らないデメリットは、町内会に入るメリットの裏返しです。すなわち、回覧板が回ってこず地域住民との交流が少なくなる、行政への意見が伝えにくくなる、共同のゴミ捨て場が利用できなくなるというものが考えられます。

これらの点をデメリットと感じるかどうかはご自身の周囲の環境によるでしょう。特に都市圏ではマンションも多く、そもそもマンションは人の交流が少なくなり、また、共用部にゴミ捨て場がありますので、町内会に入るメリットを感じることは少ないでしょう。また、戸建てにお住まいの方でも町内会によっては共同のゴミ捨て場が使えたりしますので、町内会に入るメリットを感じる場面というのは多くはないと言える社会になってきています。

町内会に入るかどうかは、ご自身でお住いの状況のもとでメリット・デメリットをよく考え、判断するようにしましょう。

もし町内会に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします

当サイトでは無料で弁護士などの専門家に相談することができますので、もしお困りの際は是非ともご利用ください。

無料会員登録はこちらから。

不動産投資DOJOでは、弁護士や税理士などの専門家に無料相談可能です。

専門家からの回答率は94%以上

会員登録(無料)で、どなたでもご利用いただけます。

会員登録(無料)していただいた方には、「不動産投資を学べるeBook」のプレゼント特典もあります。ぜひご登録ください。

人生を変える不動産投資を学べる堀塾を運営しています。不動産投資を学びたいのなら、ぜひご検討ください。 体験セミナーを募集中です。」
体験セミナー詳細はこちら

記事が役に立ったらシェア!