コラムColumn

【買取り・売却も可能】共有持分を解消するための3つの方法

作成日: 2021/07/19 投稿者名:宮川 敦子
更新日: 投稿者資格:弁護士(東京弁護士会)
記事が役に立ったらシェア!


【執筆者:宮川敦子】

弁護士(東京弁護士会)。慶應義塾大学法科大学院修了。

不動産トラブルに関する業務、家族信託・遺言作成業務などをはじめとする多岐の分野に携わる。


宮川先生のプロフィールはこちら




【相談】1筆の土地を兄弟2人で共有している状態ですが、円滑に共有状態を解消したいと考えています。

 

父親の相続を経て、現在、1筆の土地を法定相続人であった子2人(私と兄)が共有しています。

 

私と兄とは、土地の利用方法について意見が食い違い、有効にその土地を管理・運営していくことができない状況です。

 

たとえば、私が兄の持ち分を買い取る等して、共有状態を解消したいと考えていますが、どのような方法が考えられるのでしょうか。

 

【回答】共有状態を解消する方法としては、共有者全員で協議により合意する方法や裁判所を入れた手続き(調停や共有物分割訴訟)が考えられます。

 

共有者全員で共有物分割の協議を行っていただき、分割方法について合意が調えば、協議が成立します。

 

協議において合意が調わない場合には、裁判所に調停の申立てをする選択肢があります。

 

調停でも協議が調わない場合には、裁判所に、共有物分割訴訟を提起することになります(民法258条1項)。

 

なお、調停の選択肢を踏むことなく、いきなり訴訟提起を行うことも可能です。 

 

協議の方法に関して、上記のいずれの方法を採る場合においても、分割方法として、①現物分割、②換価分割(代金分割)、③代償分割(価格賠償)などの方法が考えられます。

 

共有状態を解消する方法

共有状態を解消する方法としては、共有者全員で協議により合意する方法や裁判所を入れた手続き(調停や共有物分割訴訟)を採る方法が考えられます。

 

(1)共有物分割協議

共有者全員で、共有物の分割方法等を決定します。

 

協議に関する具体的な方法や方式について、民法における定めはありません。

 

いわゆる契約自由の原則に基づき、共有者全員の協議が調えば、協議が成立することになります。

 

また、共有物の分割方法として、以下が挙げられます。


①現物分割

共有不動産を共有持分の割合に応じて、物理的に分ける方法です。

各共有者が当該割合を単独所有することになります。

 

②換価分割(代金分割)

共有不動産を第三者に売却し、売却代金を共有持分割合に応じて、共有者で分ける方法です。

売却の方法としては、不動産仲介業者等を通じて、共有物を売却する方法や、競売の手続きを採る方法があります。

 

③代償分割(価格賠償)

共有不動産を共有者1名の単独所有とし、または、数人の共有とし、これらの者から他の共有者に対して持分の価格を賠償させる方法です。

 

(2)民事調停を利用する方法

当事者間で協議が成立しない場合には、裁判所に調停の申立てを行うことができます。

 

民事調停は、調停委員会が当事者の間に立って、協議を促し、解決を図ることを目的としています。

 

なお、民事調停の手続きを踏むことなく、いきなり訴訟提起を行うことも可能です。

 

(3)共有物分割訴訟による方法

当事者間で協議が成立しない場合には、裁判所に共有物分割訴訟を提起することが考えられます(民法258条1項)。

 

共有物分割訴訟は、「固有必要的共同訴訟」(民事訴訟法40条)とされており、つまり、全ての当事者(共有者)が原告または被告となる必要があります。

 

共有物の分割方法の優先順位

共有者間の協議による場合には、上記①~③のいずれの分割方法を採るかについて、共有者が自由に決めることができます。

 

しかし、裁判上の分割を行う場合(共有物分割訴訟)には、分割方法に関して、原則として、以下の民法258条2項によることと規定されています。

民法258条

1 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

民法258条2項によると、原則として、現物分割の方法が採られ、例外的に競売の方法が認められる旨が規定されています。

 

しかし、判例上は、相当性(※1)及び実質的公平性(※2)の点から「特段の事情」が認められる場合には、代償分割(価格賠償)の方法を採ることを可能としています。

 

そして、競売の方法は、現物分割や代償分割(価格賠償)のいずれも採用できない場合に選択されているのが実際のところであると言えます。

 

※1 相当性に関しては、現物分割が不能であることまでは必要ではありません。たとえ現物分割が可能であったとしても、共有物の性質・形状、その利用状況、分割方法についての共有者の希望等が考慮され、相当性が判断されることになります。

 

※2 実質的公平性に関しては、共有物の価格が適正に評価されることや、現物取得をする者に代償金の支払能力があること等が考慮されます。 

 

最後に

本件で、ご相談者と共有者であるお兄様との間の話合い(協議)において、共有物を分割する場合には、民法上の定めはなく、上記①~③のいずれの分割方法を採るかについて、自由に選択することができます。

 

他方、訴訟手続きにおいて共有物を分割することになった場合には、上述の相当性(現物分割の可能性の有無やお兄様の希望等)及び実質的公平性(共有物の価格を適正に評価できているか、また、ご相談者に代償金の支払能力があるか)の点について、裁判所が検討します。

 

そして、裁判所がご相談者に単独で所有させるのが相当であると判断する場合には、ご相談者のご希望通り、③代償分割(価格賠償)の方法を採ることになります。

 

なお、民法の条文上、裁判所の裁量がとても大きいようにも読めますが、実際には、裁判所は当事者に対して適切な分割方法を促すことによって、当事者の意向に即した分割を行っていると評価されています。


不動産投資DOJOでは個別のケースについても、無料で専門家に相談することができます。

お困りの際は、是非こちらから登録して相談してみてください。

無料会員登録はこちら


記事が役に立ったらシェア!