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建物買取請求権とは?弁護士がわかりやすく解説


【相談】建物買取請求権とはどんな権利ですか?

借地上に建物を建てて居住していましたが、別の場所に土地建物を購入したので、借地上の建物は物置として使うようになりました。借地権を設定したのは平成2年で、借地上の建物は木造住宅です。このたび、借地契約の期間満了時期となったため、地主に更新請求したのですが、地主からはもう住んでいないのであれば更新しないと拒否されてしまいました。借地契約は終了して借地上の建物を撤去するとなるとある程度の解体費用が掛かりますので、どうしようか困っています。建物買取請求権という権利も聞いたことがありますが、これはどのような権利でしょうか。

【回答】借地権が期間満了によって更新されず終了するときに、 借地上の建物を時価で地主に買い取ってもらうことができる権利です。

借地権付き物件について詳しく知りたい方は「【弁護士が解説】借地権付き建物の不動産投資のメリット・デメリット、注意点」をご参考ください。

建物買取請求権とは

建物買取請求権は、借地権の期間満了時に借地契約が更新されず終了するとき、借地人の請求によって、借地上の建物を時価で地主に買い取ってもらうことができる権利です。

借地権が終了すると、借地人は原則として更地にして地主に返還しなければなりませんが、建物買取請求権を行使することにより、地主に建物を買い取ってもらうことができます。

借地契約終了によって借地人は建物を撤去しなければいけない?

借地契約が終了すると、借地人は原状回復義務を負います。したがって、借地人は、原則として、借地上の建物を撤去し、更地としたうえで地主に返還しなければなりません。

借地人は建物を建てるためにお金をかけているわけですから、お金をかけた分の価値を回収できなければ、借地人にとって不利益なこととなってしまいます。借地権が終了したという理由だけでまだ利用価値のある建物を撤去しなければならないとすれば社会的経済的にも損失だと考えられます。

そこで、旧借地法及び借地借家法は、借地人の投下資本回収や建物の経済的効用維持などの観点から、建物買取請求権という権利を設けました(旧借地法4条2項、借地借家法13条)。

建物買取請求権とは借地上の建物を地主に時価で買い取るよう請求できる権利

建物買取請求権とは、借地権が期間満了時に借地契約が更新されずに終了したとき、借地権者が借地上に建てた建物について、地主に時価で買い取るよう請求することができる権利です(旧借地法4条2項、借地借家法13条)。

借地権には、旧借地法上の借地権(平成4年8月1日の借地借家法施行前の借地法に基づいて設定された借地権)、借地借家法上の普通借地権定期借地権(一般定期借地権、事業用定期借地権及び建物譲渡特約付借地権があります。)及び一時使用目的の借地権があります。

建物買取請求権が認められるのは旧借地法上の借地権と、借地借家法上の普通借地権の場合だけです。定期借地権や一時使用目的の借地権の場合は、建物買取請求権を行使することはできません(なお、建物譲渡特約付借地権の場合は借地権終了時に建物を地主に譲渡しますが、これは借地借家法13条によるものではなく、特約によるものです。)。

本件では、平成2年に借地権を設定していますので、旧借地法上の借地権です。そこで、旧借地法4条2項により、建物買取請求権を行使することができます。

ちなみに、借地借家法上の借地権の存続期間は最低30年と定められていますので(借地借家法3条)、平成4年(1992年)8月1日に施行された借地借家法上の借地権の期間満了や更新が問題となるのは、早くとも令和4年(2022年)8月1日となります。

建物買取請求権は、権利者の一方的な権利行使によって権利関係に一定の変更を生じさせる形成権という種類の権利です。したがって、借地人が建物買取請求権を行使した場合、借地人と地主との間に借地上の建物についての売買契約が成立したことと同様に扱われることになり、地主は建物の買取を拒むことはできません

買取金額は不動産鑑定士に鑑定してもらうのが一般的

建物買取請求権を行使すると、建物の「時価」で買い取ってもらうことができます。この「時価」とは、建物を取り壊した動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価値をいいます。この価値を算定するとき、敷地の借地権の価格は加算すべきではありませんが、その建物の存在する場所的環境は考慮して算定すべきものと考えられています(最判昭和35年12月20日民集14巻14号3130頁)。

もっとも、「建物が現存するままの状態における価値」といっても、具体的にどのような価格なのかは一般の人にはわかりませんから、通常は不動産鑑定士に鑑定してもらい、その金額をもとに代金を決めることになります

債務不履行解除や合意解約の場合は建物買取請求権は無い

借地権が終了するのは、期間満了の場合だけではありません。借地人の債務不履行によって解除される場合や、借地人と地主との間の合意によって借地契約を解約する場合もあります。

もっとも、建物物買取請求をすることができるのは、旧借地法でも「契約ノ更新ナキ場合」、借地借家法でも「存続期間が満了した場合において、契約の更新がない場合」と明記されていますので、建物買取請求権を行使することができるのは期間満了によって更新せず終了した場合に限られます。債務不履行解除や合意解約の場合、借地人に建物買取請求権はありません。

判例でも、建物買取請求権は借地人保護のためのものであるから、借地人の債務不履行で解除した場合は建物買取請求権がないとされています(最判昭和35年2月9日民集14巻1号108頁)。

また、合意解約の場合も、建物買取請求権はないと判断されています(最判昭和29年6月11日判タ41号31頁)。これは、合意解約の場合は借地上の建物をどうするかまで考慮したうえで解約の合意をしたと考えられるためです。

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