コラム Column

RC外断熱とは何か?①


前回のコラム(はじめての新築マンション建築(完結編))では、新築マンション計画の業者を決めるまでについてお話しました。

今回からは業者を決めるポイントにもなったRC外断熱についてお話していきたいと思います。

RC外断熱との出会い

2001年、父が52歳の若さで亡くなったため、賃貸マンションを何棟か相続しました。このとき私は28歳でした。

相続した物件は鉄筋コンクリート構造(RC造)なのですが、結露の酷い居室が何部屋かあり、特に北向きの部屋では、壁紙が剥がれたりカビが発生したりして、換気扇を新たに設置したりするなど大変苦労しました。

他人を家にあげたくないためか、ほとんどの入居者は少々居室が傷んだくらいでは報告してくれず、完全にダメな状況になってから連絡をいただく場合が多いのです。

そして気密性が非常に高いRC造ではほぼ必ず結露が起きるので、住まい方に注意していただくしかない、というのが管理会社等の周囲の意見でした。

これまでのコラムで書いたように、父の相続の後片付けが落ち着いた頃、ある業者から賃貸住宅の建設プランが提案されました。

しかし、RC造では結露が起きてしまうため、私はあまり乗り気ではありませんでした。

そんなとき、書店で一冊の本を手に取りました。

「究極の我が家 100年マンションの誕生」(江本央著)でした。

それによると、

「日本で主に行われてきた断熱工法である『内断熱』は誤った断熱工法であるため、結露が発生する。

 これに対して、断熱材を建物の外側に配する『外断熱』であれば、

 1.結露は起きないし、

 2.省エネルギー、

 3.かつ建物の寿命も延びる」

とのことでした。

私は疑り深い性格なので、外断熱をベタ褒めする本書を鵜呑みにすることは出来ませんでした。

しかし、読み進めるうちに考えが変わってきました…。

内断熱と外断熱の構造

外断熱と内断熱の構造を大雑把に説明するのが次の図です。

【内断熱のイメージ】

【外断熱のイメージ】

これまで主流とされてきた内断熱工法に対して、外断熱は建物全体を断熱材(グラスウール等)で包み込んでしまうため、素人目にも建物が傷みにくいことが分かります。

そして、建物本体の温度が一定に保たれるので、空調に頼り過ぎることなく生活できます。その結果、省エネルギーにつながります。

そして結露も非常に起きにくくなります。

結露が出てしまう仕組み

結露とは、暖かい湿った空気が、急に冷やされたり冷たいものに触れたりしたときにその空気に含まれている水蒸気が水滴になる現象を言います。

気温が高いと「空気中に含むことの出来る水蒸気量(=飽和水蒸気量)」が多く、逆に気温が低いと飽和水蒸気量が少なくなることから起きる現象です。

たとえば、コップに冷たい水をそそぐとコップの外側に水滴がつきます。

これはコップの中の冷たい水によって周囲の空気が冷やされ、飽和水蒸気量が低下することによって、空気中の水蒸気が水に戻ってしまったからです。

次の図をご覧下さい。

 

①クロス ②③ボード等の内装材 ④断熱材 ⑤コンクリート躯体 ⑥外装材(タイル等)

内断熱の建物は、その名の通り、建物本体(=躯体)の内側に断熱材があるため、建物本体は外気温と連動することになります。

そして、水蒸気の分子は非常に小さく、断熱材を楽々と通り抜けて建物本体にまで届いてしまいます。

すると、そこで冷やされた空気の飽和水蒸気量が低下し、建物本体と断熱材との間で水に戻ってしまいます。

このように室内側の壁内で水に戻ってしまうため、プラスターボードが水分を含みグズグズになってしまったり、カビの温床になってしまったりするのです。

ここで実際にRC造内断熱の建物の室内の様子をご紹介。

2005年11月22日 午前8時ごろ

室内 16度  70%

室外  7度  65%

南部屋の窓の状況です。



アルミ製の窓枠も・・

そして、北部屋はこんな感じ。 



当然、プラスターボードの中でも同じことが起こっているはずです。

①クロス ②③内装材 ④コンクリート躯体 ⑤⑥断熱材 ⑦通気層 ⑧外装材(タイル等)

これに対して、外断熱の建物の躯体の温度は室内の気温と連動しており暖かいため、躯体に室内の水蒸気が触れても結露は起きません。

しかも、たとえ水蒸気が躯体を通過し外気で冷やされたとしても、外側に通気層が存在するため、そこから水蒸気が抜けていきます。

このように結露が発生しにくいと… 

1.これまでより室内の湿度を上げても、結露が起こらない

  そのため風邪も引きにくい(風邪の菌は、低気温・低湿度を好むため)

2.アレルギーの原因となると言われているカビ・ダニが発生しにくい

ということになります。

このように良い事ずくめの外断熱。

それでも私は、賃貸住宅に外断熱を採用することに二の足を踏んでいました。 

続く

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