不動産投資講座 Knowledge
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。
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不動産投資でセミリタイアしたい、不労所得を得たいと考えているのでしたら、キャッシュフローが最も重要となります。
キャッシュフローとは、現金がどれだけ手元に残るのか?という金額になります。
不動産投資の不労所得でセミリタイアしたいのなら、日々の生活費や次の物件購入費用をキャッシュフローで賄っていく必要があります。
そのため、キャッシュフローは不動産投資において最も重要な指標の一つとなっています。
この記事では、キャッシュフローの重要性、計算方法や、キャッシュフローを増やす方法について詳しく解説します。
キャッシュフロー(Cash Flow)とは、決算書などの用語で一般的に使われており、直訳すると現金の流れのことです。
つまり、ある一定期間(1ヶ月とか1年とか)の中で、どれだけ現金が入ってきて、どれだけ現金が出ていったか?
その流れがキャッシュフローです。
不動産投資でいえば、家賃収入から借入金の返済や経費などの支出を差し引いて手元に残る現金の流れを指します。
「決算書の利益と違うの?」
って思われた方もいるかもしれません。
実は利益とキャッシュフローとは全くの別物になっています。
利益は、銀行融資の元金返済や、減価償却などが含まれているので、お金の流れを正確に表してはいません。
つまり、決算書で利益が黒字になっていたとしても、現金がどんどん減ってしまっているケースもあるわけです。
現金が枯渇して支払いができなくなってしまうと、融資の返済や仕入れなどができなくなり倒産してしまいます。
黒字倒産という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、まさにこの黒字だけどキャッシュフローがマイナスで現金が枯渇するときに起こってしまう現象です。
そのため、不動産投資においてもキャッシュフローはとても重要な指標となっています。
投資家としては、キャッシュフローが良い状態を目指すことになるでしょう。
キャッシュフローの良い状態とは、手元の現金が増えていっており、一定程度の金額があるような状態です。裏を返せば、キャッシュフローの悪い状態とは、手元の現金が増えず、現金が不足するような状態です。
不動産投資においてもキャッシュフローは最も重要な指標の一つとなっています。
不動産投資家を始めるきっかけとして、「不動産投資で不労所得を得たい、サラリーマンを辞めたい」と考えている方も多いと思います。
この時、セミリタイアできるようにするためには、
が必要となります。この手元に現金が残るというのは、まさしく不動産投資からキャッシュフローがいくら得られるかということとなります。
そして注意が必要な点としては、キャッシュフローがマイナスとなる物件を買っている方がいることです。
キャッシュフローがマイナスということは、毎月手元から現金が出ていってしまうことになります。
投資初期にキャッシュフローがマイナスの物件を買ってしまうと、自己資金がどんどん枯渇していくため規模を拡大することが不可能になります。
修繕費用などの捻出も難しくなるかもしれません。
そういったことからも、不動産投資においてもキャッシュフローはとても重要な指標となっています。
【ワンポイント】キャッシュフローを気にすべき理由は?
不動産投資においては、利回りが投資の成果を測るひとつの指標となります。しかし、表面利回りや実質利回りは、満室になることを想定しての計算となります。そのため、利回りだけに注目していると、入居率が悪かった場合に、想定を大きく下回り、損失を被る可能性があります。キャッシュフローは、入居率や借入金を考慮して計算するものなので、より実態に近い形で、投資の成果を測ることができます。
キャッシュフローの計算方法は、2通りあります
実際の収入と支出をすべて書き出して計算する方法です。正確なキャッシュフローが出せます。
キャッシュフロー = 家賃収入 − 銀行返済 ー 支出(経費など) |
家賃収入は、実際に入居者から振り込まれる家賃の合計になります。
銀行返済は、銀行への返済金額です。元金と利息の両方の実際に返済している金額になります。
支出は、不動産を運営するにあたって支払っている経費を計算します。
具体的には、管理費用、電気代や水道代、固定資産税などの税金、修繕費用、広告費用などです。
決算書から読み取る場合は、簡易的にキャッシュフローを計算する方法があります。
キャッシュフロー = 利益 + 減価償却 ー 元金返済 |
利益 = 収入ー支出
なのですが、支出の中に、実際に現金が出ていかない項目や、お金が出ていくのに含まれていない項目があります。
その項目を追加してあげることでキャッシュフローになります。
減価償却:減価償却は建物などの劣化分を損金に計上しているため実際にお金は出ていっていません。実際にお金が出ていっていないので、プラスしてあげます。
元金返済:銀行融資の元金返済は、実際にお金が出ていっているのですが利益の計算には含まれていません。その分を実際に引いてあげることでキャッシュフローとなります。
実際にキャッシュフローを計算してみましょう。
物件価格3000万円、利回り5%の物件を、融資金額3000万円で期間35年で金利2.5%で借りた場合を計算してみましょう。
区分マンションなので積み立て修繕金が1万円、管理費が1万円
家賃収入は3000万円×5%なので年間150万円→月に12.5万円となります。
月々の返済額は10.7万円です。
キャッシュフローの計算
12.5万円ー10.7万円ー1万円ー1万円=ー2000円
となっています。
つまり、この物件を買うと、2000円が毎月必ず出ていくことになります。
しかも、この計算では、含まれていない経費が多々あります。
これらを含めて計算すると、毎月の持ち出しが、1万円にも3万円にもなる可能性があります。
たとえば空室になったら、家賃が0になるので、最低でも12.7万円のお金が出ていってしまうのです。
毎月、どんどんお金が出ていく物件を初期に買ってしまうと、その後の規模拡大が難しくなりセミリタイアが遠のいてしまうので注意しましょう。
キャッシュフローを増やすための方法があります。これらは不動産投資で拡大していくのにとても重要な項目になります。
キャッシュフローで最も影響を与えるのは銀行の返済条件になります。
少しでも良い条件で銀行融資を受けることで、キャッシュフローが劇的に改善します。
1)金利
銀行融資の金利を下げることでキャッシュフローを改善することができます。
3000万円35年で2.5%の金利だと、月々の返済は10.7万円となりました。
もし金利を1%まで下げることができれば、月々の返済は8.4万円まで減り、キャッシュフローが2.3万円も改善します。
できるだけ低金利で借りることが不動産投資において大切となります。
低い金利になるよう努めることは支出を抑える重要なポイントのひとつです(金利の引き下げについては、「ローンと金利の基本を押さえよう!」という記事で簡潔に説明していますので、よろしければご覧ください)。
2)融資期間
最も影響を与えるのは融資期間になります。
3000万円35年2.5%から、もし融資期間が60年間になった場合の返済金額は、8.0万円まで減ります。
融資期間を伸ばした場合の注意点もあります。
それは、借金の返済を先送りにしているだけにすぎず、元金が減らないことと、支払いの総額が増えてしまうことです。
安易に返済期間を長くしすぎることも利益を先食いしているだけとなってしまうので、気を付けましょう。
なお、融資期間がどのように決まるのかなどについては、「融資を受ける大前提はこれ!」という記事で説明しております。
収入を上げることはキャッシュフローの増加に直結します。
リノベーションしたり、家具を付けたり、インターネット無料を導入したり入居付けを工夫することで家賃UPが可能な場合があります。
空室になると家賃が入ってこなくなるためキャッシュフローは減ってしまいます。空室期間を減らすことはキャッシュフローの増加に大きく影響するため、とても重要な項目になります。
経費としては、修繕費、管理会社に支払う手数料、共用部分等の清掃費、借主を募集するための広告費用、借主が退去した後のリフォーム代等があげられます。
維持費のかかる設備の利用を避ける、業者に依頼する際には相見積もりをとるなど支出を抑えることで、キャッシュフローを増やすことが可能となります
キャッシュフローを良くするためには、上述してきたような①融資条件を見直すほか、②家賃収入を増やす、③経費を減らすといったことがあげられます。
②の家賃収入を増やす方法については、様々な書籍やウェブページで解説がなされているので、是非ご自身でも調べてみてください。本サイトでも、今後、機会があれば、家賃収入を増やすための方法について記事を設けたいと思います。
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