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イールドギャップとは何か?利回りと金利との差が不動産投資のポイント

作成日: 2020/10/19 投稿者名:溝口 矢
更新日: 投稿者資格:弁護士(東京弁護士会)
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【執筆者:溝口 矢】
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。弁護士法人Martial Artsにて不動産関係の問題に多数関与。(法律相談、交渉、訴訟、講演等)。
不動産投資DOJOにてコラム執筆中。





イールドギャップとは?

 

融資を引いて不動産投資をする際に、金利が上昇するリスク投資の対象となる物件の収益性を見極めるひとつの指標とされているのが、イールドギャップです。

 

イールドギャップという概念は、不動産投資に限らず、投資一般に使われるものですが、不動産投資におけるイールドギャップとは、投資物件の利回りと金融機関からの借入(ローン)の金利との差のことです。

 

※金利には、固定金利と変動金利があります。不動産投資においては、変動金利が採用されることも少なくないのですが、この場合には、金利が上昇するリスクに注意を払う必要があります。金利について知りたい方は「ローンと金利の基本を押さえよう!」という記事もご覧ください。

 

1:イールドギャップ(一般)


イールドギャップ=投資物件の利回りローン金利


イールドギャップが意味するものとしては、


金利を考慮した得られる最大の利益


ということになります。


イールドギャップの値は大きければ、より得られる最大利益が大きくなり、収益を上げたい投資家にとっては良い方向になります。


例えば、利回り4%の区分マンションを2.5%の金利で融資を受けて購入したとしたらどうなるでしょうか?


この場合のイールドギャップは、


イールドギャップ = 4% ー 2.5%  = 1.5%


となります。この1.5%の中から、修繕費や広告費や税金を支払わないといけないのです。


区分マンションが儲からないのは、イールドギャップが全く取れないことも原因となっています。


もし利回りが30%の築古の物件があったとします。


この物件を金利5%で 融資を受けた場合どうなるでしょうか?


この場合のイールドギャップ= 30% ー 5% =25%


となります。金利が5%と高いので微妙と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、利回りが30%と高いので、イールドギャップが25%となったのです。


先ほどの区分マンションの1.5%の15倍以上ですね!


このように、イールドギャップを考えることで、収益性と調達金利を合わせて考えた収益性が検討できます。
 

正確なイールドギャップの算出

 

イールドギャップの算出にあたって注意が必要となるのが、現実との差です。

 

まず、「投資物件の利回り」については、経費も考慮することで、現実との差を少なくすることができます。

 

したがって、イールドギャップの算出にあたって用いる「投資物件の利回り」は、表面利回り(年間の収入を物件価格で割って単純に算出する利回り)ではなく、実質利回り(実質的な年間家賃収入を実質的な物件価格で割って算出する利回り)とするのがよろしいでしょう。

 

※利回りについては、「利回りで収益性をチェックしよう!」という記事で詳しく解説しています。

 

 

次に、「金融機関からの借入(ローン)の金利」については、融資期間の長さも考慮することで、現実との差を少なくすることができます。融資期間によって同じ金利でも毎月の借入金の返済金額が変わるからです。

 

したがって、イールドギャップの算出にあたって用いる「金融機関からの借入(ローン)の金利」の代わりにローン定数(ローンの残債に対する年間元利返済額の割合)を用いるのがよろしいでしょう。

 

以上より、正確なイールドギャップの算出方法は次のとおりであるといえます。

 

図2:イールドギャップ(精密)


イールドギャップ=投資物件の実質利回りローン定数


ちなみに、実質利回りとローン定数の計算方法は、それぞれ

 

実施利回り(%)=(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格-購入経費)×100

 

ローン定数(%)=年間元利返済額÷借入額×100

 

となります。



ワンポイント イールドギャップはどんどん低下する?

物件は経年劣化するため、時間の経過に連れて、空室率が高くなったり、家賃が下落したりします。これにより、実質利回りが低下していまいます。他方で、これに伴って金利が低くなるということは基本的にありません。

 

したがって、イールドギャップの値は下降する一方です(そういった意味で、イールドギャップの値は物件購入時が最大であるということも多いといえます)。将来、イールドギャップが下がっていくことも見据えて収益性を検討することで、より良い投資物件を見つけられるよう心がけましょう。

 

※以上の点は、現在、超低金利時代であることを前提としています。また、金利が高い時期に物件を購入した場合や固定金利期間満了後に金利が下がった場合、都心部で賃料が上昇した場合には、イールドギャップの値が下降していくだけの展開にならないことがあります。

 

 

不動産投資をする際は、ご自身では、正確な方法でイールドギャップを算出することはもちろん、関係者が持ち出してきたイールドギャップが正確な算出方法によるものかを確認するようにしましょう。

 

この視点をお持ちになるだけでも、目利きの力が大きく向上するはずです。



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