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万が一の地盤の瑕疵を保証する「地盤保証制度」について解説します

地盤保証制度とは何ですか?

万が一の地盤の瑕疵を保証する「地盤保証制度」について解説します

コンプライアンスが重要とされる現代。真の信頼感を培うには、見えない部分の品質までの配慮が必要でしょう。

そこで不動産事業を行う施主にとって気にしたいのが地盤の品質。建物を支えるその地盤に対して安心を保証する「地盤保証制度」という仕組みがあることを知っておいた方がよいかもしれません。

地盤のトラブルに備える保険制度

地盤保証制度はさまざまな財団法人や保証会社が実施する保険制度。地盤のトラブルにより建物に損害が生じた場合、建物や地盤の修復にかかる費用をサポートする仕組みです。

基礎工事着工から保証が始まり、引渡日から数えて10年間保証されます。20年保証を謳っていたり、保証期間終了後も地盤を点検する長期のサポートを提供したりしている保証会社もあります。

建物を建てる場合、通常は地盤調査を行います。広く普及している調査方法は「スウェーデン式サウンディング試験」で、鉄の棒を地中に突き刺し、地盤の硬さや締まり具合を計測。半日程度で調査が終わり、ボーリング調査より簡便かつ低コストで実施できるのが特徴です。

地盤調査の結果、地盤に脆弱な部分があれば地盤改良工事を行い、強度を高めた上で建物の基礎工事に入ることとなります。

しかし残念ながら、地盤調査や改良工事は100%万全ではなく、何らかの見過ごしや瑕疵が潜んでいるケースも。そのような場合に起こりがちなのが地盤のトラブルです。

困るのは、建設工事中は気づかれない可能性が高いこと。建物が完成し、人が住み始めてしばらくしてから発覚するのです。

それゆえ10年間の保証期間を設けているのだと言えます。

不同沈下はなぜ起こる

地盤調査が不十分だった

地中深くに古い井戸、浄化槽など空洞となるものが存在していたり、地番の一部に軟弱な腐植土層が入り込んでいたりすることに地盤調査で把握できていなかったことが、不同沈下の原因になります。

地盤改良工事が不十分だった

地盤は改良したものの、工事方法が適切でなかった場合に、不同沈下が発生します。

地盤が切土・盛土

傾斜地を造成する場合、敷地を平らにするため切土・盛土を行いますが、盛土部分の締め固めが十分でなかったり、雨などで流れ出してしまったりすることで不同沈下が起こります。

建物の荷重が極端に偏っている

例えば斜線制限をクリアするため2階部分を片側に寄せたりしたことで、地盤に伝わる荷重が偏ってしまい、重い方の地盤が早く沈むことがあります。

また、都市部では隣の敷地にビルが建ったため、その影響を受けて地盤が傾いてしまうこともあります。

地盤に瑕疵があることで起こる問題

不同沈下が起こると建具の建て付けが悪くなったり、基礎や外壁にヒビが入ったりなどさまざまな悪影響を及ぼします。

また、人間はほんのわずかな床の傾斜も無意識に感じ取るものです。球形の物を落とせばころころと転がっていってしまうような住まいで快適な生活を送ることはできません。それが賃貸住宅なら、入居者の募集は困難を極めるでしょう。よほど賃料を安く設定するなら別かもしれませんが、収益率が下がって、事業が成り立たなくなるのではないでしょうか。

傾いた建物の資産価値は著しく低下し、転売もままなりません。まさに八方塞がりになってしまいます。

施主が加入する保証ではない

地盤保証制度は、施主が加入する保険ではありません。地盤の工事を行う地盤会社が入る保険です。

したがって、施主が保険の利用に関する費用を気にする必要はありませんが、施工会社が地盤保険の利用をできる会社かどうかは確かめておいた方がよいかもしれません。

保証内容と利用にかかる費用

支払い保険金は最大5,000万円、うち地盤の修復費として支払われる保険金は最大2,000万円となっています。

保険の利用にかかる費用は、例えば住宅保証機構の場合、新規登録料として55,000円、地盤保証料として1地盤あたり27,500円となっています。

先述したとおり、これらの費用を施主が支払う必要はありません。

まとめ

地盤を調査する技術が向上し、改良工事の経験値も上がっている現在、不同沈下事故は大幅に減少しているとのデータがあります。しかしまったくゼロになったわけではありませんから、施主として考えられる対策はとっておきたいところ。地盤保証は地盤調査をしないと受けられません。その意味でも、地盤保証制度が利用できる施工会社を選ぶことが大事だと言えそうです。

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