不動産投資講座 Knowledge
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手持ちの土地があり、そこに戸建住宅やアパートなどを建てるという場合、ハウスメーカーや施工会社と請負契約を締結することになります。
しかし、やむを得ない事情ができたため、建築途中で工事を中止しなくてはならなくなる場合もあります。
そのような、施主都合による請負契約の解除をしたいときの要件や心構えについて説明します。
民法は、原則として相手方に契約不履行などの理由がない限り契約を解除することを認めていませんが、請負契約の場合は、一定の要件を満たすことで、施主が契約を解除することが認められています。
その要件とは「契約解除によって施工会社に生じた損害を賠償すること」です。
民法では、請負契約とは「当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約」と定義されています(民法632条)。
そして、「注文者の義務、責任、権利」として、「注文者による契約の解除」の項目があり、「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」と定められています(民法641条)。
建設業法でも、請負契約とは「委託その他なんらかの名義をもってするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約」(建設業法24条)とし、「民間建設工事標準請負契約約款」の中に「発注者の中止権及び解除権」という項目を立て、施主の契約解除権とそれによって生じる施工会社の損害を賠償する義務を定めています。
しかし、少し穿った言い方をすれば、賠償の負担を覚悟しなければ契約解除ができないということでもあります。
法律に則った契約とは、それほどの強い効力があるのだということは念頭に置いておくべきかもしれません。
損害賠償の具体的な内容は、一般的には施工会社が仕入済みの材料費、履行された部分の工事費、人件費などとなります。
履行された部分が、全体の何%なのかが問題になりますが、現実的には容易に判断ができません。例えば工事代金を日割り計算して算出するといった内容をあらかじめ請負契約に盛り込んでおくとよいかもしれません。
逸失利益とは、完成すれば施工会社が得られていたはずの利益のことで、これも賠償の範囲として民法で認められています。
「得られていたはずの利益」とはわかりにくい言葉ですが、工事代金のうちの純利益に当たるものとされています。
解約で工事が中止されたことにより、不要になった費用や別の現場に流用できた材料などの分は損害から差し引かれるとはいえ、契約の解除には決して軽くないリスクが伴うことも確かなのです。
請負契約で工事を請負った施工会社には仕事完成義務があり、適当な時期に仕事に着手し、契約に定められた仕事を完成しなければなりません。仕事に着手しないとき、または約束した期日までに完成しない場合は、施主は債務不履行を理由に契約を解除できることになっています(民法541条)。
当然ですが、このような場合は施工会社に損害を賠償する必要はありません。
ただ、工事はしてくれているがどうも品質が良くない気がする、自分の希望した建物になっていない、というような理由で解除を求める場合、施工会社に非があるからと言いたくなりますが、法律上はやはり損害賠償が必要。どんなに出来の悪い建物でも、履行された部分までの費用を支払うことが、施主には義務づけられています。
施主に責任がある請負契約の解除は、施主に大きな負担がかかってきます。そのような事態にならないようにするには、事前の準備がたいへん重要です。物件の事業計画や資金調達、建物のプランニングなどに見逃していた穴はないか、トラブルの種はないか、ご自身の人生設計も含めてしっかり慎重に検討しておきましょう。
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5.設計契約を締結しなければ、支払った設計契約申込金は返ってくる?
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