不動産投資講座 Knowledge

不動産業者が「良い物件」を売却するのはなぜ?

なぜ自ら不動産投資をせず、物件を売却することを中心に行う不動産業者が多く存在しているのでしょうか?

 

良い物件があるのならば、投資家をはじめとする他者に売却することはせず、自らその物件を購入したうえで賃貸に出し、賃料収入を得る方が利益を得られるようにも思います。

 

実は、良い物件を所有し続けるよりも売却する方が儲けることができるために、売却を中心として行う不動産業者が多く存在するのです。

 

※あくまで不動産業者のひとつのスタンスを示したものです。必ずしも売却を中心とした不動産投資戦略が優れているということではありませんのでご注意ください。また、売却を中心とした不動産投資を行うには、宅建業者登録を行う必要があります。

 

 

利回り5%の1億円のアパートを例にとって考えてみましょう。

 

このようなアパートを所有して賃貸した場合、年間500万円、月40万円程度の賃料収入になります。ここからローンの返済や管理費、修繕積立金といった諸費用を差し引くと、月10万円程度の利益となるでしょう。また、ローンが完済できる頃には利回りが2%まで低下していると仮定した場合、年間200万円、月16万円程度の利益となります。空室リスク等があることも忘れてはなりません。

 

これに対して、不動産業者が物件の売却にこぎ着けた場合、売却益として数千万円の利益を得ることができます。

 

両者を比較した場合、手間をかけて年間100万~200万円を得られるか否かという方法よりも、一度の売却のみで数千万円を獲得できる方法を選択した方が合理的であるという判断は十分に成り立ちます。そのため、売却を中心に行う不動産業者が多いのです。なお、前者のように仕組みやインフラを構築することにより継続的に利益を獲得していくビジネスストック型ビジネス、後者のように都度商品やサービスを提供することにより利益を獲得していくビジネスフロー型ビジネスといいます。

 

フロー型ビジネスを行う不動産業者は、リノベーションにも積極的です。これにより、値上がりによって生じる利益の獲得を狙っているのです。

 

リノベーションとは、物件に新たな価値を生み出すことを目的とする改修のことをいいます。これに対して、リフォームとは、物件の古くなった部分を修繕することをいいます。実際に両者の線引きを明確に行うことは容易ではありませんが、ひとつの基準として参考にしていただければと思います。

 

リノベーションを行うことによって物件価格が大きく上昇するので、仕入価格と工事費を差し引いても大きな売却益が見込めます。

 

以上のような話は、大きな利益を獲得することを目的とするのであれば、自ら価値を創造し提供する側に回る必要があることを示す好例といえます。

 

※堀鉄平『1人デベロッパーの勝ちパターンに学べ!弁護士が実践する不動産投資最強戦略』(日本法令、令和2年4月30日)12~23頁では、この点について不動産投資クワドランドという図を用いながら、分かりやすく解説がなされています。同書の中であげられている都市開発型や地方再生型についての記述を合わせてご覧いただくと、本記事でご説明差し上げた内容がより深く理解できると思います。

 

個人投資家が同じように売却やリノベーションを中心とした不動産投資を行うことは容易ではありませんが、こうした実情を知っておくことは、不動産業者から安易に物件を購入して失敗することを避けることができるようになる一助となるはずです。

 

物件購入時には、不動産業者やコンサルタントが言う「良い物件」というのが果たして誰にとって良いのか、立ち止まって考えるようにしましょう。

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