不動産投資講座 Knowledge
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。
不動産投資信託(REIT)とは?
不動産投資の方法には、実際の不動産(実物不動産)に投資するという方法だけではなく、不動産投資信託を購入するという方法があります。
不動産投資信託とは、投資家から集めた資金を不動産に投資し、当該不動産から発生した収益を投資家に分配する金融商品のことです。不動産投資信託のことをREIT(Real Estate Investment Trustの略で、リートと読みます)と呼んだりすることもあります。
では、不動産投資信託(REIT)にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?実物不動産への投資との比較の視点も交えながら、それぞれ見ていきましょう。
※不動産投資信託(REIT)は、不動産に関する投資という意味では、不動産投資のひとつであるといえます。しかしながら、実物不動産への投資とはその性質を大きく異にするため、不動産投資信託(REIT)への投資の経験が実物不動産への投資へと生きる場面はほとんどないといわれています。
①少額投資が可能
不動産投資信託(REIT)は、一口数万円の価格のものからあるため、自己資金が少なくても挑戦しやすいといえます。
②リスク分散・低減が可能
不動産投資信託(REIT)は、実物不動産への投資と比較すると、多くの不動産に投資することが可能であるといえます。多くの不動産に投資をすれば、ひとつの不動産への依存度が低くなるという意味ではリスク分散・低減に繋がるものといえるでしょう。
※ただし、この点は、不動産ごとに着目した分析にとどまることにはご注意ください。個々の不動産ではなく、不動産全体の価値が下落した場合には、当然大きな影響を受けることになります。
③運用に手間がかからない
投資判断や不動産の管理等をすべてプロに任せる形になりますので、投資をする本人の手が煩わされることは基本的にありません。
④一応のレバレッジが利いている
不動産投資信託(REIT)については、資産全体の50%前後の借入を行って投資がなされるため、実物不動産への投資の際にローンを組んだ場合と同様にレバレッジがかかっているといえます。そのため、不動産投資信託(REIT)へ投資をすれば、間接的にこのレバレッジの恩恵にあずかることができます。
⑤大型物件への関与が可能
個人の力だけでは保有することが難しい大型物件(例えば、六本木ヒルズや虎ノ門ヒルズ)に投資することもできます。投資の最大の目的である「利益を獲得する」という点からは逸れるものの、こうした大型物件に携わることができるという精神的な充実感は、前向きに投資を継続していくという点では、ひとつの重要な要素といえます。
※ただし、大型物件に携わっていることによる恩恵が肌で感じられる機会はそうそうないため、このメリットに期待しすぎることは禁物です。
①市場全体の値動き等に左右されやすい
不動産投資信託(REIT)の価格や利回りは、実物不動産の市況と比較すると、株式市場全体の値動きに影響されやすい(ボラティリティが高い)といえます。
また、不動産投資信託(REIT)には、上場を維持するための基準があります。この基準を満たせなくなると上場が廃止されます。こうした点で、株式と同様のリスクがあるといえます。
さらに、投資会社が倒産する可能性もあります。
②利回りが低い
投資会社や資産運用会社が関与するため、実物不動産への投資に比べて利回りが低くなってしまいます。
不動産投資信託(REIT)に係る物件の少なくない数が投資会社の関係企業から仕入れられ、その管理も関係企業が行っていることから、(10年程前より関係会社が獲得する利益率は下がっているものの)そちらに利益がいってしまいがちな傾向があるようです。
図1:各金融商品と不動産投資の比較
リスクの低さ |
インフレヘッジ |
手数料の安さ |
流動性 |
|
定期預金 |
◎ | × | ◎ |
◎ |
投資信託 |
× |
○ |
△ |
○ |
株式 |
× |
○ |
○ |
○ |
外貨預金 |
○ |
△ |
△ |
○ |
REIT |
△ |
○ |
△ |
○ |
不動産投資 |
○ |
◎ |
× |
× |
※堀鉄平著『弁護士が実践する不動産投資の法的知識・戦略とリスクマネジメント』(日本法令、2019年)20頁を元に作成。同頁以下においては、不動産投資の特徴を中心とした説明がなされておりとても参考になります。こうしたそれぞれの比較により特徴を把握することは、自らが行う投資の方向性を確認することに繋がります。
以上のメリット・デメリットを踏まえますと、不動産投資信託(REIT)への投資は、次のような方におすすめといえます。
・少額の投資をしたい方(メリット①)
・資産規模がそこそこで、他の投資と組み合わせて資産の分類ごとの分散投資をしたい方(メリット②)
・投資の勉強や投資自体にあまり時間をかけたくない方(メリット③)
※アセットクラスごと、すなわち、株式、不動産、債券、金等の資産の分類ごとに分散投資をすることは、資産を守るステージにある方の投資方法としては有効です。(「個人投資家に適した不動産投資戦略は?」という記事で説明した投資戦略の中の「コア型」に近い発想です。)
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