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住宅瑕疵担保履行法とは何か?新築住宅の安心を守る法律

新築住宅の安心を守る法律「住宅瑕疵担保履行法」

賃貸物件を建設して、いざ事業開始となったとき、居住性や資産性を損なう深刻な瑕疵が見つかった…という事態になっても、施主を守ってくれる法律があります。

それが「住宅瑕疵担保履行法」です。

いったいどのような法律なのか詳しく説明します。

住宅瑕疵担保履行法は何のためにできた法律か

平成17年の構造計算書偽装事件がきっかけ

一級建築士がマンションやホテルの新築工事に必要な、耐震構造計算書を偽装。第三者視点から厳正に検査するはずの民間検査機関や行政が見抜けず、耐震基準が建築基準法の水準を満たしていない建物が20棟余りも建ってしまう事件で、当時は大騒ぎになったことをご記憶の人も多いでしょう。

これを機に、建築基準法や建築士法が改正・再整備されるといった段階を踏んで、2007年(平成19年)に交付され、2009年(平成21年)10月引渡し物件より適用されることになったのが「住宅瑕疵担保履行法」、正式には「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」です。

10年間の瑕疵担保責任を確実に履行させる法律

「住宅瑕疵担保履行法」を制定した目的をひと言で表すと、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で義務づけられている、住宅の重要な部分についての10年間の瑕疵担保責任を建設業者や宅建業者に確実に履行させることです。

「住宅の重要な部分」とは、主に次の2つの部分が相当します。

構造耐力上主要な部分

基礎、基礎杭、壁、柱、床、屋根、梁など建物躯体を構造として支えている部分のことです。

雨水の浸入を防止する部分

屋根や外壁、窓、窓枠などに加え、雨水を排除するために設ける屋根や外壁内部・屋内に設ける排水管などです。

売主に課せられた義務

売主である事業者には住宅瑕疵担保責任保険の加入、または保証金の供託により資力の確保が義務づけられています。

住宅瑕疵担保責任保険は、個々の住宅それぞれにおいて、国土交通省が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人との間で保険契約を締結するもので、保険期間が10年以上、保険金額が2,000万円以上などの条件が決められています。

供託する保証金については、その事業者が過去10年の間に引渡した新築住宅の戸数によって算定されます。例えば1,000戸供給した事業者は18,000万円、1万戸の供給実績がある事業者は44,000万円を供託する必要があります。

適用されるのは「新築住宅」、賃貸住宅も対象

「住宅瑕疵担保履行法」の対象は新築の住宅です。中古住宅が対象から外れるのは、傷や劣化、不具合などが竣工した当初からのものなのか、前に居住していた住人の使い方が悪かったのかの判定が難しいからとされています。

なお、ここで言う「新築住宅」の定義は、品確法第2条第2項における既定に準じています。

・建設工事完了の日から起算して1年以内のもの

・人の居住の用に供したことがないもの

完成してから1年以内で、まだ誰も住んだことがない家屋ということで、戸建住宅や分譲マンションだけでなく、賃貸住宅や投資用マンションも対象となります。

ただ、買主が宅建業者である場合は対象にはなりません。この法律の原則として消費者保護という考えがあり、専門知識を有する業者まで保護する必要性はないと判断されたためです。

買主が安心して居住用物件を取得できる

「住宅瑕疵担保履行法」施行以前は、例えば売主企業が倒産してしまった場合、その後に瑕疵が見つかったとしても、瑕疵担保責任を果たしてくれる会社が既に存在しないわけですから、買主は多大な損害を被る事態に甘んじていました。

そんな悲劇をなくし、買主を守るため事業者には保険の加入や保証金の供託が義務づけられたのです。これにより、たとえ事業者が倒産したとしても、買主には瑕疵の補修に必要な費用が保険か供託した保証金から支払ってもらえます。

また、保険の契約の際には物件に問題がないかどうか専門家による建築現場の検査が実施されるため、建物の品質についても安心できると言えるでしょう。

2020年施行の改正民法では「瑕疵」という言葉が消えた

2020年に施行される予定の改正民法では、瑕疵という言葉がなくなり、「契約不適合責任」という言い方に変わりました。「瑕疵」とは一般的には傷、欠点といった意味ですが、法律では「契約の内容に適合していない」という意味合いで使用されていたので、その点をはっきりさせたということのようです。

ただ、「住宅瑕疵担保履行法」や品確法では現状でも「瑕疵」という言葉を使い続けています。混乱しないよう気をつけましょう。

まとめ

「住宅瑕疵担保履行法」の施行前と後では、施主の安心感は段違いでしょう。瑕疵の問題だけでなく、工事内容の食い違いや代金のやり取りに関するトラブルなど、施主と施工会社との間に紛争が生じたら、住宅瑕疵担保責任保険が付された住宅の当事者なら、解決のための処理を図ってくれますので、その面でも安心できます。

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