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購入した土地からガラや地中障害物が出た場合、売主に瑕疵担保責任は問えるか?

仕入れた土地の地中から障害物。売主に瑕疵担保責任は問えるか?

せっかく購入した土地なのに、建築を始めてみたら地中から障害物やガラが出てきて工事が滞ってしまう…。

そんな災難に見舞われる事態は避けたいものですが、「もしも」のことを考えておくのも不動産ビジネスでは重要です。

地中障害物が出てきた場合、掘り出して処分するなどの対応が求められますが、その責任を売主にどう問えるのかについて解説します。

地中障害物とは

購入した土地に建物を建てようとした際、地中に埋まっていたものが見つかる場合があります。

例えば古い建物の基礎らしきコンクリートガラや杭、鉄骨、瓦、浄化槽、井戸の跡などです。こういった障害物は、新たに始める建築工事の邪魔になるばかりでなく、地盤のトラブルを誘発したりするので、撤去する必要があります。

そこで気になるのが、「その撤去費用は誰が負担するのか?」ということでしょう。

瑕疵担保責任の原則

「隠れた瑕疵」の処理は売主の責任

瑕疵とは不具合やキズ、欠陥のこと。瑕疵があることで、本来なら備えているべき機能や性能が十分に得られなくなります。

地中障害物のような「隠れた瑕疵」は、売主が瑕疵担保責任を負うのが原則です。改正前の民法では、瑕疵を理由とする損害賠償請求等の権利行使は、買主が事実を知ってから1年以内にしなければならないとされていました (改正前民法570条・5663項)

ただ、売主が不動産会社など専門の業者ではなく、個人と個人の間の売買契約だった場合は、売主の負う瑕疵担保責任期間を「引渡し後3ヵ月」に設定するのが一般的です。

改正民法では「契約不適合責任」

現行の民法は明治時代に制定された法律ですが、このたび約120年ぶりに改正され、202041日から施行されました。改正民法では、瑕疵担保責任についての規定が大きく変わります。

まず、瑕疵担保責任という呼び方がなくなり、「契約不適合責任」となります。また、現行民法では「隠れた瑕疵」すなわち買主が契約時に知らなかった問題点について責任を負うことになっていましたが、改正後は買主がたとえ瑕疵の存在を知っていたとしても、売主は責任を負わされます。

隠れている、隠れていないではなく、契約内容に合致しているかいないかが問われるようになるということです。

買主としてできる対応

では、購入した土地での建築工事中に地中障害物が出てきたときに、買主としてはどのような対応ができるかというと、次の4つのケースがあります。

追完請求

追完請求とは例えば地中障害物を取り除いた状態にするなど、契約書通りの状態にして受け渡すよう請求することで、修復請求ともいいます。これは民法が改正されて変わった点で、従来の民法では認められていませんでした。

代金減額請求

売主が追完請求を拒んだ場合、売主に対して売買代金の減額を請求することを代金減額請求といいます。この項目も改正民法で規定されました。

損害賠償請求・契約解除

追完請求、代金減額請求のいずれに対しても売主が応じない場合は、損害賠償を請求するか、契約解除を迫るかということになります。

地中障害物が発見されることで建物の工期が延び、賃貸住宅事業などが予定通りに開始できなかったというケースも考えられるでしょう。契約書通りに引渡されていたら得られたはずの事業利益も含めて、損害賠償を請求することが可能です。

ただ、売主が予見できなかった不適合性に関する損害賠償はできません。逆に、予見できていながらその可能性について買主に説明しなかった場合は、説明義務違反となり、損害賠償が認められた事例があります。

このような、瑕疵があったことによる契約不適合責任を売主に問うには、原則として買主が「瑕疵があった(不適合性があった)」と知った時点から1年以内にその旨を売主に通知する必要がありますので気をつけましょう

まとめ

土地に地中障害物があった場合は、除去する費用は膨大となります。土地の契約の際に安易に免責にすることのないよう、法律の専門家などに相談しながら対処していきたいところです。

当サイトでは無料で弁護士などの専門家に相談することができますので、もしお困りの際は是非ともご利用ください。

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