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買付申込のポイント!

作成日: 2020/08/19 投稿者名:溝口 矢
更新日: 投稿者資格:弁護士(東京弁護士会)
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【執筆者:溝口 矢】
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。弁護士法人Martial Artsにて不動産関係の問題に多数関与。(法律相談、交渉、訴訟、講演等)。
不動産投資DOJOにてコラム執筆中。





今回は、物件購入にあたって行う買付申込についてご説明いたします。

 

※物件購入の一連の流れについては、「物件購入までの流れ!」という記事で説明しております。

 

 

買付申込とは?

 

買付申込とは、物件購入の希望を売主に対し伝達することです。

 

買付申込にあたっては、物件の希望購入価格や取引条件等を明記した買付証明書(買付申込書・購入申込書)を作成し売主に提出することが一般的となっています。

 

買付証明書には、定められた書式はありませんが、概ね下記図1のような内容の記載になると思います。「買付証明書」で検索するといくつか雛型が見つかるので、見比べてみると勉強になります。

 

 

希望購入価格

 

買付証明書に記載する希望購入価格は、後に大きく変更することが難しいので慎重に設定するようにしましょう。

 

物件の周辺相場を踏まえて希望購入価格を設定することをおすすめいたします。

物件の周辺相場を調べるにあたっては、国土交通省の土地総合情報システムが便利です。物件があるエリア等の過去の取引情報を調べることができます。

 

※あわせて、物件価格がどのように決まるかも頭の片隅で意識しておくことは有意義であると考えます。詳しくは「物件価格はどのように決まる?」という記事をご覧ください。


1:買付証明書の例



【ワンポイント】買付証明書で減額交渉

買付証明書では、売出価格(販売価格)よりも低い金額を売買金額として設定することで、値引き交渉を行うことが可能です。このような行為を「指値を入れる」といいます。

もっとも、売主としてはできる限り高額で物件を販売することを望むのが通常ですから、根拠もなく減額交渉を行っても応じてもらえないどころか、売買契約自体拒まれてしまう可能性もあります。指値を入れる際には、売主に納得してもらうために、根拠を示すようにしましょう(一例として上記図1の第3の部分を参考にしていただければ幸いです)。

 

 

買付申込の法的拘束力

 

買付申込に対して、売主が売渡許諾書を交付するなどして承諾をしても、ただちに不動産の売買契約(民法555条)は成立しません。

 

その後に売買契約書を作成することによって、売買契約が成立するのが一般的です(東京高等裁判所昭和50630日判決(昭和49年(ネ)第1783号)参照)。

 

そのような意味で買付申込には法的拘束力はないといわれています。

 

※あくまで一般論であり、個別具体的な事情に左右される可能性は否定できません。

 

 

人気の物件は、複数の購入希望者から買付申込がなされることがあります。その場合、売主が買主を決めるポイントは様々です。例えば、購入希望価格が高い現金買いである早く買付申込をしているなどといった点が見られます。

 

※現金買いが評価されるのは、融資の利用がある場合よりも、売買代金を迅速かつ確実に得ることができる可能性が高いからです。早く買付申込をしていることが評価される場面は、売主が早期の物件売却を希望している場合です。

 

 

希望の物件を押さえるために積極的な買付申込をしてみても良いでしょう。

ただし、闇雲に買付申込を行うことは不動産業者からの信用を損なうことになるので避けましょう。場合によっては、損害賠償責任を負うこともあります(福岡高等裁判所平成7629日判決(平成6年(ネ)第236号)では、買付申込後のキャンセルにつき契約締結上の過失があるとして損害賠償責任を負うとの判断がなされました)。

 

※契約締結上の過失とは、契約締結に至るまでに契約当事者の一方の責めに帰すべき行為により相手方が損害を被った場合に、損害賠償をしなければならないとする理論のことです。



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