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駐車場の賃貸は正当事由がなくても解約できる?

作成日: 2020/08/18 投稿者名:森 春輝
更新日: 投稿者資格:弁護士(第二東京弁護士会)
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【弁護士:森 春輝】

弁護士(第二東京弁護士会)。2017年に弁護士法人Martial Artsに入所し、
不動産トラブルや賃貸借契約書に関する業務をはじめ、多分野にわたる法律業務に従事している。




【相談】駐車場の賃貸借契約を解約するには正当事由が必要ですか。

 

建物を建てるには少し狭い土地を所有しており、駐車場として賃貸しています。この度、駐車場の隣地を購入できることになったため、駐車場の土地と合わせて敷地とし、アパートを建築したいと思っています。

 

駐車場の賃貸借契約は解約して借主には立ち退いてもらうつもりでしたが、借主からは駐車場を使う必要があるのだから立退料を払わないと明渡しできないと反発されています。

 

立退料を支払わなければ解約して立ち退いてもらうことはできないのでしょうか。

 

 

【回答】駐車場の賃貸借契約の解約には正当事由は必要ありません。

 

駐車場の賃貸借契約には借地借家法は適用されませんので、正当事由がなくとも賃貸人から解約することが可能です。立退料は正当事由を補完するものですので、立退料がなくとも駐車場の賃貸借契約を解約できます。

 

 

【解説】

 

駐車場の賃貸に借地借家法は適用されない

 

建物の賃貸借では、賃貸人からの更新拒絶や解約に正当事由が必要である(借地借家法28条)ことはご存じの方も多いと思います。土地の賃貸借でも、借地借家法が適用されると、更新拒絶には正当事由が必要となります(借地借家法6条)。

 

借地借家法はすべての賃貸借契約に適用されるわけではありません。借地借家法の適用対象は、次の2つです(借地借家法1条)。


①建物所有を目的とする地上権又は土地の賃借権

②建物の賃借権 

 

建物の賃貸借の場合は原則として借地借家法が適用されますが、土地の賃貸借の場合は「建物所有を目的とする」賃貸借でなければ借地借家法の適用はありません。

 

土地上にある建物を所有している場合の敷地の賃貸借契約や、現に建物がなくとも土地の上に建物を建てる計画で土地を賃借する場合は「建物所有を目的とする」賃貸借契約として借地借家法の適用があります。

 

しかし、駐車場目的の賃貸借は建物所有を目的としていませんので、借地借家法の適用がないのです。

 

 

したがって、駐車場の賃貸借契約には民法の賃貸借の規定が適用され、正当事由がなくとも、賃貸人から更新拒絶や解約をすることが可能です。

 

本件で賃借人は立退料を払わないと明渡ししないとも言っているところ、立退料は借地借家法において正当事由を補完する金銭の給付のことをいいます。ですから、そもそも解約に正当事由が必要ない本件において、立退料を支払う法的理由もありません。

 

 

解約後、駐車場に無断駐車されていても、勝手に車を移動させてはいけない

 

法的に駐車場の賃貸借契約の解約が可能であっても、解約に反発している賃借人は駐車場に車を置き続ける可能性もあります。解約後は駐車場を利用する権限がありませんので、賃借人は無断駐車していることになります。

 

賃貸人としては、賃借人の車が置いてあるとアパートの建築に着手できませんの、レッカーで移動させてしまいたいと思うでしょう。

 

公道の場合は、違法駐車をしている車両がレッカー移動されることがありますが、これは警察が道路交通法51条2項に基づいて行っていますので、法的な根拠のある行為です。

 

他方、私有地である駐車場では道路交通法は適用されませんので、同じようにレッカー移動できるわけではなく、無断駐車であっても勝手に移動させることはできません。

 

民法には、権利が侵害されている場合であっても、侵害を除去して権利を保護するためには法的手続きによらなければならず、自分の力で権利保護を実現すること(これを「自力救済」といいます。)は許されないという原則があります。自分の権利を守るためであっても、自力救済は原則として違法となります。レッカー移動の際に車に傷がついてしまうと、逆に損害賠償請求されるおそれもあります。無断駐車の車をレッカー移動させることは自力救済にあたり原則として許されないのです。

 

 

本件では賃借人側の言い分が間違いであり、駐車場を使い続ける権限がないことが明白ですから、それをしっかり説明すれば交渉で早期に解決する可能性も高いでしょう。

 

しかし、中には頑なに土地を明け渡さない賃借人もいるかもしれません。その場合は、法的手続によって土地を返還してもらう必要があります。具体的には、駐車場の土地の明渡請求訴訟を提起して請求を認める判決を取得し、それでも車をどかさない場合は、最終的には強制執行によって土地の明渡しを実現することになります。



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