コラム Column

マンション専有部分をリフォームする際の注意点


【相談】マンションの専有部分のリフォームを行う際の注意点があれば教えてください。

不動産投資として区分所有マンションを購入しました。壁紙やフローリングを張り替える等のリフォームを行い、賃貸に出そうと思います。リフォームするのは室内の専有部分のみですが、リフォームにあたって注意する点がありましたら教えてください。

【回答】管理規約等により、リフォーム工事の内容に応じて管理組合理事長の承認が必要であったり、工事方法や使用する用材等に制限がある場合がありますので、必ず管理規約を確認するようにしましょう。

専有部分であっても、管理規約等の定めによっては、リフォームする場合に管理組合や理事長の承認を得る必要があることが一般的です。リフォームの内容によっては、行うことのできるリフォームの方法や使用できる用材に制限が加えられていることもあります。

特にフローリングの張替えについては、階下への騒音防止のために、一定の遮音等級を備えたフローリング材を使用しなければならないといった制限が定められていることもあります。また、もともとの床材がカーペットや畳の場合は、フローリングへの変更自体が禁止されている場合もあります。

それゆえ、あらかじめ管理規約等でどのような制限がされているか確認し、行おうとしているリフォームが管理規約上可能かどうかを必ず確認するようにしましょう。

マンション専有部分は自由にリフォームできない

マンションでは、ひとつの建物で多数人が共同生活を送るため、戸建住宅とは異なり、専有部分といえどもまったく自由にリフォームすることはできません。国土交通省が公表している平成30年度マンション総合調査結果では、4.9%のマンションにおいて、専有部分のリフォームに関するトラブルが発生したと報告されています。

専有部分のリフォームに関するトラブルを防止するためには、リフォームを制限する法律や管理規約の定めがないか確認することが重要です。

まず、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)をみると、専有部分のリフォームや修繕に関して特別の規定は置かれていません。もっとも、区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為はできませんので(区分所有法6条1項)、専有部分の増築や主要構造部に影響を及ぼすようなリフォームは行うことができません。

また、区分所有法は、建物の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項については、共有部分だけでなく、専有部分についても、規約で定めることができるとしています(区分所有法30条1項)。この規定を受けて、各マンションは管理規約に専有部分のリフォームや修繕に関する定めを置いていることが一般的です。

各マンションの管理規約における制限を確認しよう

専有部分の修繕等について、標準管理規約は以下のような規定を置いています。

標準管理規約とは、各マンションが管理規約を作成する際の参考として国土交通省が作成・公表している規約モデルです。

なお、標準管理規約には、マンションの状況に応じて単棟型、団地型、複合施設型の3つのモデルがありますが、以下の記載は単棟型を前提としています。

第17条(専有部分の修繕等)

 区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。

 前項の場合において、区分所有者は、設計図、仕様書及び工程表を添付した申請書を理事長に提出しなければならない。

 理事長は、第1項の規定による申請について、理事会(第51条に定める理事会をいう。以下同じ。)の決議により、その承認又は不承認を決定しなければならない。

 第1項の承認があったときは、区分所有者は、承認の範囲内において、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事を行うことができる。

 略

 略

 区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。

標準管理規約17条1項において、専有部分のリフォームのうち「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるもの」については管理組合理事長の事前承認が必要である旨定められています。ここでいう「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるもの」の具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等が挙げられます(標準管理規約(単棟型)コメント第17条関係②)。

各マンションの個別の管理規約や使用細則でも標準管理規約に倣い、「専有部分の修繕」等の条項が定められ、リフォーム工事を想定した手続きについて規定していることが多いです。理事長へのリフォーム工事の承認申請のほか、工事のやり方や工事に使う用材や色の指定まで決められていることもあります。電気設備やガス設備を設置・交換する場合、電気やガスの容量が決められている場合も少なくありません。

なお管理規約が変更されてしまうケースも存在します。詳しくは「マンションの管理規約がペット飼育不可に変更された場合の対応」で解説されていますので、気になる方は是非ご参考ください。

フローリング張替えの場合の確認事項

本件では、床のフローリング張替えと壁紙の交換を希望されています。

壁紙の交換は他の区分所有者に影響を与えるおそれが小さいため、管理規約等でも特に制限されていないことが多いのではないかと考えられます。

他方、上下階での音の問題はマンショントラブルの中でも頻出の問題ですので、階下への騒音防止のためにフローリングの張替えについては、管理規約等で何らかの制限が加えられている可能性が高いです。

まず、管理規約等でフローリングを敷くこと自体が禁止されていないか確認しましょう。もともとの床材がカーペットや畳の場合、マンションによっては、フローリングへの変更自体が禁止されていることもあります。

続いて、フローリングを敷くこと自体は可能であっても、使用できるフローリング材に制限がないか確認します。フローリングは材質によって遮音性能が異なるところ、階下に対する騒音防止のため、管理規約等で一定の遮音等級以上の性能のフローリング材でなければ使用できないという制限があることも多いです。

予定しているフローリング材が、管理規約等で定められている遮音等級に満たない場合は、理事長に承認申請をしてもリフォーム工事が承認されません。

その他、リフォーム工事の承認申請時期や工事業者の指定等の定めがある場合もありますので、管理規約等はあらかじめしっかり確認するようにしましょう。

もしマンションに関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします

当サイトでは無料で弁護士などの専門家に相談することができますので、もしお困りの際は是非ともご利用ください。

無料会員登録はこちらから。

不動産投資DOJOでは、弁護士や税理士などの専門家に無料相談可能です。

専門家からの回答率は94%以上

会員登録(無料)で、どなたでもご利用いただけます。

会員登録(無料)していただいた方には、「不動産投資を学べるeBook」のプレゼント特典もあります。ぜひご登録ください。

人生を変える不動産投資を学べる堀塾を運営しています。不動産投資を学びたいのなら、ぜひご検討ください。 体験セミナーを募集中です。」
体験セミナー詳細はこちら

記事が役に立ったらシェア!