コラム Column

マンションの大規模修繕【弁護士が総会決議の方法と種類を解説】


【相談】マンションの大修繕を行う際の管理組合の総会決議の方法について教えてください。

私はマンションの1室を所有しており、現在、管理組合の理事をしています。

マンションは築20年経っており、外壁の汚れや劣化が目立ち、そろそろ外壁の塗装工事等の大規模な修繕が必要であると考えています。

大規模な修繕を行う際に、管理組合の総会決議が必要かと思いますが、決議方法について教えてください。

【回答】「形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な」修繕を除いては、普通決議では足りず、特別決議が必要です。

「形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な」修繕を除いては、普通決議では足りず、特別決議が必要です。

外壁の塗装工事は、一般的には「形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な」修繕とはいえませんので、特別決議が必要になります。

なお総会で白紙委任状を用いる場合については、当コラム「マンションの総会で白紙委任状をカウントした管理組合総会決議は無効になるか」で詳しく解説されていますので是非ご参考ください。

管理組合の総会決議の種類

管理組合の総会決議には、特別決議普通決議があります。

特別決議とは、「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数」など特別の定数の賛成が要件とされています(建物の区分所有等に関する法律(以下、「区分所有法」といいます。)17条1項)。

なお、管理組合規約において、区分所有者の定数をその過半数まで減ずることができます。

普通決議については、区分所有法でその決議要件について特別に定められておらず、単に「集会の決議で決する。」とのみ規定されています(区分所有法18条1項)。

普通決議の要件については、管理組合規約の規定によることになりますが、一般的には、区分所有者の議決権総数の半数以上が出席して定足数を満たした総会において、出席した区分所有者の議決権の過半数の賛成が要件とされています(標準管理規約(単棟型)47条1項、同条2項)。

修繕の場合に要する総会決議の種類

「その形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な」修繕を除いては、全て、特別決議が必要になります(区分所有法17条1項)。

共有部分の「形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微な」修繕については、普通決議で足ります(区分所有法18条1項)。

どのような修繕について特別決議が必要になるか

上述のとおり、区分所有法において、「形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微」な修繕を除いては、特別決議が必要であると定められています。

一体、どこまでの修繕が普通決議で足り、どこからが特別決議が必要な修繕になるのでしょうか。

国土交通省作成の「マンション標準管理規約(単棟型)」の第48条関連のコメントにおいて、各工事において特別決議が必要であるか普通決議で足りるかの例が挙げられていますので、以下のとおり図表化しております。ご参考になさってください。

修繕工事の種類 修繕工事の内容 必要な決議の種類
バリアフリー化の工事 階段室部分を改造したり、建物の外壁に新たに外付けしたりして、エレベーターを新たに設置する工事。 特別決議
建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、建物の基本的構造部分を取り壊す等の加工を伴わずに階段にスロープを併設し、手すりを追加する工事。 普通決議
耐震改修工事 ①柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻きつけて補修する工事や、②構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で,基本的構造部分への加工が小さいもの 普通決議
防犯化工事 ①オートロック設備を設置する際、配線を空き管路内に通したり、建物の外周に敷設したりするなど共用部分の加工の程度が小さい場合の工事や、②防犯カメラ、防犯灯の設置工事。 普通決議
IT化工事 ①光ファイバー・ケーブルの敷設工事を実施する場合、その工事が既存のパイプスペースを利用するなど共用部分の形状に変更を加えることなく実施できる場合や、②新たに光ファイバー・ケーブルを通すために、外壁、耐力壁等に工事を加え、その形状を変更するような場合でも,建物の躯体部分に相当程度の加工を要するものではなく、外観を見苦しくない状態に復元する工事。 普通決議
計画修繕工事 ①鉄部塗装工事、②外壁補修工事、③屋上等防水工事、④給水管更生・更新工事、⑤照明設備、⑥消防用設備、⑦エレベーター設備の更新工事。 普通決議
その他の工事 集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事などで、大規模なものや著しい加工を伴うもの 特別決議
①窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、②既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事。 普通決議

最後に

基本的構造部分に大きな加工をする、共用部分の形状に変更を加える、建物の躯体部分に大きな加工をするといった内容の工事は、「形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微」な修繕を超えると判断され、特別決議が必要になります。

ご相談にあった20年の節目で行われる外壁の塗装工事については、基本的構造部分への加工が大きく、「形状又は効用の著しい変更を伴わない軽微」な修繕を超えるといえ、特別決議が必要になります。

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