コラム Column

マンション敷地売却制度とは何か。内容や利用場面を弁護士が解説


【相談】マンション敷地売却制度の内容や利用場面を教えてください。

マンション敷地売却制度というものがあると聞きました。制度の内容やどのような場面で利用するものなのかを教えていただきたいです。

【回答】マンションを取り壊し、その敷地を売却して、区分所有者等に分配金等を配当する制度です。

マンション敷地売却制度とは

マンション敷地売却制度とは、平成26年の建替え円滑化法改正で設けられた、既存のマンションの取り壊しを行い、その敷地を売却することで各区分所有者や借主等に分配金・補償金を配分する制度のことをいいます。

所有者のうち5分の4の多数決で区分所有関係の解消が可能となります。

マンション敷地売却制度の対象となるマンションは、耐震性が不足する要除却認定を受けたマンションです。単に老朽化しているというだけでは、マンション敷地売却制度を用いることはできません。

マンション敷地売却制度は、昭和56年の建築基準法施行令改正(この時に新耐震基準が定められています)の前に建築された耐震性の不足したマンションの建替えを促すことを趣旨としているからです。

このようにマンション敷地売却制度は、マンションの敷地を売ること自体が目的の制度ではなく耐震性に問題のあるマンションの建替えを促進することを目的とする制度です。

国土交通省が作成したマンション敷地売却ガイドライン

平成26年に「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」が改正され、改正後の同法第4条第1項の規定に基づき定められた「マンションの建替え等の円滑化に関する基本的な方針」において「国は、マンションの建替え等の進め方に関する実務的指針を作成し、地方公共団体と連携し、その普及に努めることとする。」とされたことを受け、耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却の進め方に関する指針として、国土交通省がガイドラインを作成しました。 

国土交通省のホームページに掲載されていますので、ぜひご覧ください。

国土交通省:マンション建替え等・改修について

国土交通省:マンション敷地売却ガイドライン

マンション敷地売却制度の利用場面

マンション敷地売却制度は、耐震性の不足が原因で、建築基準法上の既存の不適格な建物となっているために、建替えによって容積率が減ってしまうような場合や、容積率に余裕がなく、建替え後のマンションの再取得につき合意が見込めない場合を想定して定められた制度です。

そのため、①マンションの建替えを行っても要求される改善水準を実現できない場合(十分な戸数が確保できない、建替えで住戸面積が縮小する等)や②要求される改善水準が実現できるとしても、建替えに要する各区分所有者の負担が大きすぎる場合には、改修や建替えよりもマンション敷地売却制度を利用する方が望ましいといえます。

マンション敷地売却制度のメリット

マンション敷地売却制度の最大のメリットは、居住者の家族構成や状況、分配金額等を考慮して、各居住者が再建したマンションに入居するか、他の住宅に住み替えるかを自由に選択できるという点です。

従来から建替え円滑化法によって定められている権利変換制度(※)と異なり、マンション敷地売却制度は、集団的な意思決定に係る合意形成をしなければならない場面が少なく(例えば、マンション敷地売却制度は、権利変換制度とは異なり、再建築物の区分所有権の帰属が事前の決議事項となっていません。マンション敷地売却制度では、分配金や補償金があるため区分所有者の権利調整がしやすくなっています。) 、多数決や認可によって売却や建替えをスムーズかつ着実に進めやすいです。

※権利変換制度とは、従来より建替え円滑化法で定められていた、区分所有権をはじめとするマンションに関する法律関係を再建したマンションに移行するために用いられる制度です。

まとめ

マンションの建替えを考えている方には便利な制度ですので、建替えを行う際は、積極的にマンション敷地売却制度の利用を検討されてみることをおすすめいたします。

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