コラム Column

【弁護士解説】マンションの管理委託を中途解約する方法


【相談】現在の管理会社との管理委託契約を中途解約することは可能でしょうか。

私はマンションの1室を所有しており、今年度、管理組合の理事に就任しました。

マンションの管理を委託している管理会社は、管理業務の内容に不備があるわけではありませんが、相場より報酬が高額であるため、その管理会社との管理委託契約を終了させ、別の管理会社に管理を委託したいと考えています。

現在の管理組合との管理委託契約を中途解約することは可能でしょうか。

その際に、管理組合の総会決議が必要でしょうか。

【回答】仮に中途解約の規定がない場合であっても、民法651条1項(委任の解除)に基づき、中途解約ができる場合があります。

管理組合と管理会社が締結する管理委託契約書の中に、中途解約の規定があれば、その規定に基づき中途解約手続きを進めることになります。

仮に中途解約の規定がない場合であっても、民法651条1項(委任の解除)に基づき、中途解約できる可能性があります。

また、管理委託契約を中途解約したり、新規の管理委託契約を締結したりする場合、原則として、管理組合の総会決議が必要です。

中途解約は主張できる

管理委託契約書に中途解約の規定がある場合とない場合で対応が異なるのでそれぞれのケースについて解説します。

管理委託契約書に中途解約の規定がある場合

国土交通省作成の「標準管理委託契約書」19条には、管理委託契約の中途解約に関して、「甲(管理組合)及び乙(管理会社)は、その相手方に対し、少なくとも三月前に書面で解約の申入れを行うことにより、本契約を終了させることができる。」と規定されています。

管理委託契約書においてこのような中途解約の規定がある場合には、当該規定に定める手続きを取ることにより、管理委託契約を中途解約することができます。

管理委託契約書に中途解約の規定がない場合

マンションの管理委託契約は、民法656条の準委任(※1)の法的性格を有すると考えられており、民法の委任の規定(民法643条~655条)が準用されます。

そして、民法651条1項は、委任契約の解除に関して、「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」と規定しています。

管理委託契約書において中途解約に規定がない場合であっても、民法651条1項に基づき中途解約を主張することになります。

※1「法律行為」をすることを委託するのが、「委任」です。たとえば、不動産の売却、商品の買付等です。法律行為ではないことを委託(たとえば、財産目録の作成、学校の経営等)する場合には、これを委任に準じるべきものとし、委任の規定を全て準用しています。 

ただし、民法651条1項に基づく中途解約の主張が認められた場合でも、「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。」(民法651条2項)と規定されていますので、中途解約の申出を行う時期について、注意が必要です。

この点について、次の裁判例が参考になります。

管理組合がエレベーター保守管理契約を3か月の猶予をもって、民法651条1項に基づき中途解約したところ、当該管理会社が「不利な時期」に契約を解除されたとして、残存の契約期間に得るはずであった報酬分の損害賠償請求を行いました(東京地判平成15年5月21日)。

裁判所は、管理組合が約3か月間もの猶予をもって解除通知を行ったこと、解約により管理会社において従業員の配置を見直したり従業員を解雇したり等の事情がないこと等から、「本件解約は、「不利な時期」においてなされた場合に当たらない」と判断しました。

解除した相手方から損害賠償請求を行われることを避けるために、委託している管理業務の内容・規模等にもよりますが、数か月間の猶予をもって、解除通知を行うべきです。

管理委託契約の解除は管理組合の決議が必要

国土交通省作成の「マンション標準管理規約(単棟型)」48条において、管理組合総会において決議を経るべき事項が列挙されており、同条14号において「組合管理部分に関する管理委託契約の締結」が規定されています。

管理委託契約の「解除」についての規定はありませんが、同条15号「その他管理組合の業務に関する重要事項」に該当すると考え、総会決議を行っていただくのが安心です。

仮に、ご使用のマンション管理規約において、上記のような詳細な規定がない場合でも、管理会社との管理委託契約の締結・解除は、管理組合の重要な業務に該当するものと考えられますので、総会決議を経ていただくべきでしょう。

総会決議の種類や方法については、当コラム「マンションの大規模修繕【弁護士が総会決議の方法と種類を解説】」で詳しく解説されていますので是非ご参考ください。

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