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競売物件のリスクとは?占有者がいた場合の対処法を弁護士が解説


【相談】競売物件を購入するにあたってリスクはありますか。

不動産投資のために、競売に出ている物件を落札して通常より安く購入することを考えています。競売の場合、元の所有者が物件に居座るというリスクがあるようですが、その場合に法的手段で立ち退かせることはできないでしょうか。

また、その他にも、競売されている物件を購入する際のリスクがあれば教えていただきたいです。

【回答】占有者が居座るリスクや、担保責任が適用されないといったリスクがあります。

競売物件には占有者が居座るなどのリスクがあります

競売物件には占有者が居座るリスクや、担保責任が適用されないといったリスクがあります。

競売により買い受けた物件に元の所有者が居座る場合、引渡命令という簡略的な手続により強制執行を行うことができます。

他のリスクとしては、

  1. 物件情報を自ら確認しなければならない
  2. 物件の内覧ができない
  3. 種類又は品質に関する担保責任が適用されない

ことなどが挙げられます。

もし競売物件に占有者が居座ったら引渡命令を活用しよう

競売物件について売却許可決定が出され、買受人が代金を納付すると、当該物件の所有権は買受人に移転します。したがって、元の所有者は、その物件で勝手に住み続けることはできません。

しかし、競売の場合、その物件の所有者は自ら物件を売却しようとしたのではなく、借金の返済が滞った等の理由で強制的に物件を売却させられています。そのため、競売で物件が落札された後も、ほかに行く場所がないなどといって物件に居座るケースがあります。

通常は、居座った者を立ち退かせるためには、建物明渡請求の訴訟を提起し、勝訴判決が確定してから、明渡しの強制執行手続を行います。訴訟提起をした場合、短くても数か月の時間がかかってしまいます。

他方、競売の場合は、引渡命令(民事執行法83条)という簡略的な手続きが用意されています。競売物件の買受人は、競売の代金を納付した日から6か月間、裁判所に対し、物件を買受人に引き渡す旨を命ずるよう申し立てることができ、短い場合は3日~4日で引渡命令が出されます。

引渡命令が確定すると、それに基づいて強制執行を行うことができます。そのため、長い時間をかけて訴訟をする必要がありません。強制執行についてはこちらの記事「競売物件のリスクとは?占有者がいた場合の対処法を弁護士が解説」をご覧ください。

競売物件購入におけるリスク

物件情報を自ら確認しなければならない

通常の売買の場合は不動産業者に確認すればいいことを、競売の場合は自ら物件を選定し、物件情報を確認しなければなりません。

競売物件の選択・確認の際は、不動産競売物件情報検索サイト(BIT)などの競売情報サイトで競売手続中の物件を探すことができます。希望の物件が見つかったら、「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」(いわゆる3点セット)にて所在地、図面、写真などを確認します。

「物件明細書」は、その物件を買い受けたときに買受人がそのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか、土地又は建物だけを買い受けたときに建物のために地上権が成立するかどうかなどが記載されている書類です。

また、「現況調査報告書」には、土地の現況地目、建物の種類、構造などといった物件の現在の状況のほか、物件を占有している者の氏名や、その者が物件を占有する権原を有しているかどうかなどの現況調査の結果が記載されており、物件の写真等も添付されています。

そして、「評価書」には、物件の評価額、周囲の環境の概要、公法上の規制などが記載されており、物件の図面等が添付されています。

3点セットを確認すれば、当該物件の現状と法律関係が分かるようになっていますが、もちろん自分で書類をみて確認しなければならず、不明点があっても裁判所は答えてくれません。また、3点セットは競売手続のために収集された限定的な情報であるため、予期せぬ不都合が生ずる可能性もあります。

物件の内覧ができない

競売物件の情報を得るため現地調査を行うことが考えられますが、競売物件の場合は基本的に内覧をすることができません。ですので、現況調査報告書の写真でしか建物の中を確認できないのです。

実際に購入してから建物の内部を確認すると、現況調査報告書の写真よりひどい状態だったということがありうるのです。

種類又は品質に関する不適合については担保責任が適用されない

通常の売買では、物件になんらかの不備があった場合は売主に担保責任を追及し、損害賠償請求や解約の解除等ができます。これを契約不適合責任いい、民法改正前の瑕疵担保責任に相当します。

競売の場合は、物件の種類又は品質に関して不備があったとしても、元の所有者に担保責任を追及することができません(民法568条4項)。そのため、競売物件の買受後に物件の不備が発覚しても買受人自らが修繕しなければならないのです。

競売物件のメリットとリスク

競売物件は確かに通常の物件より安く購入できるというメリットがあります。

しかし、上記のように多数のリスクをはらんでおり、自分で物件の調査ができる人でなければ後々思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。

元の所有者が居座る場合には引渡命令という簡略的な手続きを使うことはできますが、そのような手続きをしなければ立ち退かせられないという点だけでも、その物件から収益を得るまでの期間が遅くなるというリスクとなります。

競売物件は買受後に中を確認するまでは不備があるかどうか確認できないというギャンブル的要素が含まれますので、物件の目利きに自信がある人以外は、競売物件の購入には特に慎重になったほうがよいでしょう。

もし不動産に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします

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