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埋蔵文化財包蔵地にデメリットはあるか弁護士が解説


【相談】周知の埋蔵文化財包蔵地を購入する場合、なにかリスクはありますか。

アパートを建築するための土地を探しているのですが、購入を検討している土地が周知の埋蔵文化財包蔵地として自治体が定めている区域であることが分かりました。このような土地を購入することについてなにかリスクはあるのでしょうか。

【回答】開発者負担にて発掘調査を行い、また、工事の着工が遅れる可能性があるというリスクがあります。

周知の埋蔵文化財包蔵地に建物を建築する場合、文化庁長官に事前に届出をする必要があり、場合によっては開発者の負担により発掘調査を行わなければならず、発掘調査によって建築工事着工が遅れるというリスクがあります。

埋蔵文化財包蔵地のデメリット

埋蔵文化財包蔵地は、建築着工遅延や発掘調査費用負担が発生する可能性があります

また、開発を行う際は文化庁長官へ事前に届出をする必要があります。

    以下で文化長官への届出提出の流れと、発掘調査の流れや費用について解説します。

    周知の埋蔵文化財包蔵地で建築を行うには届出が必要

    文化財保護法では、周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合には、60日前までに文化庁長官に事前の届出をしなければならないと定めています(文化財保護法第93条第1項、同法第92条第1項)。文化庁長官への届出は、市区町村の教育委員会を通じて提出します。

    周知の埋蔵文化財包蔵地は、教育委員会が作成する遺跡地図・遺跡台帳に表示されており、教育委員会に問い合わせればその土地が埋蔵文化財包蔵地にあたるか回答してもらえます。

    また、自治体のホームページにて、遺跡地図等が公開されていることもありますので、それをみて購入する土地が埋蔵文化財包蔵地にあたるかを確認することができます。

    なお、埋蔵文化財包蔵地は特段珍しいものではなく、文化庁は全国で約46万か所もあると公表しています。普通の住宅街の中にも存在しますので注意が必要ですが、購入する土地が周知の埋蔵文化財包蔵地と指定されている場合は重要事項説明書に記載されますので、しっかりチェックするようにしましょう

    埋蔵文化財包蔵地の発掘調査の流れと期間

    埋蔵文化財の保護上、特に必要があるときには、文化庁長官は発掘前に、記録の作成のための発掘調査など必要な事項を指示することができます(文化財保護法93条2項)。毎年全国で9000件程度の発掘調査が行われています。

    手続は各自治体によって異なりますが、通常は、届出後教育委員会と協議して試掘調査を行い、試掘調査の結果埋蔵文化財への影響があることが判明した場合は発掘調査を行うことになります。具体的な手続きについては対象地のある市区町村の教育委員会へ確認してください。

    例えば、新宿区では、新宿区埋蔵文化財取扱要綱が定められているところ、周知の埋蔵文化財包蔵地の開発者に対して対象地の試掘調査の実施を指導するものとされています(要綱第3条第1項第1号)。

    ただし、対象地域が狭小で通常の試掘調査が実施できない場合や埋蔵文化財を損壊しない範囲内で工事が計画されている場合は試掘調査に代えて工事中の立会を行い(同条第4項)、また、対象地においてすでに発掘調査が実施されている場合や対象地において過去の試掘調査の結果、埋蔵文化財が存在しないことが確認されている場合は開発者に対して慎重工事を指導する(同条第5項)こととされています

    また、教育委員会は、文化財保護法第93条等の届出の提出があったときは、開発者と協議を行い、工事計画等を調整の上、調査の規模・期間・内容・方法等を決定し発掘調査の実施を指導するものとするとされています(要綱第5条)。

    発掘調査を行うことになった場合、調査が終わるまで建物の建築が始められないところ、発掘調査は短くて1か月から2か月、長くて1年以上にも及ぶこともありますので、建築工事の着工が大幅に遅れてしまいます。また、埋蔵文化財が発掘された場合は、建築計画の変更を求められたり、工事の中止を求められる可能性もあります

    埋蔵文化財包蔵地の発掘調査の費用

    発掘調査に要する費用は、開発者である土地所有者が負担します。個人の居住用住宅の場合は公費により実施される場合もありますが、不動産投資のために物件を購入する場合や、収益用不動産を建築する場合は開発者が調査費用を負担しなければなりません。調査費用がどのくらいかかるかは発掘調査の規模等によっても様々ですが、アパート建築のため土地であれば数百万円もの費用がかかることが考えられます。

    周知の埋蔵文化財包蔵地購入の検討にあたって

    周知の埋蔵文化財包蔵地に指定されている土地であっても、文化財が埋蔵されている可能性があるだけですので、発掘調査までは至らないことも多いです。

    しかし、発掘調査が必要になってしまうと、上記のような建築着工遅延のリスクや発掘調査費用負担のリスクがあります。周知の埋蔵文化財包蔵地に指定されている土地を購入する場合、不動産投資家としてはこのようなリスクを考慮して慎重に検討するようにしましょう。

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