コラム Column

マンションのバルコニーに物置を設置したい! 確認すべき3つの観点


【相談】マンションのバルコニーに物置を設置することに問題はありますか。

マンションの1室を区分所有して居住しています。バルコニーの有効利用のために物置を設置したいと考えているのですが、問題はないでしょうか。なお、管理規約では、バルコニーに物置を設置することは禁止されておりません。また、このマンションのバルコニーは薄いパーテーションで隣室のバルコニーと仕切られており、また、高さ120センチメートルほどの手摺壁が設置されていて、バルコニーの手摺壁より低い部分は外から見えない構造です。

【回答】物置の大きさや設置場所等によっては管理組合から撤去請求がなされる可能性があります。

バルコニーの広さや形状、物置の大きさや形状、また物置の設置場所によっては、物置の設置が区分所有者の共同利益に違背するとして、管理組合より撤去請求がなされる可能性があります。

本件では、高さ120センチメートルを超えない小型・軽量の物置であり、緊急時の避難の妨げや排水の妨げにならないような場所に設置できる場合は共同利益に違背せず、設置が可能と考えられます。

ベランダ・バルコニーは専有部分ではなく共用部分

マンションのバルコニーは、通常その部屋の区分所有者や賃借人しか利用できませんので、専有部分であると思われている方もいるかもしれません。

しかし、多くのマンションでは、バルコニーは、廊下や階段と同様に、共用部分とされています。マンションのバルコニーは緊急時には避難路として利用され、仕切りのパーテーションを突き破って移動することが想定されています。

もっとも、バルコニーはそのマンションの住人であれば誰でも利用できる廊下や階段と異なり、区分所有者の居住部分と直結して一体として利用されるため、管理規約において区分所有者に専用利用権が設定されていることが一般的です。なお、各マンションが管理規約を作成する際の参考として国土交通省が作成・公表している「標準管理規約」14条1項においても、バルコニーについて区分所有者の専用利用権を認めています。

専用利用権が認められているとはいっても、制限なく自由に使用できるというわけではありません。

建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます。)は、マンションの共用部分について、その用法に従って使用することができると定めており(区分所有法13条)、管理規約等によってバルコニーの使用方法が定められている場合には、その管理規約等に従って使用する必要があります。

また、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定められており(同法6条)、区分所有者の共同利益に違背する行為は許されません。

なお専有部分のリフォームについては、当コラム「マンション専有部分をリフォームする際の注意点」で詳しく解説されていますので是非ご参考ください。

共同利益に違背する場合は物置が撤去される可能性も

区分所有者が共同利益に違背する行為を行った場合又はその行為をするおそれがある場合、管理組合は、区分所有者に対し、共同利益違背行為の停止やその結果の除去、又はその行為を予防するために必要な措置を執ることを請求することができます(同法57条1項)。

バルコニー内に物置を設置することが共同利益に違背する行為に当たる場合には、物置の撤去請求がなされる可能性があります。

もっとも、バルコニーの広さや形状はそのマンションによって様々であり、また、物置の大きさや形状も異なるため、バルコニー内に物置を設置することが区分所有者の共同利益に違背する行為に当たるかは、

①緊急時の避難路の確保等の安全上の機能

②排水や老朽化防止等の建物維持管理上の機能

③建物の美観等の要素

を考慮して個々の事案ごとに具体的に検討する必要があります。

小型・軽量の置物であれば、避難や排水の妨げにならない場所で設置できる

本件でも、上記①から③の各要素から、バルコニー内での物置設置の可否を検討することになります。

まず、①の安全上の機能の観点からすれば、バルコニーを避難路として使用する場合に避難の妨げとなる大きさの物置の設置は認められないでしょう。また、小さい物置だとしても、避難の妨げとなるようなバルコニーの真ん中に設置したり、仕切りのパーテーションのそばに設置することも認められないと考えられます。

次に、②建物維持管理上の機能の観点から検討すると、バルコニーの排水溝や排水口等に影響のない形状や設置場所でなければ、排水機能を妨げてしまうおそれがあります。また、バルコニーの耐荷重性能を超えないよう、物置自体の重量に気を付けるとともに、バルコニーの奥側(建物と反対側)ではなく、手前側(建物側)に設置することを検討するべきです。

最後に、③建物の美観の観点からは、バルコニーの手摺壁を超えない高さの物置であれば、外から見えることはありませんので、美観を損なうことはありません。なお、手摺が壁ではなく格子状になっている場合は、手摺を超えない高さの物置であっても外から見えてしまい、建物の美観を損なうおそれがあります。本件では、バルコニーに手摺壁が設置されていて、手摺壁より低い部分は外から見えない構造ですので、手摺壁の高さである120センチメートルを超えない高さの物置であれば、美観を損なうことにはなりません。

以上を総合して考えると、高さ120センチメートルを超えない小型・軽量の物置であり、緊急時の避難の妨げや排水の妨げにならないような場所に設置できる場合は、物置の設置が可能と考えられます。逆に、上記要素のいずれかでも満たさない場合は、共同利益に違背する行為にあたる可能性があります。

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