コラム Column

建物が老朽化した場合の立ち退き交渉の方法を解説


もしあなたが、賃貸物件の賃貸人(オーナー)となったら、知っておかなければならないことがあります。それは、「立ち退き交渉」です。建物が古くなったり、自己使用の必要性が出たりなど、賃貸借契約の期間が満了しなくても「立ち退き交渉」をしなければならない場合があります。では、どのようにしたらよいのでしょうか。

 

Q.物件が老朽化した時の「立ち退き交渉」を教えてください。

所有する賃貸物件のリフォームを行っても、いずれ訪れる建物全体の老朽化が不安です。安全性や利回りを考えると建て替えは必須ですが、古くからの入居者を含めた住人への「立ち退き交渉」はどうしたらよいでしょう。

 

A.「正当事由」による賃貸借契約の解約交渉が必要です。

現在の法律では、たとえ、建物賃貸借契約の期間まで待って契約が満了したとしても、賃貸人が賃借人に立ち退いてもらうには、「正当事由」(借地借家法第28条)が必要になります。

 

借地借家法は法定更新(同法26条)の定めもある、借地人や借家人保護を目的とした法律で、貸主は借主に、スムーズに退去してもらうことが難しくなっているのです。

 

かといって、建物賃貸借契約を交わした賃借人に賃貸人が生涯に渡って貸し出さなければならないわけではありません。実際には賃貸人の「正当事由」の有無が重要となります。ここから「正当事由」となる詳細内容を説明します。

 

賃貸人の「正当事由」の有無は、『①賃貸人建物自己使用の必要性、②賃借人建物自己使用の必要性、③建物賃貸借に関する従前の経緯、④建物の利用状況、⑤建物の現況、⑥財産上の給付等』という勘案がなされ、総合的に判断されます。

よって、①と②は相反する必要性となるため、賃貸人は“①賃貸人建物自己使用の必要性”を粘り強く主張していかなければなりません。

また、賃貸人・賃借人ともに自己使用の必要性は、以下のように4段階に分ける考え方があります。

 

1.死活にかかわる段階 生計が成り立たない、家族関係や生活が崩壊するなど、心身に多大な影響があること。
2.切実な段階 1ほどではないが、自己使用の必要性度合が大きいこと。
3.望ましい段階 賃貸人は土地・建物の有効利用ができ、賃借人も引き続き居住可能となること。
4.わがままな段階 賃貸人の明確な理由はなく、とりあえず建物返還を要求し、賃借人は契約違反等の落ち度があるにもかかわらず、継続入居を希望すること。

 

解約交渉には、こうした賃貸人の「正当事由」を明確に示した上で、立ち退き料なども含めた契約終了の意思を伝える通知を賃借人に出し、真摯に解約交渉をしていく必要があります。

 

Q.「立ち退き交渉」の流れはどうなっていますか?

賃貸物件の賃貸人(オーナー)となったら、「立ち退き交渉」について知っておきたいので、その流れを教えてください。

 

A.物件オーナーの意思表示から任意交渉および訴訟になります。

法律に則り、賃貸人は「正当事由」を入れた契約終了の意思を伝える通知を賃借人に出し、解約交渉を行います。更新の契約書次第ではありますが、通常の手順は、契約期間満了の1年前から6ヵ月前までに「更新をしない(更新拒絶)」通知を出します。もし、6ヵ月を過ぎてしまっても、ひとまず賃貸人の意思は通知で伝えるようにすることが必須です。

 

賃貸人は「正当事由」を補う事項として、立ち退き料を提示することもよくあります。文面の補足としても、期日までに回答がない場合や立ち退かない場合は、再度の確認書通知後に訴訟になることを明記しておくことをおすすめします。

 

Q.「立ち退き交渉」に初めから弁護士を依頼できますか?

賃貸人が更新なしの通知を出しても、賃借人が建物の継続使用を続けていたり、反論をしてきたりする場合が不安です。通知での「立ち退き交渉」から弁護士をつけられますか。

 

A.立ち退き条件の提示が迅速にできるため、メリットは大きくなります。

最初から弁護士の名のもとに、書面で立ち退き条件の提示を詳細に記載することは、法的手段で闘う用意があるという意思を示すことでもあります。その後の交渉まですべて一貫した主張ができるため、初めから弁護士が介入するメリットは大いにあります。

 

まとめ

個人が「立ち退き交渉」をすることは容易ではないでしょう。もし、任意交渉がこじれて訴訟になれば、いかに賃貸人の「正当事由」を強く印象づけ、いかに賃借人の建物自己使用の必要性を排斥するかにかかっています。

そのような場合は、事前の相談から弁護士など専門家にお任せしたほうがよいでしょう。

強制執行については「立退きしないときの最後の手段!強制執行とはどんな手続き?」をご参照ください。

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