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【堀鉄平弁護士 メルマガ掲載】リスクについての考え方

投稿者名:堀 鉄平
投稿者資格:弁護士(第一東京弁護士会)



執筆者:堀鉄平】

弁護士。弁護士法人Martial Arts代表。不動産投資家、格闘家、YouTuberとしても活動。

不動産投資家として、六本木、赤坂、南青山など都心の超一等地に新築RCを複数保有。投資総額80億円。売却益は25億円以上。不動産投資の『堀塾』を運営。

YouTube堀塾ちゃんねる』のチャンネル登録者数は3万人を超え、Twitterアカウント『堀鉄平@ 闘う不動産投資家』のフォロワーは開始3か月で1.5万を超えた。不動産投資の哲学や、人生の成功法則などを発信し続けている。





先日、多法人スキーム(※)を使っている投資家の方が、

  ・何かあったときのために、現金は取っておかないといけないですよね

  ・何かあるとは、銀行に多法人がばれて一括返済を求められることです

  ・今ある現金が使えない以上、もう少しキャッシュが貯まるまで投資はお休みせざるを得ないです

というお話をされていました。

 

多法人スキームとは、物件ごとに異なる法人を設立して異なる銀行から融資を受けて不動産を購入し、銀行には1棟も物件を持っていないというふりをして融資を受けることを言います。規模を急激に拡大する手法です。

 

他に不動産を持っていることを銀行に隠しているため、そのことが銀行に発覚すると融資した全額の一括返済を求められるリスクがあると言われています。

私は、多法人スキームについては取るべきではないとは思いますが、既にやってしまっている人が、わざわざ銀行に明かす必要もないとも思っています。

 

問題なのは、上記の投資家のように、一括返済の「リスク」を過度に恐れて、新しい投資を控えるということです

 

ところで、一括返済のリスクとは本当に現実的なリスクなのでしょうか?

この点、銀行が一括返済を求める根拠は、「銀行取引約定書」の中の「期限の利益喪失」条項です。

 

「期限の利益」とは、期限の到来までは債務の履行を請求されないという債務者側の利益のことです。要するに、分割弁済でよいですよということです。これを喪失するということは、分割ではなく、「一括で返してくれ」となりますので、債務者としては大ごとです。

 

では、多法人スキームを使うことが、このような期限の利益喪失条項にあたるのでしょうか。

期限の利益喪失条項にあたるかどうかは、『経営上の重大な変化の報告義務違反や、財務状況を示す書類に虚偽の内容がある等の事由』に該当するかどうかです。

 

この認定は、ケースバイケースです。

楽待さんのコラムでは「28法人で80億」という方が紹介されていましたが、そのような強者もいれば、単に、事業の内容ごとに法人を分けているとか、消費税還付等税制の問題で法人を分けているという人もいます。

銀行の方から「稟議が通りやすいので」という理由で多法人となった経緯のある方もいるようです。

 

また、そもそも融資の際に、銀行から他の債務の状況など特に聞かれていないケースもあります。聞かれていない以上、積極的に告げる法的な義務があったとも思えません。

もしくは、当時の担当者には、多法人で他に債務があることを告げたのだけれども、担当が深く考えていなかったとか、目先の融資を通すために特に稟議書に記載しなかったというケースもあるでしょう。

 

このように、そもそも期限の利益喪失条項にあたるかどうかも争う余地がありますし、仮に同条項に該当するのが明確なケースであっても、銀行が抵当権の実行として、競売までしてくるというのはかなりハードルが高いと思います

 

確かに、抵当権が設定されている物件について、担保権の実行としての競売の申し立てがされる場合、債務名義は必要ではありません。

債務名義とは、債権の存在、 範囲を公的に証明した文書のことで、勝訴判決等です。

債務名義が不要ということは、銀行の方で期限の利益喪失条項にあたるということを立証しないでも、競売をすることは物理的には可能という意味です。

 

しかしながら、上記の通り、期限の利益喪失条項にあたるかどうか微妙なケースは多く、債務者の方で、強制執行(競売)に対して異議を述べることも出来ます

多法人スキームを取ってはいるが、自分の財務状況に「大きな」影響を及ぼすものではないとか、担当者に伝えていたとか、特に聞かれていなかったとか、争う余地があるのであれば、その異議の手続きの中で争うことは十分に可能なのです。

 

返済を怠って、期限の利益を喪失する場合というのは、争いようがないわけですが、『経営上の重大な変化の報告義務違反や、財務状況を示す書類に虚偽の内容がある等の事由』に該当するかどうかについては、「解釈」が伴いますので、裁判所の判断も分かれるものです

 

そうなると、後から競売がひっくり返されるリスクを銀行が負うというのは、なかなかハードルが高いと言えます。

また、そこまでして、仮に銀行側が期限の利益喪失条項に該当すると勝訴したとして、実際に物件を競売までしたところで、果たして全額回収することはできるのでしょうか。

 

このような理由で、私は、銀行にとってよほどのことがない限り、期限の利益を喪失させて一括返済を求めるということはしてこないと思います

もちろん、口頭で一括返済を御願いされることはあるかもしれませんが、自分が悪意ある多法人スキームではないと思うのであれば、それを受けなければよいという意味です

 

本件に限らず、実際にはどの程度のリスクなのか?ということについて、思考停止とならないように「考える」ことはとても重要です。

思考停止となって、「多法人=全て一括返済のリスク」と捉えてしまい、投資のチャンスを逃すことほどもったいないことはありません。

 

リスクを「怖い」と思ってしまう人間の弱さも分かります。

ですが、リスクを過大評価して前に進めないと、成功の機会を逃すという視点も忘れないで欲しいと思います。

 

「起業をする」、「投資をする」ということも、リスクを恐れずに実行することに他なりません。そのどちらかをやらずにお金持ちになるのは難しいです。

リスクの具体的な中身を検証して、成功の機会を逸することのないようにすることがとても重要です。

 

弁護士 堀 鉄平

 

本コラムは、弁護士堀鉄平の「不動産投資で人生を変えるメルマガ」の原稿を転載しています。

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