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不動産売買の流れと民法改正

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【相談】初心者に不動産売買の流れと民法改正の影響を教えてください。


不動産売買の初心者です。不動産の売買の流れを教えてください。特に民法の改正が影響する部分があれば教えて頂きたいです。

 

【回答】物件調査、重要事項説明、契約、代金支払・引渡しという流れです。改正には適宜言及します。

 

はじめに

 

不動産売買は、次のような流れで行うことになります。

 

①物件調査


②重要事項説明(宅建業者が仲介業者・売主の場合)


③売買契約


④代金支払・引渡し

 


以下、簡潔ではありますが、これらのポイントにつきご説明差し上げます。

 

なお、ご質問にあった民法改正(※)の影響があるのは主にの売買契約となりますので、該当の部分をご覧ください。

 

※民法の一部を改正する法律(債権法改正)は、2020(令和2)41日に施行されます。本稿で、民法改正という場合には、これを指します。

詳細は、法務省HP参照。

 


①物件調査

 

物件調査としては、様々なものが行われますが、代表的なものとしては、現地調査・内覧、不動産の特定、登記記録の確認、法令上の制限調査(近隣を含む)があげられます。

 

このような物件調査は、売買契約の締結にあたり重要であることはもちろん、将来のトラブル防止の観点からも必要不可欠です。

 


②重要事項説明

 

宅建業者が仲介業者や売主である場合には、重要事項説明というものが必ず行われます。

 

宅建業法35条で、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士が、取引士証を提示の上、重要事項を記載した書面を交付して説明する必要があるとされています。

 

これは、不動産取引を専門に業として行う者に、重要な事項を説明することを求めることで、不動産の買主等を保護することを目的としているからです。

 

実際の重要事項説明では、淡々と説明されてしまうことも多いのですが、買主等の保護のためになされるものですので、説明の際に不明点や疑問点があれば遠慮なく質問するようにしましょう。

 


③売買契約

 

⒜ 契約の成立

 

契約の成立については、民法改正により、次のような定めが設けられることになっています。

 

改正民法5221

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。


 不動産の売買契約が成立しているか否かについては、しばしば問題となることがあります。買付証明書や売渡承諾書の授受の時点で売買契約の成立があるとも思われるからです。

 

結論は個別具体的な事情によりますが、買付証明書や売渡承諾書の授受がなされたとしても、未だ他の条件につき交渉が行われることが予定されていれば、意思表示は留保されていることになりますので、申込みと承諾の意思表示の合致を求める上記の改正民法5221項によれば、売買契約は成立していないということになるでしょう。

 

※実際に上記のとおりとなるかは、改正前の現時点では分かりかねるところです。今後の実務的な対応に解釈は委ねられているといえるでしょう。

 

このように、従来の売買契約についての基本的な定めである民法555条に加えて、改正民法5221項が定められることで、売買契約の成立時点がより明確になることが期待できます。

 

ここまで述べてきた話は、従来の民法の下でも解釈で同様の取り扱いがなされてきたところです。そのため、上記の期待以上に改正民法5221項が定められたことにより不動産売買への実務的な影響が生じることはあまりないといえるでしょう。

 


⒝ 手付

 

手付については、民法改正により、次のような定めが設けられることになっています。

 

改正民法5571

買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。


この条文は、従来より重視されてきた

 

相手方が履行に着手するまでは履行に着手した当事者による手付解除ができるとする判例(最高裁昭和401124日判決(民集1982019))

 

及び

 

売主が手付の倍額を償還して契約の解除をするためには、現実の提供を要するとする判例(最高裁平成6322日判決(民集483859))

 

の法理を明文化したものになります。

 

いままでもこれらの判例にしたがっていたことを考えますと、改正民法5571項が定められたことにより実務的な影響が生じることはないでしょう。

 


また、宅建業法39では、宅建業者が自ら売主となる売買契約においては、代金額の10分の2を超える手付を受領することはできず、また、自ら売主となる宅建業者が手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであっても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して、宅建業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができ、これよりも買主に不利な特約は無効となると定められています。

 

なお、手付は、実際には様々な名称で交付されることがあります。「申込証拠金」や「予約金」という名称で、売買契約の締結前に買主が売主に交付する金銭は、購入意思の確認等を目的とするものにすぎず、契約成立後は、手付の一部として充当されることが多いようです。

交付した金銭が手付にあたるか否かは、契約解除をするにあたって重要です。売主に交付する金銭が法律上いかなる性質を持つかはきちんと確認するようにしましょう。

 


⒞ 定型約款

 

改正民法548条の2は、定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なもの)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体定型約款としたうえで、個別の条項につき合意したとみなす要件、内容の表示義務、変更に関する定めを設けています。

 

定型約款についての定めは、従来の民法にありませんでした。

 

そのため、不動産の売買契約にひな型の契約書が用いられるような場合に定型約款にあたるか否かが新たな論点にはなり得ます。

 

しかし、不動産の売買契約は、代金が高額であり、様々な要素を考慮しなければならず、慎重に内容を定めなければなりませんから、「内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的」とは言い難く、定型約款にあたる可能性は高くないでしょう。

 


⒟ その他

 

改正民法により、買主に第三者対抗要件を備えさせる売主の義務、危険負担、買戻し、契約不適合責任等で従来からの変更がある部分もありますが、多くは特約がない場合に適用される任意規定です。

 

したがって、売買契約時に特約を定めれば、その特約が優先されることになります。

 

そういった意味では、まず、契約書を良く確認することが重要だといえるでしょう。

 

細かな部分につきましては、今後、別のコラムでご紹介できればと考えておりますが、個別具体的な判断が必要なところですので、お困りの際は弁護士をはじめとする専門家への相談をおすすめいたします。

 

 

④代金支払・引渡し

 

不動産の売買契約を締結した場合、代金支払は買主の、目的物の引渡しは売主の義務となります。確実に履行がなされるよう事前にしっかり連絡や調整をするようにしてください。


登記関係の手続については、司法書士に相談しましょう。

 


まとめ

 

今回は、概括的なご説明にとどまりましたが、これだけでも考えなければならないことが多岐にわたることがお分かりいただけたと思います。

 

そして、実際に不動産の売買をするにあたっては、様々な視点での検討が必要となります。

 

ご自身で不動産売買を行う際は、必要な学習をし、必要に応じて専門家の意見も仰ぎながら進めるようにしましょう。

 

どの専門家に聞くべきか迷ったり、お気軽に疑問を解消したい場合は、是非本サイトの「相談」のページもご利用になってみてください。



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