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【家賃滞納】建物明け渡し訴訟にかかる費用や時間を弁護士が解説


こんにちは。平成生まれの戦う弁護士、坪井僚哉です。

前回の記事では、実際のトラブル解決事例をもとに、滞納発生から解決までの流れを具体的に説明しました。

今回は、建物明渡訴訟にかかる費用、時間、ワンポイントアドバイス、家賃滞納発生時にまず考えるポイント3つを解説していきます。

建物明け渡し訴訟にかかる費用

弁護士に支払う報酬金額

・着手金25~30万円+報酬45~50万円。ざっくり70~80万円程度です。

・遠方の場合で現地まで赴く必要が生じた場合は出張費用1日5万円、半日3万円がかかるのが一般的です。

執行費用として裁判所に支払う実費

・強制執行実費 

強制執行まで至った場合のみかかるお金です。これは弁護士がもらうものではなく、執行費用として裁判所に払うものです。数十万円かかることが多いのですが、なぜこんなに高いかというと、賃借人が出ていくときにゴミや不要品を残置する場合があるため、それらを運び出すのにお金がかかるのです。ワンルームなら通常20万円程度ですが、ゴミ屋敷の場合はワンルームでも40万円くらいかかったことがあります。3LDKなどで家具が多いと80万円くらいになることもあります。

ちなみに執行費用は大家さんが払った後で賃借人に請求することはできるのですが(民事執行法42条1項)、家賃すら払えない相手なので、執行費用を回収できる見込みは低いです。残念ながら大家さん負担となってしまう可能性が高いということを念頭に置いておいた方がよいでしょう。

・その他、裁判所に納める印紙代・切手代や、交通費など実費が数万円程度かかります。

小計は80~150万くらい

強制執行の有無により上下しますが、実費を含めざっくり80万~150万円くらいになります。

決して安くはありませんが、今回のように賃借人が悪質であるケースや、店舗用、事務所用など賃料が高額の場合であれば弁護士に依頼して早急に対応してもらうことも十分選択肢に入ります

高度な知識が必要となる場合もあるためおすすめはできせんが、費用節約という観点からご自身で行うことも不可能ではありません。

解決までにかかる時間は平均9カ月ほど

国交省のデータによれば、滞納発生から明渡完了まで平均9カ月ほどかかります

相手が裁判に出てこなければ半年かからず終わることもありますが、今回の事件では交渉を挟んだため1年ほどかかりました。

坪井弁護士のワンポイントアドバイス

ここでは、私がよく不動産会社の方や、不動産投資家の方、大家さんからよく質問される疑問について、要点を絞ってわかりやすく回答していきます。

立退料は不要

よく勘違いされますが、家賃滞納で解除した上で追い出す場合は基本的に立退料不要です。

実務的には和解の中で引っ越し費用を一部肩代わりして早く追い出すこともあるのですが、それはあくまで交渉のカードに過ぎず、法的には不要です。

自力救済はNG

家賃が起こった場合に、勝手に鍵を替えて入れなくしたり、合鍵を使って入り、ものを収去したりする大家さんもいます。

気持ちはわかりますが、絶対にNGです。民事上の責任を負って損害賠償請求されかねません。また、住居侵入罪(刑法130条前段)や窃盗罪(刑法235条)として刑事責任を負う場合もあります。

家賃滞納をやらかす賃借人のために自分の人生を棒に振るなんて最悪です。

自力救済は絶対にしないでください。

弁護士費用は請求できない

弁護士費用を相手方に請求できないかよく聞かれますが、今回のように契約の不履行が問題となる場合は残念ながら請求できません。

滞納されたら早めの相談を

家賃保証を付けていない場合、あるいは家賃保証の範囲を越えそうな場合、滞納されたら早めに弁護士に相談してください。

一人で明渡請求を行うことはおすすめできません。なぜなら、例えば相手が裁判に出てきて交渉となったとき、和解条項を細かく決めることとなりますが、何が有利で何が不利かの判断は難しいのです。相手に弁護士が付いたり、知識のある入居者だと、不利な条件で押し切られてしまったり、こちらに不利な条件だと気づかずに和解を結んでしまうことがあります。

不動産に強い弁護士に相談してください。

弁護士に依頼するメリットとデメリット

デメリットは端的にお金がかかることくらいです。

メリットは主に2つです。

1つは、裁判や法律のプロなので、大家さんが自分でやるよりもいい結果を得られる可能性が高い、という客観的なものです。

2つめは主観的なものですが、とにかく楽です。最初は暗い顔をしていた不動産会社の人や大家さんがどんどん明るい顔になっていくのは弁護士やっていてよかったと思う瞬間です。

家賃滞納が発生したときに考える3つのポイント

ここまで長くなってしまいました。

最後に、家賃滞納が発生したときに考えるポイント3つです。

  1. 滞納者を追い出す場合、任意での立退請求に従わない場合が多いので、訴訟になることを念頭に置いてください。
  2. とにかく早く動いてください。建物明渡請求は解決までに平均9カ月程度がかかります。時間が経てば経つほど家賃滞納という大家さんの損失は拡大していく。損失を拡大させないためにも、2か月滞納があったら、不動産に強い弁護士に相談してください。
  3. かかるお金は上下することもありますが、全部ひっくるめて大体120万から150万くらいです。

以上です。

この記事を不動産会社・不動産投資家・大家さんの抱える問題解決にお役立ていただけた幸いです。

それでは、またお会いしましょう!

平成生まれの戦う弁護士、坪井僚哉でした!

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