コラム Column

【相続】遺産分割する不動産の評価を決める方法を弁護士が解説


【相談】遺産分割協議における不動産の評価方法について教えてください。

先日、父親が亡くなり、父親の遺産の分割協議を行っています。

父親の遺産には、いくつかの不動産があります。

その不動産の評価方法について、相続人間の意見が大きく食い違っており、遺産分割調停の申立てをせざるを得ないとも考えております。

一般的に、遺産分割の際の不動産の評価方法には、どのようなものがあるのでしょうか。

そして、遺産分割調停となった場合には、通常、不動産の評価はどのように行われるのでしょうか。

また、不動産は、いつの時点で評価されることになるのでしょうか。

【回答】公示価格、固定資産税評価額、路線価などの客観性の高い資料を基準に算定する選択肢や、不動産業者に査定を依頼する選択肢などがあります。

まず、一般的に、不動産は、遺産分割時の時価をもって評価されることになります。

不動産の評価方法については、公示価格、固定資産税評価額、路線価などの客観性の高い資料を基準に価値を算定する方法があります。

また、実務上は、複数の不動産業者に不動産の査定を依頼して、その中間値を採る方法もあります。

当事者間において、合意に至らない場合には、費用はかかりますが、不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法もあります。

遺産分割調停となった場合の評価方法については、第3項においてご説明いたします。

不動産の評価は遺産分割時の価格が適用されます

遺産分割での不動産はいつの時点の価格で評価されるのでしょうか。
基本的には、不動産の評価は遺産分割時の価格とされています

被相続人が亡くなってから遺産分割時までは長期間にわたることが多く、その間に不動産の価値も変わってしまうことも考えられます。

相続人間の公平を考えて、遺産分割時とされているのです。

遺産分割協議する不動産の評価方法

不動産の評価方法としては、以下の方法があります。

(1)公示価格

公示価格とは、国土交通省が特定の標準地について、毎年1月1日を基準日として公示する価格です

3月下旬ころの官報に掲載されます。

公示価格は、不動産鑑定士の鑑定評価に基づいて公示されるものであり、実勢価格(実際に不動産が市場で取引される場合の評価額)に近いとされます。

しかし、あくまでも特定の標準地に関する地価であり、標準地以外の土地については定められませんので、注意が必要です。

(2)固定資産税評価額

定資産税評価額とは、不動産に固定資産税を課税する場合の評価額そのものです

公示価格と異なり、土地だけではなく、建物についても決められています。

固定資産税評価額は、公示価格の7割を目途に設定されていると言われています。

そのため、土地の評価については、以下のとおり、固定資産税評価額を70%で割り戻す方法で、公示価格を算出することが可能です。

固定資産税評価額 ÷ 70%

固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書や、評価証明書によって確認することができます。

(3)相続税評価額(いわゆる路線価)

相続税評価額(いわゆる路線価)とは、国税庁が毎年7月頃に公表している土地の価格です

主に市街地の道路に面した土地の、1月1日時点の価格が公表されます。

路線価は、公示価格のおよそ80%の金額になると言われています。

そのため、土地の評価については、以下のとおり、路線価を80%で割り戻す方法で、公示価格を算出することが可能です。

路線価 ÷ 80%

路線価は、国税庁が公表しており、国税庁のホームページから調べることができます。

(4)上記以外の方法

実務上は、複数の不動産業者に不動産の査定を依頼して、その中間値を採るという方法が取られることもあります。

また、費用がかかりますが、不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法もあります。

鑑定費用は、1筆で数十万円にもなることから、不動産の数等によっては、数百万円にものぼってしまうというデメリットがあります。

遺産分割調停・審判における不動産の評価方法

遺産分割調停・審判となった場合、不動産の評価はどのような方法により行われるのでしょうか。

遺産分割調停や審判での不動産の評価の仕方も、原則として、当事者の合意によって決めることになります。

しかし、相続人の一方が不動産を取得し、他方が代償金を受領するような場合には、不動産を取得する方は不動産の評価を下げようとし、代償金を受領する方は不動産の評価を上げようとし、合意に至らないことも少なくありません。

当事者が合意できない場合には、裁判所の選任する不動産鑑定士の鑑定評価を基に裁判所が審判することになります

その他の不動産評価方法

他人に貸し付けている建物の評価方法について

建物の評価方法に関しては、土地と異なり路線価を使用できません。

建物で使用できるのは固定資産税評価額です。

ただし、アパートやマンションを始めとする他人に貸し付けている建物の場合は利用が制限されているので固定資産税評価額がそのまま適用されません。

一般的には、建物価格(通常は固定資産税評価額)から借家権の割合とされる3割を控除して評価する方法が採られます。

借地権の負担付きの土地(底地)

借地権の負担付きの土地(底地)については、更地価格から借地権割合を控除して評価する方法が採られます。

そして、借地権は、更地価格に借地権割合(※1)を乗じて評価する方法が採られます。

※1 借地権割合とは、土地の評価額に対し、借地権の権利の評価額が占める割合のことです。更地評価額に対する借地権の価値を知るための借地権割合は、土地の需要によってベースが異なります。一般的に、需要が高い土地ほど借地権割合が高くなり、最高で90%、最も低い割合は30%になります。

もし不動産に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします。

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