コラム Column

保証会社の代位弁済と賃貸借契約の解除


【相談】保証会社が滞納家賃を立替払した場合は、契約違反に基づく解除はできないのですか。

マンション経営をしていますが、連帯保証人を立てることができない賃借人には、賃料債務保証会社との契約をお願いしています。

保証会社と契約している賃借人の中に、頻繁に家賃を滞納しいつも遅れて支払ってくる賃借人がいます。現在は、3か月分の滞納となったので、保証会社に立替払いを請求し、滞納分の支払いを受けました。保証会社との契約では、家賃は6か月分までしか保証されませんので、この賃借人との契約は解除したいです。ただ、賃貸人が保証会社から滞納分の支払いを受けていても契約を解除できるのでしょうか。

【回答】保証会社が滞納家賃を立替払したとしても、契約違反に基づく解除は可能です。

保証会社が賃借人の家賃の滞納分を賃貸人に立替払いしても、賃借人の家賃滞納は継続していると考えられています。そして、3か月分もの家賃の滞納は、特別な事情がない限り賃借人の背信行為であるといえますから、原則として賃貸人との間の信頼関係は破壊されていると判断され、賃貸借契約を解除できる可能性が高いと考えられます。

賃料債務保証委託契約に基づく立替払いについて

賃料債務保証契約は、賃借人が家賃の支払いを怠った場合に、保証会社が保証限度額の範囲内で、家賃滞納分を賃貸人に立替払いするというものです。このような保証契約は、賃貸人にとっては安定した賃料を確保することができる一方、賃借人にとっても、たとえば連帯保証人を立てることができなくても契約が可能となるメリットがあります。

賃借人が家賃を滞納した場合、賃貸人は、保証会社に対し、立替払いを請求することによって、保証会社から滞納した分の家賃に相当する金額の支払いを受けます。一方、保証会社は、立て替えた分を賃借人に請求することになります。

この立替払いは、賃貸借契約に基づく支払いではなく、賃料債務保証契約に基づいた保証会社による支払いであることから、賃借人に家賃滞納という契約違反があったかどうかや、その違反の程度を判断するに当たって、賃借人に有利になる事情として考慮されるものではないと考えられます。

裁判所の判断

裁判所も同様に判断しています。賃貸人が家賃滞納を理由に賃貸借契約の解除や建物の明渡しを求めたのに対し、賃借人は、保証会社が賃貸人に立替払いしたのだから家賃の滞納はないと主張した事案において、裁判所は、保証会社の支払いは保証契約に基づく代位弁済(立替払いのこと)であり、賃借人による賃料の支払いではないから、賃借人の契約違反の有無を判断するに当たり、保証会社による代位弁済の事実を考慮するべきではないと判断しました(大阪高裁平成25年11月22日判決)。

賃貸借契約の解除に必要となる家賃の滞納期間

このように、保証会社の立替払いにより賃貸人が滞納分の支払いを受けたとしても、家賃滞納が契約違反であることには変わりません。ただし,契約違反があれば直ちに契約を終了させられるわけではなく、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が失われていないと考えられる特別な事情があると認められるときは、賃貸借契約の解除は認められないという考え方が、裁判所で確立されています。

そして、賃貸人と賃借人との間の信頼関係が失われているかどうかは、家賃滞納の期間、金額、滞納の理由などの事情が総合的に検討されて判断されます。

詳しくは当コラム「信頼関係破壊の法理の判断基準や判例を弁護士が解説」をご参照ください。

家賃の滞納は、解除を認める理由として重要な判断要素ではあるものの、家賃の滞納によって賃貸人と賃借人の信頼関係が失われたと判断するためには、最短でも、家賃2か月分から3か月分の滞納が必要であるとされています。

本件では、賃借人は家賃を3か月分滞納していますので、他に特別な事情がない限り、賃貸借契約の解除が認められる状況にあると考えられます。

もし賃貸借契約に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします

当サイトでは無料で弁護士などの専門家に相談することができますので、もしお困りの際は是非ともご利用ください。

無料会員登録はこちらから。

不動産投資DOJOでは、弁護士や税理士などの専門家に無料相談可能です。

専門家からの回答率は94%以上

会員登録(無料)で、どなたでもご利用いただけます。

会員登録(無料)していただいた方には、「不動産投資を学べるeBook」のプレゼント特典もあります。ぜひご登録ください。

人生を変える不動産投資を学べる堀塾を運営しています。不動産投資を学びたいのなら、ぜひご検討ください。 体験セミナーを募集中です。」
体験セミナー詳細はこちら

記事が役に立ったらシェア!