コラム Column
弁護士(東京弁護士会)。慶應義塾大学法科大学院修了。
不動産トラブルに関する業務、家族信託・遺言作成業務などをはじめとする多岐の分野に携わる。
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【相談】「不動産証券化」とはどのような仕組みなのでしょうか。
私は不動産投資に興味を持っていますが、自身の資力を考えると、投資対象の不動産の条件は、極めて限定されてしまいます。
「不動産証券化」というスキームがあると聞きましたが、それはどのような仕組みなのでしょうか。
「不動産証券化」のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
【回答】不動産の価値を小分けにして、有価証券という形にし、比較的容易に取引することができるようにする仕組みです。
不動産の価値を小分けにして、有価証券という形にすれば、比較的容易に取引することができるようになります。
これを不動産の証券化といいます。
「不動産証券化」の投資家側のメリットとして、不動産の証券化を行うことにより、不動産に対して個人で直接投資を行う場合よりも、投資単位が少額となり、少額の投資額から投資を行うことが可能になるという点があります。
不動産は、一般的に高額な買い物であり、不動産の所在地や規模等によっては、億単位のお金が動くことになります。
そこで、不動産の価値を小分けにして、有価証券という形にすれば、不動産を小口にした上で、比較的容易に取引することができるようになります。
以下に説明する不動産証券化のスキームによりますと、投資家は不動産に直接投資するのではなく、有価証券を取得する形で投資を行うことになります。
不動産を証券化する場合、まず、不動産(信託受益権)の保有のみを目的とするSpecial Purpose Vehicle(以下、「SPV」といいます)を設立します。
このSPVが不動産(信託受益権)を保有する箱となります。
このSPVとして、SPC(Special Purpose Company 特別目的会社 以下、「SPC」といいます)やGK(Godo Gaisha 合同会社)等が使われます。
そして、もともとの不動産所有者(オリジネーター)が対象不動産を信託銀行に譲渡し、信託受益権化します。
SPVは、信託銀行から、その信託受益権の譲渡を受けます。
不動産の証券化スキームを図で表すと、以下のようになります。
以下のスキームにおいて、SPVは、投資家から出資を受け、投資家に対し配当を行います。
※たとえば、SPVがSPC(特別目的会社)の場合、投資家はSPCと匿名組合契約を結び、匿名組合契約に基づき出資をする等のスキームが考えられます。
不動産の証券化を行うことにより、投資家が不動産に対して個人で直接投資を行う場合よりも、投資単位が少額となり、投資家は少額の投資額から投資を行うことが可能になります。
不動産を証券化することにより、有価証券に対する投資となります。
投資家からすると、不動産に対して直接投資を行う場合よりも、売買によって投資資金を回収する上で、有価証券の方が、換金が容易になる場合が多いといえます。
流動性が高まると、投資家はより投資を行いやすくなります。
二重課税を回避するために、たとえば、パススルーの方法があります。
パススルーとは、不動産を保有する主体として課税主体とならないSPVを活用することです。
たとえば、SPCと匿名組合を用いて、SPVが課税対象にならない仕組みを作ります。
匿名組合は、「法人」ではないので事業の利益に税金が発生しないという点から課税を回避します。
法人ではない匿名組合の事業には課税対象となる利益は発生しないことになります。
ただ、投資家は匿名組合に出資した組合員の立場で配当を受け取りますが、この配当には課税されます。
たとえば、SPCが破産等の法的倒産手続きに入った場合、金融機関や投資家の債権の確実な回収のための約束がその通りに実行されない可能性があります。
つまり、SPCが倒産すると、関係当事者の取決めよりも倒産法の規制が優先し、予定どおり投資家に配当ができなくなる可能性があります。
そのため、SPC自体の倒産予防措置が必要になります。
倒産予防措置としては、たとえば、定款や契約上、SPCの事業目的を対象資産の保有、運営および売買に限定して他の事業を行わないこととし、他の資産や子会社の保有などを禁止する措置が考えられます。
また、SPCが貸付や投資を受けた資金の使途については、対象資産の取得とこれに関連する必要な支払いに限定するのが通常です。
その他、倒産手続自体が申立権者による申立てを契機として開始されるため、不動産証券化に関わる各種契約において、債権者としての各契約当事者に倒産申立権を放棄させる規定を置くとともに、SPCの取締役や業務執行社員等にも倒産申立権を放棄させることが一般的に行われています。
不動産の証券化を行うことにより、投資家が不動産に対して個人で直接投資を行う場合よりも、投資単位が少額となり、少額の投資額から投資を行うことが可能になるという点があります。
これまで手の届かなかった高額な物件への投資機会も拡大します。
企業は財務体質の健全性を保つために、貸借対照表(バランスシート)から保有資産を外したい(いわゆるオフバランス化)という意図があります。
もともとの不動産所有者のオリジネーターからすると、貸借対照表(バランスシート)から、高額な不動産をオフバランスすることができます。
資金調達をしつつ、資産を圧縮して、バランスシートの改善、総資産利益率(ROA)といった経営指標を向上させ、結果として企業価値を高めるのに適したスキームといえます。
もともとの不動産所有者のオリジネーター自らが物件を所有し続けると、そのリスクを100%自身が負うことになります。
もともとの不動産所有者のオリジネーターからすると、証券化することで不動産経営のリスクを投資家に分散することができます。
このように不動産証券化は、メリットの多いスキームです。
ただし、不動産証券化は、日本国内においては、比較的、まだなじみが薄い投資手法であるともいえます。
手続きや仕組みが分かりにくい部分があり、勉強も必要ですが、上記のメリット等を考えると、新たな投資として十分利用できる手法といえます。
もし不動産証券化に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします。
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