コラム Column
弁護士(東京弁護士会)。慶應義塾大学法科大学院修了。
不動産トラブルに関する業務、家族信託・遺言作成業務などをはじめとする多岐の分野に携わる。
目次|index
【相談】マンション管理組合が訴訟提起できるのでしょうか。
私はマンションの一室を所有しています。
マンションの管理組合を法人化する話が出ています。
管理組合を法人化することで、管理組合の運営や役員の負担などに関して、何らかのメリットがあるのでしょうか。
また、管理組合が、管理組合費を滞納している区分所有者に対し、訴訟を提起することを検討しています。
管理組合が、当事者となって、訴訟を提起することができるのでしょうか。
【回答】マンション管理組合は、一般的に「権利能力なき社団」に当たると言われていますが、「権利能力なき社団」も当事者となって、訴訟提起することができます。
一般的には、マンションの管理組合を法人化することで、法人名義での各種契約や預金口座開設、登記などが可能となり、管理業務の効率化を図ることができるなどと言われています。
ただし、率直に申し上げて、マンションの管理組合を法人化してもしなくても、管理組合の運営に大きな違いが生じることはありませんし、役員の負担が大きく変わるわけでもありません。
また、管理組合が「管理能力なき社団」に該当する場合、管理組合が当事者となって、訴訟を提起することも可能です。
この点については、第3項において、ご説明いたします。
関連記事:【弁護士解説】マンションの管理費を滞納された場合の対処法
管理組合が法人化されていない場合、管理組合は、一般に「権利能力なき社団」に当たると言われます。
民事訴訟法29条には、「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。」と規定しています。
「権利能力なき社団」に該当する管理組合は、この規定に基づき、訴訟の当事者となることができます。
「権利能力なき社団」に当たる管理組合が、管理費・修繕積立金などを請求する訴訟の原告となって、訴えを提起した場合、管理組合の代表者である理事長が管理組合のために、訴訟を追行することになります。
なお、管理費・修繕積立金などを請求する権利は、「権利能力なき社団」である管理組合に団体的に帰属すると解されています。
そのため、区分所有者が、個人で、管理費・修繕積立金などを請求する訴訟を提起することはできません。
法人化されていない管理組合が原告となって管理費・修繕積立金などを請求する訴訟を提起する場合、あらかじめ総会決議を行っておく必要があるのでしょうか。
マンション管理規約において、管理組合が訴訟提起する場合の手続きに関する規定があれば、それに基づき、手続きを取ることになります。
仮に、管理規約には何も規定されていない場合は、総会決議を経る必要があるのでしょうか。
このような場合に問題となり得ますが、実務においては、あらかじめ総会決議は必要であると考えられています。
管理規約に何も規定されていない場合には、あらかじめ総会決議を経由しておくべきでしょう。
管理組合は、理事長を長とし、全区分所有者を組合員として組織されており、マンション管理を行うための「権利能力なき社団」(※)であるとされています。
マンションの管理組合を法人化してもしなくても、率直に申し上げて、管理組合の運営に大きな違いが生じることはありませんし、役員の負担が大きく変わるわけでもありません。
では、マンションの管理組合の法人化には、どのようなメリットがあると言われているのかを簡単にご説明いたします。
※「権利能力なき社団」とは、団体としての組織を備え、多数決の原理が行われ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、その組織によって代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものとされています(最判昭和39年10月15日)。
組合であっても、マンション管理に関する契約を管理組合の名義で行うことができますし、管理組合であっても、理事長名を付記することによって、銀行口座を開設することも可能です。
このように、管理組合は、事実上、法人と同様に、外部との各種取引を行うことができます。
しかし、理事長が交代するたびに、銀行口座名義を変更しなければならない等、事務手続きが煩雑となるデメリットがあります。
また、不動産の登記を理事長個人名義でなければできないなどの不便な点があります。
そして、取引の相手方からすると、理事長個人との取引か、管理組合理事長との取引なのかが曖昧な場面も生じ得ます。
法人化すれば、当然、銀行口座も法人名義で保有することができ、その他各種契約も法人名で締結することができます。
そして、管理組合を法人化することにより、管理組合法人が、不動産の登記名義人となることができます。
このことにより、管理組合の財産と、理事長個人の財産との区別を明確に分けることができます。
たとえば、マンション内の駐車場が不足している場合に、隣地の空き地を購入して、マンションの駐車場にするということを、法人名義で行うことができます。
もしマンションに関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします。
当サイトでは無料で弁護士などの専門家に相談することができますので、もしお困りの際は是非ともご利用ください。
無料会員登録はこちらから。
不動産投資DOJOでは、弁護士や税理士などの専門家に無料相談可能です。
専門家からの回答率は94%以上。
会員登録(無料)で、どなたでもご利用いただけます。
会員登録(無料)していただいた方には、「不動産投資を学べるeBook」のプレゼント特典もあります。ぜひご登録ください。
「人生を変える不動産投資を学べる堀塾を運営しています。不動産投資を学びたいのなら、ぜひご検討ください。
体験セミナーを募集中です。」
体験セミナー詳細はこちら
宮川 敦子さんのバックナンバー
▶宮川 敦子さんのコラムをもっと見る