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建蔽率(建ぺい率)、容積率とは何か?建蔽容積オーバーしている不動産を買ってよいか?

容積率と建蔽率のチェックは大切!

物件の購入にあたっては、現存している建物の容積率と建蔽率(「けんぺいりつ」と読みます)が法令で定められている基準を超えていないかという点に注目しましょう(法令で定められている基準については下記をご参照ください)。

建築時は法令で定められていた基準に抵触していなかったものの、法改正により、法令で定められている基準に抵触することになった建物である既存不適格建築物建築時から法令で定められている基準に抵触している建物である違法建築物にあたる場合には、当該物件を購入するために金融機関から融資を受けることができません

仮にご自身が金融機関から融資を受けずに現金で購入できたとしても、売却時に買主が現金で購入できる人に限られることになるため、売却のハードルが高くなり、適切なタイミングでキャピタルゲインを獲得することが叶わないということにもなりかねないといえます。

そのため、建物の容積率と建蔽率が法令で定められている基準を超えていないということは、不動産投資を行うにあたって重要なポイントとなるのです。

容積率とは?

容積率とは、建築物の敷地面積に対する延床面積の割合のことです(建築基準法52条)。前面道路の幅員が12m以上か否かによって容積率の算定方法は変わってきます。

前面道路の幅員が12m以上の場合、容積率は次の表1のとおりです。

表1:容積率

第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域内の建築物 50%60%80%150%200%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域内の建築物 100%150%200%300%400%500%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
商業地域内の建築物 200%300%400%500%600%700%800%900%1000%1100%1200%1300%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
工業地域、工業専用地域内の建築物 100%150%200%300%400%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
用途地域の指定のない区域内の建築物 50%80%100%200%300%400%のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画の議を経て定めるもの

幅員が12m未満の場合、容積率は、表1に記載されているものと、前面道路の幅員に表2に記載されている数値(指定乗数)を乗じて算出されたものを比較した際により小さい方となります。

2:指定乗数

第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域内の建築物 40%
第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域 40%(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあっては、60%
その他 60%(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあっては、40%又は80%のうち特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの)

建蔽率とは?

建蔽率とは、建築物の敷地面積に対する建築面積の割合のことです(建築基準法53条)。

建築面積は、通常ですと1階部分の面積です。表3のような形で建蔽率は決まります。

3:建蔽率

第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域、工業専用地域内の建築物 30%40%50%60%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
第一種・第二種住居地域、準住居地域、準工業地域内の建築物 50%60%80%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
近隣商業地域内の建築物 60%80%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
商業地域内の建築物 80%
工業地域内の建築物 50%60%のうち、当該地域に関する都市計画において定められたもの
用途地域の指定のない区域内の建築物 30%40%50%60%70%のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画の議を経て定めるもの

 建蔽率については次のような緩和措置があります。

まず、防火地域内にある耐火建築物または準防火地域内にある耐火建築物、準耐火建築物については+10%とされます。防火地域内でもともとの建蔽率が80%の場合には+20%とされます。

また、街区の角にある敷地またはこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物については+10%とされます。

建蔽率、容積率オーバーした不動産を買ってもよいのか?

不動産を探していると、まれに建蔽率や容積率を超えている不動産があります。

建ぺい率や容積率を超えてしまう理由は様々なのですが、

  • 違法建築で意図的に超えた
  • 増築した時に越えてしまった
  • 土地の一部を売却して超えてしまった
  • 建ぺい率や容積率が変更されて超えてしまった

などがあります。

事情は様々ですが、違法建築となってしまっているので銀行から融資を受けることが難しいです。そのため、買うときも難しいですし、売却するときも難しいです。

大阪などのエリアでは容積オーバーに融資を出してくれる銀行が多かったり、地域性もあるので一概には言えないのですが、積極的に買う理由はあまりないように思います。

また再建築するときに同じ面積の建物を建てることができないデメリットもあります。

安く売られていることもありますが、デメリットも大きいので気を付けるようにしましょう。

建蔽率、容積率のまとめ

今回のテーマは細かい部分です。全てを記憶する必要はありません。以上の点を踏まえ、物件購入時に、基準に照らして容積率と建蔽率につき問題がないかを漏れなく確認するようにしましょう。

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<参考条文>

建築基準法

第五十二条 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。ただし、当該建築物が第五号に掲げる建築物である場合において、第三項の規定により建築物の延べ面積の算定に当たりその床面積が当該建築物の延べ面積に算入されない部分を有するときは、当該部分の床面積を含む当該建築物の容積率は、当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値の一・五倍以下でなければならない。

一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物(第六号及び第七号に掲げる建築物を除く。) 十分の五、十分の六、十分の八、十分の十、十分の十五又は十分の二十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

二 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物(第六号及び第七号に掲げる建築物を除く。)又は第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域若しくは準工業地域内の建築物(第五号から第七号までに掲げる建築物を除く。) 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十、十分の四十又は十分の五十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

三 商業地域内の建築物(第六号及び第七号に掲げる建築物を除く。) 十分の二十、十分の三十、十分の四十、十分の五十、十分の六十、十分の七十、十分の八十、十分の九十、十分の百、十分の百十、十分の百二十又は十分の百三十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

四 工業地域内の建築物(第六号及び第七号に掲げる建築物を除く。)又は工業専用地域内の建築物 十分の十、十分の十五、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

五 高層住居誘導地区内の建築物(第七号に掲げる建築物を除く。)であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。) 当該建築物がある第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域又は準工業地域に関する都市計画において定められた第二号に定める数値から、その一・五倍以下で当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計のその延べ面積に対する割合に応じて政令で定める方法により算出した数値までの範囲内で、当該高層住居誘導地区に関する都市計画において定められたもの

六 居住環境向上用途誘導地区内の建築物であつて、その全部又は一部を当該居住環境向上用途誘導地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に供するもの 当該居住環境向上用途誘導地区に関する都市計画において定められた数値

七 特定用途誘導地区内の建築物であつて、その全部又は一部を当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた誘導すべき用途に供するもの 当該特定用途誘導地区に関する都市計画において定められた数値

八 用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の五、十分の八、十分の十、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの

2 前項に定めるもののほか、前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの。以下この項及び第十二項において同じ。)の幅員が十二メートル未満である建築物の容積率は、当該前面道路の幅員のメートルの数値に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を乗じたもの以下でなければならない。

一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内の建築物 十分の四

二 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域内の建築物又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域内の建築物(高層住居誘導地区内の建築物であつて、その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の三分の二以上であるもの(当該高層住居誘導地区に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、その敷地面積が当該最低限度以上のものに限る。第五十六条第一項第二号ハ及び別表第三の四の項において同じ。)を除く。) 十分の四(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の六)

三 その他の建築物 十分の六(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内の建築物にあつては、十分の四又は十分の八のうち特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの)

3項以下省略

第五十三条 建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合(以下「建蔽率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値を超えてはならない。

一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、田園住居地域又は工業専用地域内の建築物 十分の三、十分の四、十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

二 第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は準工業地域内の建築物 十分の五、十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

三 近隣商業地域内の建築物 十分の六又は十分の八のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

四 商業地域内の建築物 十分の八

五 工業地域内の建築物 十分の五又は十分の六のうち当該地域に関する都市計画において定められたもの

六 用途地域の指定のない区域内の建築物 十分の三、十分の四、十分の五、十分の六又は十分の七のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し当該区域を区分して都道府県都市計画審議会の議を経て定めるもの

2項以下省略

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