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建物の耐震基準について学ぼう!

作成日: 2020/10/05 投稿者名:溝口 矢
更新日: 投稿者資格:弁護士(東京弁護士会)
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【執筆者:溝口 矢】
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。弁護士法人Martial Artsにて不動産関係の問題に多数関与。(法律相談、交渉、訴訟、講演等)。
不動産投資DOJOにてコラム執筆中。





2つの耐震基準


耐震基準(建物が最低限の耐震能力を有することを保証し、建築許可をするための基準)には、これについて建築基準法が改正された1981年を境に、旧耐震基準新耐震基準2つがあります。

 

両者では、求められる水準に差があります。

 

旧耐震基準は、地震が発生した場合に建物が倒壊しないかどうかがポイントとなるのに対し、新耐震基準は、地震が発生した場合に建物が損傷しないかどうかがポイントとなります(倒壊しないのは大前提)。


1:旧耐震基準と新耐震基準のイメージ



1978年の宮城県沖地震では、建物の全壊が4000戸以上、一部損壊が86000戸以上に及びました。また、ブロック塀の損壊による死者が11名おり、地震による建物の損傷が問題となりました

 

これらの点を反省し、1981年、建築基準法の改正により新耐震基準が設けられることになったのです。

 

※それ以前にも大きな地震(1923年の関東大震災、1948年の福井地震、1968年の十勝沖地震)がある度に耐震基準の見直しはなされていました。

 

 

そこで、新耐震基準においては、許容応力度計算建物の各部材が損傷しない最大の力を計算すること)と保有水平耐力計算大規模地震によって倒壊等をしないか計算すること)を行うこととされています。

 

 

そして、新耐震基準に基づき建てられた建物については、

 

許容応力度計算により、震度5程度の地震が発生しても建物がほとんど損傷しないこと

 

保有水平耐力計算により、震度6~7程度の大地震が発生しても建物が倒壊しないこと

 

の見込みが立つことになります。

 

実際に、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震では、旧耐震基準による建物と比較して、新耐震基準による建物の被害は圧倒的(3分の1程度)に抑えられたともいわれています。

 

また、1995年に定められた建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)では、旧耐震基準に基づいて建てられた住宅の耐震診断及び耐震改修に努めるよう求められています(あくまで努力義務です)。

 

なお、新耐震基準をクリアした建物は、住宅ローン減税を受けることができるため、税制上優遇されます。

 

 

ワンポイント 3つの地震対策と耐震等級

地震対策のための建物の構造としては以下の3つがあげられます。

耐震(建物の強度で揺れに耐える

免震(建物と地面を離すことで揺れを逃がす

制震(装置により揺れを緩和・吸収する)

 

いずれを採用するのが適切かは、予算や土地の広さ、建物の状況等により異なります。

 

専門家のアドバイスを受けるなどしながら、適切な選択をすることが大切といえるでしょう。

 

また、耐震等級を見ることで、建物の耐震性能を知ることができます。

耐震等級1:建築基準法(新耐震基準)に適合 例:一般住宅

耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の耐震性能 例:学校、病院

耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の耐震性能 例:警察署、消防署

 

 

いずれの耐震基準かチェックしよう!

 

建物を新築するにあたっては、建築前に建築確認(建築関連法令に適合しているか否かの審査)を受けなければなりません。

 

そして、この建築確認において新耐震基準が用いられるようになったのが、198161日からです。

 

そのため、同日以前に建築確認を受けていた建物は、(たとえ建物の完成が同日以後でも)旧耐震基準に基づいたものとなります。

 

 

建物を購入するにあたっては、旧耐震基準と新耐震基準のいずれに基づくものであるかを知っておくべきでしょう。

 

そこで、確認済証建築確認がなされたことの証明書)と検査済証耐震診断により新耐震基準をクリアしているとの確認がなされたことの証明書)を確認しておきたいところです。


確認済証に記載されている日付が198161日以降であれば、新耐震基準を用いての建築確認が実施されたといえます。

 

また、検査済証が存在していれば、当該建物が新耐震基準をクリアしていることは明らかであるといえます。

 

投資をしようと考えている物件が区分マンションの場合は、特にいずれの耐震基準によっているかを意識するべきであるとされています。旧耐震基準によって建てられたマンションが少なくないからです。

 

また、投資をしようとしている建物が新耐震基準によっているからといって単純に安心してはいけません。

 

たとえば、建物が存するエリアが、沿岸部にある場合は津波、木造建築の多いところである場合は火事、斜面の付近にある場合は地すべり・がけ崩れといったように、地震由来で起きる二次災害等の影響を受けるおそれがあります。こうした場合、いくら建物の耐震性能が高くても、安全面に問題がないとは言い切れないでしょう。


建物の存する地域、立地条件等にも十分に注意するようにしましょう



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