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売れ残った物件を値下げ販売する時の注意点【弁護士が解説】


【相談】売れ残ったマンションの住戸を値下げ販売しても問題ないでしょうか。

マンションの住戸が売れ残ってしまったため、値下げして売却したところ、同じマンションを先に購入した顧客から、値下げ販売のせいで購入した住戸の資産価値が低下したとか、値下げの可能性について説明を受けていなかったから損害賠償を請求するなどと主張されています。

値下げ販売には問題があるのでしょうか。

【回答】相場よりも著しく低額な価格での販売など、違法となる場合があるものの、基本的には問題ありません。

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物件の値下げ販売は違法ではない

販売価格の設定は売主の自由ですから、値下げして販売しても、原則として違法ではありません。

ただし、同種同等の住宅を複数販売するケースで、①値下げ後の価格が相場に照らして著しく低額であることによって、先に販売された住宅の資産価値が相場よりも大きく引き下げられたといえる場合や、②今後も同等の価格で販売され続けるという期待を買主が持っても仕方がないといえるような説明などを売買契約の際に売主がした場合など、特別な事情がある場合には、違法となる可能性があります。

不動産の値下げ販売の問題点

市場において、売れ残った商品がある場合に、値下げして売り切ろうとすることはよく行われていることであり、このことはマンションなどの不動産販売においても同じです。

一方、同じ商品を先に購入した顧客からすれば、不公平感を感じたり、不動産であればその資産価値の低下を心配することもあります。実際、不動産業者に顧客から損害賠償が求められることがあります。

そこで、値下げ販売が違法となることがあるのかが問題となります。

不動産の値下げ販売の基本的な考え方と裁判所の判断

商品をいくらで販売するかは売主の自由です。売行きなどを考慮して、販売価格を下げることは、経営者の経営判断であり、これが違法であると判断されるとすれば、自由な経済活動が阻害されてしまいます。

ですから、値下げ販売が違法となることがあるとしても、それは経営者の経営判断や、自由な経済活動を制限してでも顧客を保護しなければならないといえる特別な状況でなければなりません。

裁判所も同様の考え方をとっていると考えられます。同じタイプの複数の建売住宅が販売されたところ、先に購入した顧客が、数か月後に同じタイプの住宅が数百万円値下げされて販売されていたことを理由に、不動産業者に対して損害賠償を請求した事案において、裁判所は、値下げ販売は原則として売主が自由に行うことができるものであり、特別な事情がなければ、違法となることはないと判断しています(東京地裁平成21年11月26日判決)。

具体的には、建売住宅の販売価格は売主が自由に決めることができるのであり、売行き、市場の変化、売れ残りが生じることによる採算などを考慮して、値下げ販売することは、原則として、自由に行うことができるとしています。

不動産の値下げ販売が違法となる例

そして、例外的に値下げ販売が違法となる特別の事情としては、①値下げ後の価格が相場に照らして著しく低額であることによって、先に販売された住宅の資産価値が相場よりも大きく引き下げられたといえる場合や、②今後も同等の価格で販売され続けるという期待を買主が持っても仕方がないといえる説明などが、売買契約の際に売主からあった場合を挙げています。

①については、値下げ価格が「著しく低額」といえることや、「資産価値が相場よりも大きく引き下げられた」ことが必要となりますから、これが認められる状況はかなり限られると思われます。

②については、先に購入した顧客に対する販売価格は、その後の販売価格と同等であると説明していたにもかかわらず、後の販売価格を値下げしたような場合が考えられます。

裁判所は、このような説明後に分譲住宅の価格を値下げして販売したことが違法であるとして、売主に慰謝料の支払いが求められた事案において、販売価格が適当か十分に検討した上で分譲住宅を購入するかどうかを考える機会を奪ったことを理由に、慰謝料の支払いを認めたことがあります(最高裁平成16年11月18日判決)。

このように、値下げはしないという説明をしていたにもかかわらず、説明に反して値下げ販売した場合には、購入するかどうか検討する機会を奪ったことが違法となる可能性があります(ただし、値下げ販売自体が違法と判断されたわけではありません。)。

不動産の値下げ販売に関するクレームの回避のために

相場よりも著しく低額な価格での販売や、売買契約の過程で値下げ販売に反する説明をしないようにすることに加えて、たとえば、重要事項説明書に、市場動向等によっては販売価格の変更があることを記載することで、値下げ販売に関するクレームの回避を図ることが考えられます。

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