コラム Column
私が一番大事にしていることは、お客様との信頼関係です。
日々の業務や生活の中で、お客様が直面するあらゆる問題に対して、最善のアドバイスをするために、粉骨砕身努めて参ります。
【相談】宅建業者のテレワークの導入や副業の解禁に宅建業法上の問題はありませんか。
【回答】テレワークでは宅建業法上の事務所該当性などが、副業では専任の宅建士の常勤性などが問題となります。
①テレワークの就業場所によって、宅建業法上の事務所該当性が問題となります(「事務所等」に該当する場合には専任の宅地建物取引士を置くことが必要となります)。
②テレワークの対象者が専任の宅地建物取引士の場合、事務所に専任の宅地建物取引士が「常勤」しているのかが問題となります。
③専任の宅地建物取引士が副業をする場合は、②の常勤性の他、専任性も問題となります。
働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(以下「働き方改革関連法」といいます。)が平成31年4月1日に施行されました。働き方改革関連法は、「労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる」(下線は引用者)ことを目的としています 。
テレワークや副業は、働き方改革関連法の目的の一つである多様で柔軟な働き方を実現する上で重要な勤務態様であるということができますが、本稿では、宅建業者がテレワークを導入したり、副業を解禁する場合には、宅地建物取引業法(以下「宅建業法」といいます。)上どのような問題があるのかについて検討します。
厚生労働省が公表する「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」 では、テレワークは、①在宅勤務 、②サテライトオフィス勤務 、③モバイル勤務 に分類されることが紹介されています。
そして、これらテレワークの勤務場所が、宅建業法上の「事務所」(宅建業法3条1項)に該当するのであれば、当該「事務所」には、専任の宅地建物取引士(以下「宅建士」といいます。)を設置しなければなりません(宅建業法31条の3第1項)。
厳格な国家試験に合格した宅建士を事務所ごとに専任で設置することで、宅建業者の業務の適正な運営を確保し、不動産取引の相手方を保護するのが制度趣旨です。
それでは、専任の宅建士を設置する必要のある「事務所」とは、どのような場所を指すのでしょうか。
この点に関し、宅建業法上の「事務所」(宅建業法3条1項)とは、宅建業を行うために設置する本店又は支店(宅建業法施行令1条の2第1号)の他、継続的に業務を行うことができる施設があり、宅建業の契約をする権限を持つ使用人を置く場所(同条2号)をいいます。
「継続的に業務を行うことができる施設」とは、物理的にも社会通念上事務所として認識される程度の形態を備えていることが必要で、現地に設置したテント張りやコンテナ等の仮設店舗は該当しないことになります。
「宅建業の契約をする権限を持つ使用人」とは、当該場所に宅地建物の売買、媒介等の契約を締結できる権限を有する支店長、営業所長、店長等の使用人を言います。
この点、テレワークの就業場所が、これら「事務所」以外である場合、専任の宅建士は設置しないでよいものでしょうか。
これについては、宅建業法31条の3第1項で、宅建業法3条1項の「事務所」以外にも、「継続的に業務を行うことができる施設を有する場所」で、宅地若しくは建物の売買等を締結し、又はこれらの申込みを受けるのであれば、事務所「等」として、専任の宅建士を設置する必要があるとしています(宅建業法31条の3第1項、宅建業法施行規則15条の5の2)。
例えば、自宅の一部でテレワークを行う場合であっても、自宅部分とテレワークとして就業する事務所部分が物理的に仕切られ独立して使用できる形態になっているときは「継続的に業務を行うことができる施設」と言えるでしょう(自宅ですので、支店長、営業所長、店長等の使用人はいないはずですので、「事務所」には該当しません)。
そのような場所で、土地建物の売買契約を締結したり、申込を受けたりするのであれば、専任の宅建士を設置する必要があることになります。
他方で、そのような場所でテレワークを行う場合でも、上記のような契約締結や申し込み受領事務は行わずに、データ入力や問合せ対応、文書作成と言った単なる事務処理を行うだけであれば、専任の宅建士の設置は不要です。また、そもそも「継続的に業務を行うことができる施設」ではない場所でテレワークを行う場合は、専任の宅建士の設置は必要ありません。
これらの場合には、専任の宅建士を設置して、宅建業者の業務の適正な運営を確保し、不動産取引の相手方を保護するという趣旨が当てはまらないからです。
専任の宅建士といえるためには、常勤性が認められなければなりませんが、テレワークを実施したことにより、専任の宅建士が会社で仕事をしなくなると、専任の宅建士の常勤性が確保されているのかが問題となります。
常勤性とは、宅建士が事務所に常時勤務することをいいます。常時勤務とは、宅建業者と宅建士との間に雇用契約等の継続的な関係があり、事務所の営業時間に業務に従事することを要します。たとえば、一部の営業時間しかいない非常勤やパートタイム従業員には常勤性が認められません。
そうすると、専任の宅建士については社内規程でテレワークに日数制限を設けるなどして、常勤性が損なわれないようにする必要があります。
副業に関しても専任の宅建士の常勤性が問題となります。
また、専任の宅建士は、専ら事務所等の宅建業に従事することが必要です(専任性の問題)。
専任の宅建士が、宅建業だけでなく他の業務も行う場合には、専ら宅建業務に従事しているといえるかどうかが実質的に判断されることになると思われます。
たとえば、勤務時間外に、インターネット上でアフィリエイト収入を得る業務などであれば常勤性に問題は生じ難いといえますが、正社員、契約社員、アルバイトなど雇用形態を問わず、別の会社の従業員として勤務する、いわゆるダブルワークを認めるのは、専任性の観点から問題があるとえいます。
テレワークや副業に関しては、新しい勤務態様として課題が多い状況です。宅建業者としては、宅建業法に触れないかよく検討し、場合によっては国土交通省へ適法性を確認しながら制度の導入を進めることが求められます。
もし宅建業法に関連したトラブルなどに遭ってしまった場合は、弁護士などの専門家に相談することをオススメいたします。
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