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借地借家法40条の一時使用賃貸借とは何か?弁護士が解説

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【相談】期間満了時に確実に退去を求めることができる賃貸借契約の方法について教えてください。

私は、アパート一棟を所有していますが、老朽化のため、再来年には建替えを予定しており、今は新しい入居者を入れないようにしています。

 

しかし、自宅リフォーム中の8か月間のみ、部屋を貸してほしいという問合せがあり、8か月間であれば入居してもらいたいと考えています。

 

期間満了時に確実に退去を求めることができる賃貸借契約の方法について教えてください。

 

【回答】一時使用目的の借家契約または定期借家契約を締結する方法が考えられます。

通常の賃貸借契約では特別な事情がない限りは賃借人に退去してもらうのは難しく、立ち退き料なども必要になるケースがあります。

 

期限満了時に確実に退去を求められる方法としては、一時使用賃貸借契約を結ぶ方法、定期借家契約を結ぶ方法の2通りが考えられます。

 

定期借家契約のほうが手続きは煩雑ですが、より確実に退去を求められます。

 

一時使用賃貸借契約~一時使用目的の借家契約とは

(1)一時使用賃貸借契約とは?借地借家法40条

借地借家法は、同法26条から39条において、存続期間を確保したり、対抗力を具備させたり等、賃借人を保護する規定を置いています。

 

しかし、イベント開催のための賃貸借契約であったり、住居をリフォームする間の仮住居であったり等、上記規定を適用することが、実態に反する場合もあります。

 

そこで、借地借家法40条は、「この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない」と規定し、一時使用目的の建物賃貸借について、借地借家法26条から39条の適用を排除することを定めました。

 

これが、一時使用目的の借家契約です。

 

(2)一時使用賃貸借契約の要件と判例

借地借家法40条が適用されるのは、「一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らか」(同法40条)な場合です。

 

「一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らか」とされるには、賃貸借契約締結の動機、建物の種類・構造、賃借人の賃借目的および契約後の使用状況、賃料その他の対価の多寡、期間その他の契約条件等の諸要素を総合的に勘案し、長期継続が予期される通常の借家契約をなしたものでないと認めるに足りる合理的な事情が客観的に認定されなければなりません(東京地判昭和54年9月18日)。

 

一時使用目的で建物賃貸借をしたことが明らかでなければなりませんが、「一時使用」という文言が契約中にあるからといって、直ちに一時使用の借家と解されるわけではありません(東京地判昭和33年2月21日)。

 

一時使用目的の賃貸借であることが明らかであるといえるには、「賃貸借を短期間に限って存続させる旨の合意」だけでは足りず(大阪地判平成3年12月10日)、また、「何時でも要求があれば即時明渡す旨の特約」があるだけでは、この要件は認めらません。

 

そして、契約期間については、1年未満でなければならないものではありませんが(最判昭和36年10月10日)、短い期間で限定する趣旨が明らかでなければなりません。

 

将来、一時使用目的の借家契約であることを覆されることのないように、一時使用の目的(例えば、リフォーム期間中やイベント期間中のみの使用目的であること等、その目的が客観的に一時使用であると判断できるものである必要があります。)、更新がない旨、適切な賃貸借期間等を明記した上で、契約書を作成しておきましょう。

 

定期借家契約

(1)定期借家契約とは

普通借家契約では、契約期間が満了しても、貸主において借主に明渡しを認める「正当事由」が認められなければ、契約は終了しないものとされています。

 

この正当事由は簡単に認められるわけではありません。

 

正当事由が認められない場合には、賃貸借契約は従前と同じ条件で更新されてしまいます(法定更新)。

 

定期借家契約とは、契約で定めた期間が終了したとき、更新されず、契約がそのまま終了する賃貸借契約です。

 

(2)定期借家契約の要件

定期借家契約の成立には、①期間の定め、②更新を否定する条項、③書面による契約、④事前説明(更新がないことの説明)が必要です。

 

④事前説明に関して、事前説明がなされなかったときは、更新を否定する条項は無効となり(借地借家法38条3項)、同条項の効力が否定されると、賃貸借は、定期借家契約ではなく、普通借家契約として成立することになります。

 

また、事前説明を行うには書面の交付を要します。

 

この書面を交付していなければ、事前説明をしたことにはならないため、注意が必要です。

 

なお、賃貸借の期間が1年以上である場合には、賃貸人は、期間の満了の1年前から6か月前までの間に賃借人に対し賃貸借が終了する旨の通知をしなければなりません。

定期借家契約の詳しい解説は、こちらの定期借家契約のメリットデメリットについてご参照ください。

 

最後に

以上のように、事情によっては、一時使用目的の借家契約であることについて、将来、争われるリスクがあります。

 

他方、定期賃貸借契約の場合、事前の書面による説明や、契約書を書面で締結する必要がある等の煩雑な条件があるものの、これらの手続きをきちんと履行すると、確実に「更新がない」という内容の契約締結を実現できます。

 

なお、定期賃貸借契約については、コラム「定期賃貸借契約のメリット」もご参照ください。

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