不動産投資講座 Knowledge
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。
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今回は、「不動産投資が節税に繋がる」と言われるひとつの理由である減価償却の仕組みについてご説明いたします。
減価償却とは、時間の経過や使用により価値が減少していく固定資産に対し、取得費用をその固定資産の耐用年数に応じて費用計上配分できる会計処理のことをいいます。
不動産投資では、建物や設備が減価償却の対象となります。
減価償却費は、
取得価格 × 耐用年数に対応した償却率
というような計算によって算出します。
※耐用年数とは、資産の使用可能期間のことをいいます。
耐用年数は
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2
という計算により算出されます。
※減価償却費の計算方法には定額法(減価償却の総額を使用可能期間で割る計算をベースにする方法)と定率法(未償却残高に一定の率を乗じて計算する方法)がありますが、2007年4月1日以降に購入した物件は定額法の償却率で計算することになります。
減価償却ができるという点は、他の投資と比較して不動産投資を行うメリットのひとつということができるでしょう。
イメージしにくいと思うので、具体的な例を出していきましょう。
土地1000万円、建物1000万円で新築の木造住宅を買ったケースを考えてみましょう。
木造住宅の耐用年数は22年になります。
つまり、1000万円の建物が22年で価値が0円になるというイメージです。
建物の減価償却金額は、 1000万円/22年=45万円 となり、毎年45万円が減価償却として経費に計上できます。
経費に計上できるということは、45万円分利益が減り、その分税金が減るというイメージです。
一方で、土地は減価償却はありません。価値が下がるとか古くなるという考えがないためです。
不動産投資で1年間に20万円以上の収入があった場合には、所得税がかかり、確定申告が必要となります。
家賃収入に対して経費として計上できるものがなければ、家賃全額に所得税がかかってしまうことになります。
そこで、経費として計上できる減価償却費を用いることが考えられます。
減価償却費は、実際に出費をしていなくとも、経費として扱えるという点がカギとなり、節税に繋がります。
例としてサラリーマン大家の場合を考えてみましょう。
次の図1のように、
(減価償却を含む)経費の額 > 家賃収入
となれば不動産所得がマイナスになりますので、サラリーマンとして納付した給与所得についての所得税を節税することができます。
図1:減価償却による節税
この例の場合、家賃が120万円ですが、経費が50万円、減価償却が100万円で
不動産の利益 = 120万円 ー 50万円 - 100万円 = -30万円
と、30万円の赤字となります。この例で見てもわかるように、減価償却の100万円が赤字となる要因となっています。
個人での不動産投資の場合、給与の課税所得と不動産の利益(この場合-30万円)の合算に所得税と住民税がかかるため、サラリーマンの税金が安くなり節税となります。
これが一般的な減価償却を使った節税となります。
区分マンションを対象とした不動産投資の営業電話がかかってきたご経験のある方も少なくないと思います。
こうした勧誘電話でよく売りに使われる言葉が節税です。
区分マンションは収益が少ないので節税を押し出しているのでしょう。
※区分マンションの収益が少ない理由としては、月々の管理費や修繕積立金がかかることがあげられます。
たしかに節税効果はあるかもしれませんが、高いマンションを買ったために最終的に損をするケースも多いといわれています。これでは本末転倒です。
減価償却をはじめとした税金に関する知識をもたないまま、節税という甘い言葉に誘われて高額な物件を安易に購入しないよう気を付けるようにしましょう。
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