不動産投資講座 Knowledge

建物評価額の算出方法は?

不動産の価格はどのように決められているかご存知でしょうか。

不動産はその場面によって建物の評価方法が違い、例えば銀行が不動産の評価をするときには積算法という算出方法が用いられます。

当記事では建物評価額を算出する以下の3つの方法について解説します。

  • 収益還元法
  • 積算法(原価法)
  • 取引事例比較法

当記事を読んで算出方法について理解を深めることで、物件の購入や銀行融資に役立てましょう。

収益還元法

収益還元法は、不動産の収益性に着目した評価方法です。建物だけでなく土地の評価も含めた評価になります。

収益用不動産の評価をするときに使われます。区分マンションは土地の比率が小さいのでほぼ建物価格になりますが、一棟物の場合は収益還元評価の価格の中に土地の価格も多く含まれてきます。

収益還元法には、

  • 直接還元法
  • DCF法

の2つの算出方法があります。以下で詳しく解説します。

直接還元法

直接還元法とは、1年間の利益を還元利回りで割ることで物件の評価を算出する方法です。

1年間の利益とは、想定家賃収入から管理費などを差し引いたものになります。

還元利回りはキャップレートとも呼ばれており、周辺地域や類似物件を参考にして算出する希望の利回りのことです。一般的には住宅で5~7%、事業用で8~10%とされています。

DCF法

DCF法とは、不動産の保有期間で得ることのできる利益と売却時の予想売却価格を現在の価値に換算して算出する計算方法です。

不動産以外にも企業の評価などでも広く用いられている評価方法であり、DCFはディスカウントキャッシュフローの略です。

物件の将来性を考慮した計算方法なので、長期保有する物件を評価する場合に用いられることが多いです。

DCF法の計算方法は複雑なので割愛いたします。

DCF法で不動産価格を計算したい方は無料の計算ツールもありますのでお使いください。

積算法(原価法)

積算法は銀行などの金融機関が建物の担保評価をするときに使います。

実際に建物を建築する際にかかる費用は、建築の材料費や内装費用や外構工事など、さまざまな費用が掛かるので正確な計算をするのが難しいです。

そのため、銀行などの金融機関では簡易的な計算方法により建物の評価額を算出しています。

建物の構造、築年数と延べ床面積が分かれば簡易的に計算できるようになっています。 

築年数が増えるほど残存耐用年数が減るので、建物評価額も減少します(築年数=法定耐用年数となった場合には、残存耐用年数がゼロになるので建物評価額も0円となりますが、あくまで建物評価額ですので建物自体を使うことは可能です)。

具体的に計算方法を解説していきます。

再調達価格

再調達価格とは、1㎡あたりの建物構造ごとの単価のことです。

「建物構造ごと」という言い方からもお察し頂けるかと思いますが、再調達価格は建物構造によって変動します。

図1:建物の再調達価格

建物構造 再調達価格
鉄筋コンクリート造(RC造) 18~20万円
重量鉄骨造(S造) 15~18万円
軽量鉄骨造(S造)

12~17万円

木造(W造)

12~16万円

再調達価格は銀行によって異なるので、あくまで目安の参考数値としてご理解ください。

鉄筋コンクリートの再調達価格は18万円~20万円で見積もっている金融機関が多いですが、実際に建物を建てようとすると20万円ではまったく足りません。

建築会社やエリアにもよりますが30万円~40万円したりするので、担保評価はかなり低く見積もられることになります。

【ワンポイント】重量鉄骨造と軽量鉄骨造

重量鉄骨造と軽量鉄骨造のいずれにあたるかは、使用される鋼材の厚みによって決まります。厚さ6mm以上の鋼材が使用されていれば重量鉄骨造厚さ6mm未満の鋼材が使用されていれば軽量鉄骨造となります。

重量鉄骨造は厚みがあって頑丈です。その分、建物を建てるにあたっては、地盤を改良したり、きちんとした基礎を築かなければならないため、費用や時間等のコストがかかってしまいます。

軽量鉄骨造はその逆です。薄くて軽いので頑丈さは重量鉄骨造に劣るものの、大きな地盤の改良等を要しないため、費用や時間等のコストを削減することができます。

重量鉄骨造はマンションやビル、大型店舗、体育館等の大型の建物で、軽量鉄骨造は賃貸アパート等の小規模な建物でとり入れられています。

法定耐用年数と残存耐用年数

法定耐用年数とは、税法上の建物の耐用年数のことで減価償却の期間になります。

イメージ的には、税法上で何年間で建物の価値が0になるか?という指標です。

RC構造の耐用年数は47年なので、毎年1/47だけ建物の価値が減っていき、47年後に価値が0になるという評価をします。

実際に47年後に価値が0になるわけではなく、決算書上で0円の価値になるというイメージです。

残存耐用年数とは、法定耐用年数から築年数を引いた年数のことをいいます。

築22年のRCなら、残存耐用年数は25年になります。 

同じ建物構造であっても、用途によって法定耐用年数は変わります。図2と図3を比較してみてください。

2:住宅用建物の法定耐用年数

建物構造 法定耐用年数(住宅用)
鉄筋コンクリート造(RC造) 47年
重量鉄骨造(S造) 34年
軽量鉄骨造(S造) 19~27年
木造(W造) 22年

図3:事務所用建物の法定耐用年数

建物構造 法定耐用年数(事務所用)
鉄筋コンクリート造(RC造) 50年
重量鉄骨造(S造) 38年
軽量鉄骨造(S造) 22~30年
木造(W造) 24年

※法定耐用年数は国税庁HPにて詳細が記載されています。他の用途について知りたい方はそちらもあわせてご覧ください。

取引事例比較法

取引事例比較法とは、対象の物件と似た取引事例を参考に建物評価額を算出する方法です。

ただし売り手の事情などで売り急いだ物件などは事例として比較検討しません。

中古住宅の評価方法として一般的に使われているものの、評価する人によって評価内容に差が生じます。

まとめ

建物評価額を算出する3つの方法について解説しましたがいかがだったでしょうか。

当記事でご紹介したように、物件の収益性を知りたいときに収益還元法を用いるなど、それぞれ使用する場面や目的が異なりますので注意しましょう。

この記事をご覧の皆さんは、今回の記事で説明した内容を参考にして、ご自身の不動産投資の活動に役立ててみてください。

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