不動産投資講座 Knowledge
弁護士(東京弁護士会、72期)。
慶應義塾大学法学部・同大学法務研究科卒業。
机上調査
物件のリサーチを行うにあたっては、まず、書類やインターネットでの確認作業を行う必要があります。これを机上調査(机上マーケティング)といいます。
机上調査では、主に物件にまつわる権利関係と公法上の規制につきチェックすることが大切です。
物件の権利関係については、法務局で取得することができる登記簿で確認することができます。
登記簿は、「甲区」と「乙区」に区分されています。
「甲区」には所有者が記載されています。登記簿に記載されている所有者が現在の所有者と一致するか確認しましょう。相続がなされているのに相続人が登記していないためにズレが生じていることがあります。このような場合、所有権の移転登記に時間がかかることがあるので注意が必要です。また、所有者をきちんと確認することは、所有者になりすまして他人の土地を売りお金を騙し取る地面師に欺かれないようにするための対策にもなります。
「乙区」には所有権以外の権利に関する事項が記載されます。例えば、不動産に抵当権が付いている場合には、ここに記載がなされます。抵当権の債権者として記載されている者が、耳馴染みのない金融機関で、かつ、多くの抵当権が付いていたりする場合、その不動産の所有者は、信用力が低いことがうかがえます。
このように、登記簿から不動産投資をするにあたり参考になる情報を得ることができます。
まず、建築基準法上の問題がないかを調べておくことで、建物が最低限の安全性を備えているかを知ることができます。なぜなら、建築基準法は、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」法律であるからです(同法1条参照)。
また、都市計画法との関係で定められる用途地域を必ず確認するようにしましょう。
用途地域とは、建築できる建物の種類や用途の制限が定められた地域のことです。その土地にどのような建物を建てられるか、建て替えることができるかにより、どれくらいの価値があるのかを推し量ることができます。
インターネット上では、賃貸経営に役立つような不動産市場のデータが掲載されていることがあります。地域ごとの空室率や想定利回り、家賃相場、公示地価等をチェックすることができます。
また、地域ごとの人口変動や最寄り駅の乗降人数といった地域の情勢を調べることも重要な机上調査のひとつといえるでしょう。物件が存する地域の魅力は、不動産投資の成功に大きく関わります。
不動産投資を行うにあたって、現地を視察する現地調査は欠かせません。
多くの成功している不動産投資家が著書や講演で、現地調査の数をこなし物件を見る目を養うことが重要であると指摘しています。
現地調査は、立地条件と個別的要因に着目して行います。
まずは、安全性をチェックしましょう。
ハザードマップ等を参照しながら、物件の周囲を確認し、自然災害発生時にどのようなリスクがあるかを見るようにしましょう。また、犯罪マップでどのような事件が周辺地域で起きているかを確認するなどして、人災についてのリスクも押さえておくと良いでしょう。
次に、利便性をチェックしましょう。
言うまでもないことですが、利便性の高さは不動産の価値に大きな影響を及ぼします。
駅から近いか、商業施設・学校・病院・公共施設・金融機関が近くにあるか、景観はどうか等、その物件を利用することで、どのような経済的・時間的メリットを受けられるかを想定しながら見るようにしてください。
この際、想定する入居者を具体的に意識すると良いでしょう。例えば、子持ちの家族であれば、学校や公園が近いかどうかを重視すると考えられます。単身者であれば、コンビニが近いかどうかが大きなポイントになるはずです。
また、机上調査で得た情報が正確であるかも見ておくことをおすすめいたします。机上調査では、駅から徒歩5分であると確認していたとしても、実際に歩いてみると10分以上かかったなどといったことは良くあることです。
最後に、将来性をチェックしましょう。
例えば、机上調査で近々新しい道路ができるとの噂があるとの情報を入手したとします。道路をつくるにあたっては用地買収が進んでいなければなりませんから、実際にそのような事実があるのかについて、周辺を見たり、地域の方に聞くことで確認しておくことに越したことはありません。
このように、きちんと裏取りをとっておくことで、失敗のリスクを減らし、逆に成功の可能性を高めることができるという点は、不動産投資の大きな魅力のひとつといえるでしょう。
現地調査では、個々の不動産自体をきちんと見ておくことが必要不可欠です。
土地であれば、道路との接面状態や奥行きをチェックしましょう。また、これまでにその土地がどのように使われていたのかという地歴を把握することで、土壌汚染がないかを確認することもできます。他にも、隣接地との境界の問題がないか等、実際に現地に赴くことでしか知れない情報を見つけ出すことができるかもしれません。
建物であれば、外観の状態や日当たり・風通し、騒音や瑕疵の有無をチェックしましょう。
特に中古の建物に瑕疵がないかをチェックすることは大切です。中古の建物の場合、瑕疵を修繕しないままの現状有姿で売却されることも少なくないからです。
他方で、内装については、リフォーム等により後で対応が可能な場合も多いため、あまり固執する必要はないとも言われています。
このように現地調査を行うにあたっては、自力ではどうすることもできない部分に着目することが大切です。
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