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アパートの建て替えとサブリースについて

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アパートの大家をしている60歳代の父が、アパートの建て替えとサブリースが相続税対策になると不動産業者から誘われて、建て替え費用の融資を銀行から受けるので連帯保証人になってほしいと私に依頼してきました。業者からは、「安定した家賃収入を保証する」などと勧誘されていると説明されましたが、このような契約には問題はないのでしょうか。

齋藤 拓

齋藤 拓 弁護士(福岡県弁護士会)

家賃収入の減少などのリスクを理解したうえで、建て替え費用の返済期間中から返済後に至っても、安定した家賃収入が得られる根拠があるかどうか、しっかりと検討する必要があります。
 サブリースとは、不動産業者が所有者からアパートなど建物を借り上げ、入居者を募集して転貸する契約のことをいいます。「長期間借り上げる」、「安定した家賃収入を保証する」などと謳う業者に勧誘されて、銀行などから融資を受けてアパートを建築し、サブリースを結ぶケースが多く見受けられます。
 しかし、実際は、銀行からの借入れの返済中であるにもかかわらず、家賃の減額などを業者から要求されて、返済に行き詰るというトラブルが増加して社会問題となりました。アパート経営は、経済状況などにより稼働率や家賃相場が下がることが避けられません。また、建物の老朽化に伴った修繕費用は、経済的な負担として重くのしかかります。話が違うではないかと抗議したくもなりますが、業者は、一定期間はアパートを借り上げて、家賃を保証するとしつつ、実はその期間中の家賃の減額請求ができるという契約条項が定められていることがあります。つまり、業者は、契約書でしっかりと損失を被るリスクを回避しています。
 さらに、サブリースは、通常の不動産賃貸借と同様に、借地借家法が適用されます。借地借家法は、主に借主を保護する法律ですが、サブリースの場合、借主は業者です。消費者契約法などの個人の消費者を保護する法律と同様に、弱い立場の借主を保護する法律が借地借家法であるはずなのに、個人の貸主よりも強い立場にある不動産業者が借主であるため、業者を保護する結果となります。
 たとえば、借地借家法には賃料減額請求権が定められていますが、これを業者が行使することも可能となります。現状では、裁判所も、サブリースにも借地借家法が適用され、不動産業者による賃料減額請求が可能であると判断しています(最高裁平成15年10月21日判決)。
 このように、サブリースは、結局、不動産業者と銀行が利益を得て、損失はすべて不動産の所有者が被る破目になりかねない危険性をもっていますから、契約条件その他資料を吟味したうえで、慎重にご判断になる必要があります。
※この投稿は、2019年12月15日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
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