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土地境界に関するリスクヘッジ策について

相談者No.64
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お世話になっております。リゾート地で土地を購入する予定です。現況は建物が建っておらず、雑木林のようになっており、売買前の境界確認が事実上困難です。また、売主は、境界確定無しの公簿売買を条件としているため、これは飲むつもりです。
という中でも、取得後のトラブルを少しでも無くすために、
「売主は、隣地との境界に関し、売主を当事者とする、合意もしくは見解の相違や争いが存在しない」ことを、売買契約の特記事項で、「表明保証」を入れてもらおうかと思っております。
これを入れることで、「実際は境界に関する争いがあった」にもかかわらず、それを当方に告知していなかったというリスクはヘッジできるのではないかと考えたのですが、この様な特記事項で、その目的を果たしておりますでしょうか。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

溝口 矢

溝口 矢 弁護士(東京弁護士会)

ご提示いただいたような条項を入れるのみでは、条項に違反した場合にどうなるのかが明らかではありません。
そのような条項に違反した場合に損害賠償責任を負うことなどについても明示する必要がございます。

しかし、境界確定なしであるという条件とご提示いただいた条項との間には隔たりがあるように思います。
実際にトラブルになった場合には、契約内容の解釈につき争いが生じるおそれは否定できません。
そもそも、そのような条項を設けることにつき同意を得られない可能性も十分にあります。
また、仮に損害賠償請求等ができるとしても、売主が逃げてしまったり、売主に財産がない場合には損害賠償金を回収することができず結局損をすることになってしまいます(事実上のリスク)。
契約の条項でリスクを一定程度下げることはできるかもしれませんが、完全に排除することは難しいでしょう。
※この投稿は、2020年08月06日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

64

ご教授いただきまして誠にありがとうございます。
売主が、公簿売買を希望するということは、前提条件として、「境界については合意事項は無い」ということになります。
また、隣地と争いがあるのであれば、要告知事項であると思いますので、この様な表明保証を入れて売主が不利になるということは、逆に言えば、何らかの事実を隠蔽しようとしていることになります。
よって、表明保証事項を入れることで、意図的な隠蔽をさせない心理的効果は十分にあると思いますので、本条文を入れる意味はあると考えております。
そこで、確認させていただきたいのは、表明保証に、それに違反した場合の、損害賠償責任を明記しなかった場合に、損害賠償を請求することができないのかについては、いかがでしょう。
明記できれば一番ですが、明記できなくても、争点にはなりえるものの、状況によっては、賠償が認められることもある得るのでしょうか。
(例えば、売主が悪意であるにもかかわらず、契約前に告知せず、かつ当方が善意・無過失であった場合で、表明違反によって生じた損害が明らかである場合(例えば、面積が大幅に減少した)などです。)
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
溝口 矢

溝口 矢 弁護士(東京弁護士会)

>意図的な隠蔽をさせない心理的効果は十分にあると思いますので、本条文を入れる意味はあると考えております。

ここまでのお話は私も先の回答で前提としているところです。
同じように考えておりますのでご安心ください。

>明記しなかった場合に、損害賠償を請求することができないのか

その場合でも状況によって損害賠償請求が認められることは十分にあり得ます。
なお、条項を設けるほかに、契約締結時の説明を録音しておくなどしておくことも後のトラブル対策として考えられるところです。
※この投稿は、2020年08月06日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

64

ご回答いただきまして、誠にありがとうございます。
今回は、「何ら隠していることが無いなら、そのように表明してくださいね。問題ないでしょ。」というロジックなので、恐らく「もし違反したら、損害賠償してね。」までは取れそうもないと思いますので、十分ではないことを理解のうえで、交渉にあたろうと思います。大変参考になりました。どうもありがとうございます。
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