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ネットでの個人情報について

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インターネットの物件情報サイトにおいて物件を広告する場合、元付業者は、個人情報保護法上どのような措置が求められるのでしょうか。

齋藤 拓

齋藤 拓 弁護士(福岡県弁護士会)

個人情報とは、氏名、生年月日その他の記述などにより、特定の個人を識別することができる(生存する)個人に関する情報をいいます(個人情報の保護に関する法律(以下「法」といいます)2条1項)。
 物件の売主や貸主は、取引の相手方を探索してもらうことを目的として、物件情報を、宅建業者(元付業者)に対して提供することがありますが、客付業者は、元付業者への連絡を通じて、物件を特定し、売主など特定の個人を識別することが可能となります。また、物件情報に住居表示、地番等が含まれている場合には、不動産登記簿などによって、売主などを識別することができます。ですから、物件情報は、個人情報に当たることになります。
 法18条2項によれば、個人情報取扱事業者(個人情報を容易に検索できるようにデータベース、リスト等を作成し、これを事業目的に使用している事業者のことをいいます。)は、契約書などの書面に記載された個人情報を取得する場合には、あらかじめ、本人に対して、その利用目的を明示しなければなりません。
 また、個人情報取扱事業者が、個人情報を第三者に提供する場合には、あらかじめ、本人の同意を得るか(法23条1項柱書)、同条2項が定めるオプトアウトの措置を講じる必要があります(オプトアウトについては、主に名簿業者が講じる措置であるため、本稿ではその解説を割愛します。)。
 元付業者は、通常、媒介契約書などの書面で、個人情報を含む物件情報を取得することになりますから、法18条2項に基づき、①物件情報を、取引の相手方の探索のために利用すること、②インターネット広告などの広告に利用すること、③客付業者や買い希望者に対し、物件情報を提供することなど、物件情報を第三者に提供することが利用目的に含まれていることを、あらかじめ、売主や貸主に対して、明示することが必要となります。
 また、元付業者は、物件情報を広告などによって第三者に提供することになりますから、法23条1項に基づき、物件情報を、物件情報サイトの運営者などに提供することについて、あらかじめ本人の同意を得る必要があります。
 以上より、不動産流通業における実務上の取り扱いでは、媒介契約書などの書面で物件情報を取得する際、上記①~③などの利用目的について本人の同意を得ることによって、法23条1項の要件を満たすと同時に、法18条2項の要件をも満たすように書面を作成することが望ましいといえます。
※この投稿は、2019年12月12日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
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