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不動産取引の注意点について

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不動産の取引を考えているのですが、どんなことに注意したらよいでしょうか。

齋藤 拓

齋藤 拓 弁護士(福岡県弁護士会)

不動産の売買契約は、高額な取引となりますから、契約当事者が互いに損害を被らないように、一般的には、契約書が作成されます。不動産売買契約書における重要な内容は、以下にご説明します。

1.物件の表示
  登記簿に基づき表示されますので、表示に誤りがないか確認します。
2.売買代金・手付金、決済日
  売買代金・手付金の金額を確認するとともに、決済日や手付解除の期限を確認します。
3.土地の実測
  登記簿に表示された土地の面積と、実際の面積が異なる場合には、売買代金の精算の有無を取り決めます。
4.所有権の移転・引渡し
  不動産取引の実務では、売買代金の決済の際に、所有権移転登記の必要書類と鍵の引渡しが行われます。
5.抵当権・賃借権の取扱い
  抵当権がきちんと抹消されて引き渡されることになっているか、また、テナント(賃借人)の引継ぎがあるかどうかを確認します。
6.公租公課の精算
  引渡しの日を基準として、固定資産税などの税金を日割り計算することにより、売主と買主の負担が決められます。
7.瑕疵担保責任
  物件に相当な注意を払っても見つからなかった欠陥があった場合に問題となります。「瑕疵」とは、物件が通常有すべき安全性を備えていないことをいいます。何が「通常有すべき安全性」なのかは、売買契約の目的などによって決まりますが、不確定な概念ですので、契約書でしっかりとその内容を決めておく必要があります。
8.契約違反による解除・損害賠償(違約金)
  契約違反があった場合に、売買契約を解除できる条件を定めます。また、契約に違反した相手に対し損害を賠償させるために、違約金を定めます。違約金は、売買代金の10%から20%に設定されることが一般的です。
9.融資特約
  買主が、住宅ローンを利用して住宅を購入する場合などには、融資特約が定められることがあります。買主が必要な手続きを守らなかったなどの責任がなければ、住宅ローンの審査が通らなかった場合、売買契約を無条件で解除することができます。
10.反社会的勢力の排除
  取引相手が反社会的勢力と関わりがある場合には、売買契約を直ちに解除することができます。
11.不可抗力による損失の分担
  天災などにより、物件が損傷したり、滅失してしまった場合の取り決めです。損失を被る条件を確認し、できる限り不可抗力による損失を受けないように手当てしましょう。

 以上、不動産売買契約書の記載事項を簡略化してご説明しましたが、実際の契約条項が、自らに不利な内容となっていないかどうか、相手方が提示してきた契約書について適切に判断することには専門的知識が要ります。ですから、不動産の取引をお考えの場合には、弁護士等専門家に契約書のチェックをご依頼になることをお勧めします。
※この投稿は、2019年12月08日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
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