入居者が、庭木が枯れ始めているのにそのことを管理会社や賃貸人に知らせなかった場合には、庭木に関する修復費用を入居者の負担とさせることができる場合があります。
1 庭の植栽も賃貸借契約の目的物です。
契約書や重要事項説明書などに庭の植栽について記載がなくても、一戸建て物件の賃貸借契約においては、庭の植栽についても契約の目的物に含まれると考えられています。そうすると、入居者は、庭の植栽の保存について、賃借人として求められる通常の注意義務を負っていることになります。
2 庭木が枯れ始めた場合の入居者の義務
そして、庭木が枯れ始めた場合には、入居者は、その変化の状況に気付き、管理会社や賃貸人に知らせて対策をする機会を与える義務があるとされます。
したがいまして、入居者がこの義務を怠った場合には、庭木に関する修復費用を入居者の負担とさせることができます。
3 東京簡裁平成21年5月8日判決
以上のご回答は、東京簡裁平成21年5月8日判決を根拠としております。裁判所は、庭の松が枯れた事案において、上記のとおり説明し、賃借人に対し、庭木に関する修復費用として6万円の支払い命じています。
また、この裁判例は、国土交通省が公表している「原状回復を巡るトラブルとガイドライン(再改訂版)」56頁において紹介されていることから、法的な根拠としては信頼性が高いと考えられます。
※この投稿は、2020年02月21日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。