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テナントの現状回復義務

相談者No.2341
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現在、マンションの1FをG法人へ保育所として貸しています。G法人が廃止となるので、保育所の事業はN法人へ譲渡することになっていて、マンションの1Fの設備もそのまま次の借主(N法人)が使用して、保育の業務を継続することになっています。原状回復の工事をせずに、次の貸主が使用するのだから、G法人は原状回復費用は支払わないといっています。G法人との賃貸借契約では、原状回復(スケルトン状態まで)を交わしています。設置物の売買はG法人とN法人と行っており、その中に、原状回復の継承は含まれていません。そのため、貸主からは、原状回復費用の見積もりを業者に依頼し、その費用を支払うことで原状回復をしたとみなすと示しているのですが、工事をしないのに工事費を支払うことに納得ができないようです。
お伺いしたいのは、原状回復工事をしない場合でも、原状回復費用を請求するのは、法律上問題あるのか。また、その費用の見積もりは貸主からの請求金額で決めてしまっても良いのか。借主は原状回復は特別損耗に限定すると主張していますが、テナントの原状回復は、すべてにおいて借主負担だと思いますが、その点についても教えてください。

秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

G法人からN法人への事業譲渡に伴う賃借権の譲渡については、賃貸人の承諾が必要ですが、既に承諾しているのでしょうか。
この承諾を拒否した上で、G法人に対し、廃業に伴い退去して原状回復するように求め、G法人が原状回復工事をしないのであれば、賃貸人の方で原状回復工事をして原状回復費用を保証金から充当し、不足額は請求するというのであれば筋が通っているように思います。

一方、既に賃借権の譲渡について承諾をしているのであれば、現状に変更はなく、実際には原状回復工事はしないわけですから、G法人に対して、発生しない原状回復費用を請求するのはややおかしいように思います。N法人が退去した時点で、N法人に原状回復費用を請求すべきことになるのではないかと思います。

ところで、G法人からの保証金についてはどのような取り扱いをしているのでしょうか。賃貸人の承諾を得て行う賃借権の譲渡の場合には、いったん、譲渡時点での保証金を清算してG法人に返還し、新たにF法人から保証金を差し入れてもらうことが通常と考えられますが、そのような処理はしているのでしょうか。

なお、テナントの原状回復費用が「全てにおいて借主負担」と決まっているわけではなく、賃貸借契約の定めによります。
※この投稿は、2023年11月06日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。

相談者No.

2341

保証金については、設定していません。N法人とG法人の資産譲渡契約価格の中に原状回復費用が含まれているのであれば、おっしゃる通りN法人が退去する場合に原状回復費用を請求すればよいのですが、N法人に対しても原状回復義務を継承もせず、賃貸借契約でも、原状回復を拒否しています。資産を無償で譲渡して事業を開始するのであれば、初期費用が抑えられる代わりに原状回復を負担するのは、理解できますが、設置物の資産を売買価格として負担もして、原状回復義務もN法人に負担させるのは、どうなのかと思い、G法人も負担するべきではないかと思っています。
秋山直人

秋山直人 弁護士(第二東京弁護士会)・宅地建物取引士・不動産鑑定士・その他

G法人とN法人との間の取り決めの内容には賃貸人は関与できません。

問題は、G法人からN法人への賃借権の譲渡を承諾するかどうかです。

まだ賃借権の譲渡を承諾しておらず、G法人の原状回復費用の点で納得ができないのなら、納得できない限りは承諾しないという形で交渉した方が良いように思います。
※この投稿は、2023年11月06日時点の回答になります。ご自身の責任で情報をご利用いただきますようお願い致します。
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